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あさぎり

『僕(ら)は推しメンに何が出来るのか』 アイドルじゃなくなった推しメンと腹割って話してみたいけど、 良くて月に数回会えてたくらいで、 握手も何ヶ月かに1回、まともに話せたのは合計しても数分。 書き出してみれば信頼関係を作るための最低限の水準も満たしていなかったと思う。 「嫌いになるもなにも好かれた試しがあるのかよ」 まったくその通りである。 言うまでもなく今後会える機会はない。 …願うだけ無駄だな。笑 出来たことを数えればそれも数にはなるけども、 出来なかったことはそれ以上に堆く積もったままだ。 春の自分は出来なかったことの山に押しつぶされたも同然だった。 心を決めつつある推しメンにまともな抵抗ができなかった。 「卒業発表の瞬間までは、推しメンは取り戻せる」 経験したことがないから言えただけだった。 今、何もできない代わりに無責任でいられるようになった。 この問いに、今もどこかの誰かが悩んでいるかもしれない。 ただ、少なくとも僕には考える意味がなくなってしまった。 考えたところで、たとえ答えがあったところで、推しメンはもういないのだから。

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