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モウリス@ニコ生NEX ZERO

(上記フリーマンさんのコメントへの返信として) 新しい試みは、新しいメンバーが見つかる機会であって欲しい。それが無くなったら、グループアイドルとしてのAKBの価値は無いも同然。e運動会は、そのことを証明してくれました。もちろん良い方の結果として。 ゲームプレイはトランプでも将棋でも、プレイヤーの個性をストレートに映します。長所だけでなく短所すらも、愛嬌を伴って可視化されます。多様な個性が交錯するAKBとは相性がいい。そもそもAKB自体がゲーム的ですらありますから。 そしてゲームは、ルールという公平な決まりに従って進行します。だからゲームでは、年齢や肩書きなんぞは、有利な材料にはなりません。プログラム制御されたゲームなら尚のことです。つまり、AKBにとって〈ゲームのフィールド〉を作ることは、フロンティアを増やすことと同義だと思うのです。 世間一般に、年齢が高いほど「たかがゲーム」という感覚があるでしょう。30年前にぼくがゲーム会社に就職したときにも、上の世代はおろか、一部の同級生(例えばバルブだったあの時期に広告代理店に就職した親友とか)からも、露骨に下に見られました。(今は付き合いがありませんが) 『荒野行動』で勝利した奥原妃奈子の、決して驕らない、妙に落ち着いた表情は、ぼくの中では大きく飛躍して、《ゲーム》というものが確実に人間の、社会の、メインストリームに位置するに値する機能を持つに至っていることを確認させてくれました。感動すら伴って。 寺山修司は「遊び」を「もう一つの人生(劇場)」と言いましたが、今回まさにゲームが、これまで目立たなかった奥原の存在を私たちの脳裏に焼き付け、一気に存在距離を縮める瞬間を、目の当たりにしました。スーパーマリオがそうであったように、かつて「歩く」「飛ぶ」という記号であったキャラクターモーションが、プレイヤーの何かしらの個性を映すまでに進化した…とも言えます。マリオにプレイヤーを投影はしにくいですが、荒野行動のプレイヤーキャラは奥原に見えましたよね。 ゲームは、精神医療の世界でも昔から活用されていますが、脳のトレーニングからコミュニケーション形成まで、その可能性はまだまだ広がるでしょう。緊急事態宣言下で『あつ森』が爆発的に機能したことも、その象徴であることは言うまでもありません。 これまでのAKBの根幹を支えてきた「アナログのインタラクティブ」は、今後、「デジタルのインタラクティブ」に、かなりの割合が移行すると、ぼくは考えています。 ここ数年、低調だったAKBに対して「V字回復の妙案は無いのか?」という議論が続いてきました。しかし、チケセンや劇場申し込みのシステムを変更したところで、そう簡単に人が集まるわけがありません。それこそ天の岩戸の逸話ではありませんが、まずは人が集まるような「面白そうなこと」をやることが必要ですよね。ついヲタクは「劇場公演のコールの楽しさが分かったらなあ」とか思ったりするわけですが、それはすでに他のアーティストや役者、声優でも普通に行われていることですから、特に大衆の興味を引く入口にはならない。近年のAKBは、むしろ世間全体がAKB化することによって特異な存在ではなくなり、「裏通りにある、ありきたりなお店」になったわけです。誰のせいでもなく、それが時間の、時代の流れですからね。 そして今。「コロナだから世界が変わる」のではなく、変わりたくても変われない状態にすでに世界が来ていたものらが、コロナのどさくさで一気に決壊している、というのが今の状況でしょう。AKBもその流れに乗れるかどうかという分岐点。AKBの持ち味を生かしたままの次の展開とは何か。今回の「e運動会」が、そうしたもののきっかけになって欲しいと切に願います。もの凄い速さで変化する状況下で、後ろを振り返っている余裕はありません。

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