ログイン
詳細
前へ次へ
前略 見城先生
トーク情報
  • 吉田真悟
    吉田真悟
    投稿画像

    竹下産業株式会社 代表取締役の竹下敏史です。

    先日、数年ぶりに映画館へ足を運びました。しかも、人生で初めての「ひとり映画」です。
鑑賞したのは、現在公開中の『栄光のバックホーム』。
    本作は、元阪神タイガースの選手・横田慎太郎さんの生涯をもとにした実話です。2013年のドラフト会議で阪神タイガースに2位指名され将来を期待されるも、21歳で脳腫瘍を発症し、28歳でその生涯を閉じるまでの人生の軌跡を描いています。
    今回は、映画を見て感じたことについて、一企業の社長としての視点も交えながら綴りたいと思います。

    鑑賞のきっかけは、製作総指揮の見城徹氏

    私は決して、熱狂的な阪神ファン、野球ファンというわけではありません。普段は映画館に足を運ぶことさえ稀な私が、なぜ今回ばかりはチケットを買ったのか。
    それは、主人公・横田慎太郎選手への関心もさることながら、何より製作総指揮の見城徹氏(幻冬舎 代表取締役社長)に強い憧れを抱いているからです。
    見城氏の本はほとんど読んできましたし、彼の著書からは仕事に向き合う姿勢や、人生の重心の置き方などを数多く学びました。
    そんな見城氏が、横田選手の人生をどのような視点で掴み直すのか、映画というフィールドで何をしようとしているのか。それがどうしても気になり、衝動的に映画館へと足を運びました。

    「託したい」私と、「まだ燃えたい」私

    本作では、横田慎太郎さんが亡くなるまでの時間が丁寧に、静かに描かれています。スクリーンに映し出される松谷鷹也さん演じる横田選手のひたむきな姿、鈴木京香さん演じる母親の愛、そして柄本明さん演じる元プロ野球選手・川藤幸三氏の温かみに何度も涙腺が緩みました。
    そうして映画を観終えた後、私の中には二つの相反する感情が芽生えました。一つは「次世代にバトンを渡す準備を整えないと」という思い。28年という太く短い人生を駆け抜けた横田選手を見て、私自身の残された時間についても深く考えさせられました。
    会社は私一人のものではありません。仕組みを整え、私が抜けた後も社員たちが安心して働ける環境を作り、未来のために場所を空けることこそが経営者の責任ではないか。そんなことを感じました。
    しかし一方で、横田選手の最後まで命を燃やす生き方や、74歳にしてなお、新しいフィールドでこれだけの熱量を持って勝負をかける見城氏の姿を見て、「まだまだ新しいことに挑戦していきたい」という思いも沸き上がってきました。
    現在の見城氏の年齢まで、私にはまだ24年の時間があります。「安定させて引き継ぎたい」という冷静な経営者の自分と、「まだまだ現場で泥臭く戦いたい」という仕事人の自分。この2つの思いが、鑑賞して数日経った今も私の中で静かにせめぎ合っています。

    「売れる条件」を見城氏自らが体現している作品

    物語への感動とは別に、この映画製作というプロジェクトそのものに潜む「編集者・見城徹の視点」にも注目せずにはいられません。
    彼は常々、「売れるコンテンツの条件」として以下の4つを挙げています。
    * オリジナリティ
    * 明解
    * 極端
    * 癒着
    本作は、まさにこれらが凝縮された作品です。特に際立っていると感じたのが「明解さ」。複雑な伏線や難解な理屈は一切ありません。ただ「野球がしたい」という純粋な想いと、それを阻む過酷な運命との闘い。誰もが理解できるストレートな物語だからこそ、観る人の理屈を超えて、感情に突き刺さるのだと思います。
    そしてもう一つ、見逃せないのが「癒着」です。公式サイトなどで公開されている協賛企業の一覧を見れば、その凄まじさは一目瞭然。並んでいるのは単なる「スポンサー」という枠を超えた、見城氏に人生の一部を預けた人たちの影でした。
    利害や計算を超え、情が勝ち、言葉にならない「縁」が働く世界。見城氏がいう「癒着」とは、決して悪い意味ではなく、「相手の懐深くに飛び込み、一蓮托生の関係を築くこと」なのだと、このプロジェクトの規模感が証明しています。

    明日からの「打席」に立つために

    『栄光のバックホーム』というタイトル。この「栄光」とは、横田選手が引退試合で魅せた一球のバックホームに留まらず、彼が懸命に生き、遺した「証」そのものを指すのだと感じました。
    横田選手が最後の瞬間まで誰かに勇気を与え続けたように、私も竹下産業という会社を通じて、社員を、お客様を、そして社会を支える存在であり続けたい。映画館を出た後の冷たい風を感じながら、そんな地道な日々の積み重ねこそが、いつか私たちなりの「栄光」に繋がると信じて、明日からも歩んでいこうと決意しました。

  • 吉田真悟
    吉田真悟
    投稿画像

    自分史上No.1装丁本は
    村上龍さんの『半島を出よ』
    ページをめくり毒ガエルが目に飛び込み鳥肌が立ったの覚えています。

  • 吉田真悟
    吉田真悟

    先日何回目かの『最高の人生の見つけ方』を観たばかりだった。近々『スタンドバイミー』をまた観ようと……
    Rest in Peace

    映画監督ロブ・ライナーが死去、妻と遺体で発見 強盗殺人課の刑事らが捜査(映画ナタリー) - Yahoo!ニュース 映画監督ロブ・ライナーが死去、妻と遺体で発見 強盗殺人課の刑事らが捜査(映画ナタリー) https://news.yahoo.co.jp/articles/3e2861d6fbb657255181e7d1e8f5b840c514019c