夜の女がアラサー婚活実践中
トーク情報- 小池ももこ
小池ももこ 愛人募集のおじさまを怒らせた話 その5
待ち合わせ場所に到着したら、派手なスポーツカーの前に、ネイビー色のスーツに身を包んだ男性が佇んでいました。
細身で小綺麗、かつ、仕事ができる印象の男性です。
「こんばんは、ももこです」
話しかけると少し驚いた顔をしたその男性は、すぐに笑顔を見せ、挨拶もそこそこに車に乗るよう促しました。
車で来るとは思っていなかったので、拉致られる可能性が頭によぎり、私はさりげなくナンバープレートを確認しました。
ゴロのいい数字が並ぶプレート。車種と合わせてすぐに足がつきそうですが、念のため、相手が運転席に乗り込むタイミングに、スマホでこっそりと写真を撮っておきます。
助手席のドアをあけると、赤いシートに包まれた車内に、むわっと漂う香水の匂い。
むせそうになるところを堪えながら助手席に座り、「素敵な車ですね、こんな車に乗るのは初めてです」と運転席に話しかけます。
運転席に座る男性は50代半ばから後半でしょうか。浅黒い肌に、笑うとできる皺と光る金歯、何より彼が動くたびに強く香る香水の匂いが、より年齢を感じさせます。
おじさまは「まだ、他にもあるんだけれどね」と話しながら、チャラリと鍵を鳴らしエンジンをかけ、車を発進させました。 - 小池ももこ
小池ももこ 愛人募集のおじさまを怒らせた話 その6
「で、僕のオススメのお店に行こうと思うんだけど、君、ワイン飲める?」
「ええ、好きです」
「ならよかった。歩いても行けるんだけれど、腰が悪くてね、すぐそこまでだから乗っていって」
ハンドルを握る手には、いくつかの指輪と高級そうな腕時計が光ります。
「なぜ、私の書き込みに反応されたんですか?」
「たまたまオフで、暇を持て余していたんだよ。それにユーの書き込みは、他の女性と違って切羽詰まった感じがなかったから」
書き込みの狙いは当たったようですが、ルー大柴ばりに不自然な二人称に大きな違和感に私の心はざわつきます。
あまりにも価値観のギャップがありすぎて、この後楽しくディナータイムを過ごせるのか、早くも雲行きが怪しくなってきます。
いつもは銀座のどこで飲むのか、会社経営なので時間的に余裕があることなど、おじさまの機嫌をとりながら情報を引き出します。
「着いたよ」
気がつけばオープンテラスのあるイタリアン・バルの前まで到着しました。
路上駐車ゾーンに停車し、そのまま2人で店に入ります。
「パパ、ヨウコソ!席ハコココダネ」
恰幅のいい陽気な西洋系のシェフが私たちを出迎えてくれました。
おじさまはどうやら常連のようで、シェフと二言三言英語で談笑をかわしながら、席に着きます。
さりげなく私のカバンを預かりエスコートする様は、スマートでさすがです。
さて、楽しいディナータイムのはじまり、はじまり。ここからどうやって愛人契約が持ち出されるのでしょうか。