ひふみのトーク
トーク情報- ひふみ
ひふみ 2024.4月18日
[椿ノ恋文]
小川糸 著 幻冬舎 刊
手紙の代書屋を再開させたポッポちゃんは、多忙を極める3児の母になっていました。
依頼者に寄り添い、考えに考え抜いて丁寧に手紙を綴っていきます。
トキグスリ(時薬)という言葉が随所にあります。薄皮をそぉっと一枚ずつ剥いでいくように自然治癒していく、時の過ぎるのを待つことは大切な事ですね。時間が解決してくれることってありますね。
「幸せは、日々もがく泥の中にあるのかもしれない」 このフレーズは特に心に残りました。
かけがえのないものって、案外気がつかずに脚元にあったりするのかも…。
この本を読んで、ポッポちゃんからあったかい優しさをいただきました。冷え切った体を甘いホットミルクティーが、じんわりとあっためてくれるみたいな感じです。
また、この続編が読みたいです。 - ひふみ
ひふみ [あやふやで、不確かな]
宮田愛萌 著 幻冬舎 刊
スマホのない恋愛なんて成立しない。
令和の恋愛には、スマホが大切なアイテム。マッチングアプリとか、既読がつかないとか、そんなスマホに一喜一憂する。便利なスマホがあっても、人と人を結んだりもするけれど、ひとの心が離れていくこともある。
昭和の恋愛には、''すれ違い''とか''待ちぼうけ"だとかのシチュエーションがつきものだった。そんな時間に恋心が募ったりもする。
4つのショートストーリーで構成されていて、素直な文章で読みやすく、引き込まれていった。恋愛の痛みも喜びも忘却の彼方の私とって、宮田愛萌さんの瑞々しい感性は眩しすぎて気後れしながらも、だけど(笑)。
自分で自分の気持ちがわからなくなったり、何かを伝えたくても、自分の想いを言葉にしないと相手には伝わらないね。20代の今を生きる愛萌さんの小説だから、今しか描けないものかもしれない。柔らかな風が吹いていた。そんな印象の本でした。