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あさぎり

「辞めたくない」「悔しい」 この言葉を聞いて僕は安堵した。辞めたくて辞めるはずがないから。それを無理に取り繕ってほしくなかった。 『辞めてほしくない』『悔しい』 昨日あの場にいた全員が同じ思いだったと思う。僕はこんなことになった運命を呪った。 アイドルが卒業するとき、ファンが未練がましい気持ちを抱えている一方で、アイドル本人は清々しい気持ちで一歩も二歩も先にいるというのはよくある光景だろう。 その中において、アイドル本人を含めて誰も辞めることを望まないのに、卒業という粛然とした事実がただそこにある光景は異常さが際立っていた。 覆しがたい運命の前に散っていったアイドル・木内俐椛子。 SKEに懸ける強い思い。唯一無二のトーク力。絶望的な運動神経を跳ね返す不断の努力。 現代のアイドルとして望まれる素質をひたすらに与えられていたはずの存在。 あなたがSKE48にいたこと。忘れません。忘れられるかよ。

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