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じょんれのん。

54 名無シネマ@上映中[sage] 2022/11/02(水) 09:48:54.35 ID:BKL02qD/ 事故で死んでしまった旦那が実は別人だった、という衝撃的な幕開け。 名前だけではなく戸籍からして全くの別人。 何故そんなことが起こったのか、一体彼は誰だったのか。 真相を突き止めるため、以前も世話になった弁護士の城戸(妻夫木聡)へ依頼することで真相が明らかになっていく物語。 鑑賞後、未だ深い余韻に包まれている。 血縁関係や戸籍の呪いを残酷なまでに感じさせるシナリオに言葉が出ない。 どうやっても断ち切ることができない“血筋”の重さと因縁。 「縁を切る」という言葉はよく使われるが、日本では法律上縁を切ることはできない。 遺留分の放棄や世帯分離など、関わりを極力断つことは可能。 しかし根本的に親子は親子。 血で繋がってる関係性は最も複雑なしがらみだと言うことを改めて認識させられた。 多くの人にとってはかけがえのない絆、一部の人にとっては残酷な鎖だ。 過酷なストーリーのメインを務めた安藤サクラ、妻夫木聡、窪田正孝の三人はみな抜群に良かった。 言葉一つ、表情の細かな変化のみで役柄の感情が滲み出る。 中でも窪田正孝の作り込み方は異常と表現しても差し支えないレベル、徹底されすぎていて畏怖すら覚えた。 ボクシングのシーンがあるため、ジムや試合では上半身裸になっているが、もはや完全にプロの身体。 元々ダンスが得意なのは有名だし能力的にも優れているのは分かっているけれど、今作はそこからさらに追い込んでいる感じ。 凄まじいストイックさ。 狂気を潜ませながらもそれでも人生をやり直したい足掻く男の姿、哀れでありながらも不思議と勇ましく映る。 鏡に映る自分を見たときの、怯えたような寂しげな瞳は忘れられない… 全てが明らかになり始める段階で感じたのは、この作品はミステリーではなくヒューマン・ドラマだということ。 前半と後半でガラリと顔つきを変える、喪失の二面性を有した作品。 ラストの城戸の件も含め色々考えさせられることばかり。 “普通に生きる”ただそれだけのこと、されど、その難しさがとことん身に沁みた2時間。 あ、それと出番は多くないが本作も河合優実は良い仕事。 『線は、僕を描く』や『少女は卒業しない』など話題作に立て続けの抜擢。 見上愛と共に今後も大注目の新進気鋭な女優さんなので邦画ファンは覚えておくと良いかも。

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