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鈴江信彦
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[新宿スワン]第6巻 和久井 健 著 講談社 カエデ、田無、森長千里、そして土屋と天野。 第6巻でも一癖も二癖もある人物が続々と登場してきます。 唸るような勢いで突き進んでいく"渋谷AV編"というメインストーリーだけにしがみついていては見過ごしてしまうような仕掛けがまるで地雷のように仕込まれていて、一瞬たりとも油断出来ない緊張感を覚えます。 例えば、葉山。部下であったヒデヨシをプッシャーの道に引き込んだ張本人でありながら、ヒデヨシがヘタを打った途端に切り捨てた非道で狡い男。 この男がこの巻でもパラサイツの森長に関するネガティブな印象をバースト幹部に植え付けるため、話を纏めるためにパラサイツに出向いたフリをして田無・森長を挑発し、同行したタツヒコを意図的に置き去りにし森長にボコボコにさせました。この狡猾な葉山の行動がこれからのメインストーリーの伏線であることは想像出来ます。 しかし、この第6巻で一番のクライマックスは美竹組組長・土屋がバーストに乗り込んで来た場面でしょう。 関のスーツの胸元にタバコを押し付けながら「社長さん、いるか?」と問う場面。そして社長室で土屋と対面したバースト社長・山城が「わざわざ来ていただかなくても、言っていただければこちらから…」と社交辞令の言葉を発した途端、「いーよ!そーいうのは!渋谷に来んなよ‼︎」と斬り込んだ場面。善悪を超えて"これこそ腹を括った男の切り結び方だ"と痺れました。 [新宿スワン]の登場人物は男女問わず腹を括った人間が多く登場しますので、読んでいる間はずっと痺れっぱなしです。 [新宿スワン]、何度も言いますが止められません。

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鈴江信彦のトーク
トーク情報
  • 鈴江信彦
    鈴江信彦
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    ↑見城さん
    拍手を頂き、ありがとうございます。
    こちらの本には角川春樹さんと石原慎太郎さんのことも書かれていることをMiRAIさんにご紹介頂き、知りました。心して読みます。
    MiRAIさん、ご紹介頂きありがとうございました。

  • 鈴江信彦
    MiRAIMiRAI

     この本は、ゆっくり、時間がある時に眺めるように目を通せばいいです。市井の人々の日常の営みこそが国を支えていると。著者のこの思いは確かに心に沁みる。日本はチェーン店だらけになってしまった。そうだよな。最後まで蕎麦屋は守らねばと、そんな風に思います。

  • 鈴江信彦
    鈴江信彦

    ↑福田和也さんが書かれた[保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである]を眺めるように目を通し始めましたが、これは福田和也さんが人生をかけて選んだ店について書かれた闘争記であり、檄文であると僕は感じました。

    感想はきちんと最後まで読んでから書きます。