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古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)

玲香は確定の白。疑う余地がない。 すると残りは2択。 衛藤狼説。ありうる。ただ、与田ちゃんが人狼の時、初日に処刑対象になっていた2人が両方とも黙るだろうか。いや、ない。人間だ。 すると残りはやはり1人になる。私はその人へ投票する。みんながその人に入れてくれれば勝てる。 間も無く、投票が始まった。どうか、届いて欲しい。私は、自分が狼であると刷り込まれそうになったところで、踏ん張ったのだから。 玲香の投票。 「若月に入れる」 玲香は、意志を変えなかった。続く美彩。 「若月」 これで2票。決まった。 「若月、今まで頑張ったね。でもごめん。私村人なんだ。若月がうますぎて、自分が人狼だと錯覚しそうになった。でも違う。私は村人。だから、若月が人狼だよ」 高山さんが、私の黒先の若月さんに投票した。この瞬間、勝敗は決した。 「村人の勝利?」 桜井さんが祈りをささげて結果を待つ。 「うん、私はかずみんと玲香を信じてる」 衛藤さんが続く。 「大丈夫、私を信じて」 高山さんが力強く胸を張った。 若月さんが力なく立ち上がり、最後の遺言を語りはじめた。 「みんな、よく気づいたね。私が最後の人狼。未央奈に見つかってから、頑張って持ちこたえたほうだよね。これで村人の勝利。みんな、おめでとう」 「なんて言うと思ったかー!!私は村人だよー!!」 えっ、と桜井さんが声を漏らしたのを合図にしたように、夜のターンがやってきた。その夜、衛藤さんが襲撃された。そして翌朝… 「かずみん…?」 「ごめん玲香」 「村には、私とかずみんだけ?」 「うん」 「ゲームは終わってないから、人狼は生きている」 「うん」 「私は人狼じゃない」 「うん」 「ということは…かずみんが…」 全てを悟った桜井さんの顔が、みるみる恐怖の色に染まっていく。 数分前。 高山「敢えて余裕を見せながら私は言った。この発言ができるのは、未央奈と与田ちゃんのおかげ。2人の顔を思い浮かべながら、勝ちへのルートを確認した。」 若月「…ふと、本当にこれでいいのかという思いが頭をもたげた。 私が引いたカードは本当に人狼なのだろうか。いや、違う!村人だ!人狼じゃない!どうして人狼であることを受け入れようとしてしまったのだろう! ここで村人を吊ってしまっては負けになる。どうにか人狼を見つけないと…!」 2人の心の動き。この時点で、勝負は決まっていたのかもしれない。 「人狼の勝利です!」 ゲームマスターの声が、凄惨な殺し合いに終わりを告げた。 私たちは、幽霊ルームから、村へと戻る。 「高山さんさすがです〜!」 「与田ちゃんも頑張ったよー!」 「生駒さんもアシストありがとうございました」 狼陣営が手を取り合って喜ぶのを見て、人間陣営は苦笑いを浮かべている。 「玲香何で信じてくれなかったの!」 「ごめん〜!!」 試合が終われば、敵も味方もない、ノーサイド。それが人狼ゲーム。私は今日も、人を信じ、欺き、笑い合う。 「ねえ、どうして私が初日処刑なの!?」 ほとんどゲームに参加できなかった飛鳥が頬を膨らませて私の元へ詰め寄る。 「ごめんごめん、霊媒師だと思って…!」 「ねえ、どうして未央奈!」 「ごめん、そんなに怒らないで」 「未央奈!未央奈!」 「えっ…?」 「未央奈!ねえ未央奈…!」 私はハッと目を覚ました。気がつくと、そこには私の顔を覗き込む飛鳥の姿があった。自分の手足を見ると、白い粉にまみれていた。 「未央奈、大丈夫!? 意識はある!?」 そうだ、思い出した。 私は番組で、人狼クイズに挑戦していた。この局面では、どう動いたら良いか、ケーススタディ的なクイズだった。 私はかなりハイレベルな難問を出され不正解し、床が抜けた高いセットから落下した。その瞬間、気を失ってしまったようだ。 「こんな問題作る人、絶対感覚が歪んでる…」 でも、すごく楽しい夢だった。メンバーが、人狼のスペシャリストになったような夢だった。一瞬が、永遠に感じられるような… でも、すごく難しかった!! 「やっぱりこの問題、難しくないですか!」 (おわり)

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