まだ生きてる
トーク情報オジバ 藤田晋bot藤田晋bot 札幌で行われたIVS に参加してきました。
招待制イベントである「IVS」は、
運営に携わる方たちの、高いプロ意識と
細かい努力の積み重ねによって、
何年経っても参加者の質が低下して
いない、非常に稀なイベントだと思います。
個人的には、過去には、ここで出会った
ドリコム内藤社長やアイスタイル吉松社長
に投資して成功を収めたりもしています。
とはいえ、私も毎回参加している訳では
ないですが、それでも少しマンネリを
感じていたので、
今回は上場企業の経営者ではなく、
まだスタートアップの若手起業家と 話したいと運営事務局にお願いしました。
前回参加した時は、スピーカーではなく、
モデレーターをやりたい とお願いしましたが、それに次ぐ新たな試みです。
私が参加したセッションのテーマは
「『起業家』著者が起業家の本質に迫る」
です。
また司会(モデレーター)をやりました。
実際に話した内容は、CNETJapanの記事
などを読んで頂ければと思いますが、
終わったあと、たくさんの参加者から
「面白かった」と声をかけられ、
なんだかモデレーターに自信をつけて
しまいそうです。
それにしても、テーマどおり
「起業家の本質」に迫ろうと共通項を
探しましたが、スピーカーで参加した
5人の起業家は、5者5様でした。
若くして多額の借金をしたり騙されたりし、
苦境を乗り越え今に至る人、
ネット業界の荒波の中を、
堅実で手堅く経営している人、
事業売却を経験し、
再び新たな事業に挑戦している人、
壮大な目標を掲げ、創業1年足らずで会社を急拡大させている人、
社会起業家と言われている人で、上場など全く眼中にない人、
それぞれの人と話していて感じたのは、
起業家なんて、そもそもみんなが
やらないことをやろうとしているので、
全然違っていて当然なのだと思います。
でも、人と違ったことをやるという ことは、多くの人には理解されない ことであって、その過程では
批判されたり馬鹿にされたりします。
最初からずっと賞賛され続けるような
安全圏に起業家がいたとしたら、
そのほうが何かおかしいと疑うべき
かも知れません。
何も新しいものを生み出せていないか、
リスクを負ってない分、実はリターンを
失っている可能性があるからです。
今回参加した5人の中には、
元サイバーエージェントのトライフォート
大竹社長が居ましたが、在籍していた頃
とは比較にならないほど成長していました。
でも、辞めてからの今に至るまでは、
「あいつ大丈夫か?」と心配する声も
少なくはありませんした。
夜の打ち上げのお店で、参加していた
彼らと飲みながら話したのですが、
「起業家は途中過程でぼろくそ言われてなんぼ」 「失敗すれば、ただの大バカ野郎」
「成功すれば、全てを見返す」
結局、それが「起業家の本質」ではないでしょうか。オジバ 藤田晋bot藤田晋bot たまに自身のブログでも紹介するのですが、私は音楽の「ヒップホップ」が好きで、特に「日本語ラップ」と呼ばれる国産のヒップホップ文化の支援活動を10年、続けています。その一つが「Amebreak」というヒップホップの情報サイトの運営です。
2007年、ヒップホップに特化した唯一の音楽雑誌が休刊してしまったのを機に、個人のお金をつぎ込んで、ウェブメディアを作りました。収益は度外視して運営してきたため、持ち出しが続いていたのですが、ファンの間ではそれなりの知名度のあるメディアになったと判断し、昨年、サイバーエージェントの事業としました。
昨年9月からは、テレビ朝日系列で「フリースタイルダンジョン」というテレビ番組が始まりましたが、そのスポンサーとしての支援もしています。マイナーだった深夜番組は口コミで人気が広がり、「ユーチューブ」で300万回以上再生される回もあるほど、これまで行ってきたヒップホップ支援の中でも一番手ごたえを感じています。この4月からは、サイバーエージェントとテレビ朝日が共同で運営するインターネットテレビ局「AbemaTV」でも配信を開始しました。
こうした支援をするまで、ヒップホップは文化としてマイナー扱い。支援する企業も、ほぼない状況でした。私が支援を始めた理由は、まさにそこにあります。
いわゆる企業の文化支援は、クラシックやオペラ、宝塚などの歌劇、ゴルフ、といった裕福な年配の経営者が好む分野に集中しています。翻ってヒップホップは、財を成したり、成功したりした経営者と無縁で、興味関心の対象からも外れていました。
イメージの問題もあると思います。ヒップホップの歌詞は、総じて、攻撃的だったり、反骨精神にあふれていたりします。ラップを演じるラッパーの風貌も同様で、「怖い」などと世間から勘違いされることが多々あります。そのため、企業が支援する対象としてはふさわしくないと考える方もいるのでしょう。ですが、実際はそんなことはありません。
確かにラッパーの風貌は怖い感じがしますが、ヒップホップが好きな若者は皆、仲がよく、誰もケンカなどしていません。お金はないが、将来に希望を持った若者が多く、それが「今に見てろよ」といった反骨精神あふれる歌詞にもつながっています。だからこそ、私は個人で資金を出してでも支援していきたい、と思ったのです。
3つ足してもはるかに上回る希望
私自身、趣味としてヒップホップが好きで、個人的に勇気づけられてきた、というのも支援する大きな理由の一つです。会社が創業10周年を迎えた2008年3月18日、私はブログで以下のように振り返りました。
1998年、24歳の時に、希望だけを糧に起業をしました。無名だったし、当然、お金もありません。もといた会社の同僚や知り合いからは鼻で笑われ、取引先や銀行からは足元を見られ、たくさんの苦労をしました。
年齢が若いというだけで信用してもらえず、経験が浅いからこそだまされそうになったこともあり、不安と焦りで眠れない夜を幾夜も過ごしました。徐々に成功し始めると、今度は妬みや嫉妬、いわれのない誹謗中傷などが増えました。責任の大きさに気づき、何度もプレッシャーに押しつぶされそうになったこともあります。
それでも前を向き、がむしゃらに働き、ここまで会社を大きくすることができたのは、「いつか結果を出して見返してやる」という反骨精神。私が起業した頃は、ちょうど、「ライムスター」や「キングギドラ」といったヒップホップのアーティストが活躍し始めた頃と重なります。彼らの発する音楽を聞くことで、勇気をもらったのです。
このブログを書いた日、私は1人でヒップホップのライブを見にいっていました。そのことを、こう記しました。「今日のLiveでILL-BOSSTINOが何度も繰り返し言っていた。『孤独、憂鬱、怒り、それを3つ足してもはるかに上回る希望』。それこそが起業家には必要。これからまた希望を持たなくては」
そう決意を新たにしたことを昨日のことのように思い出します。今でも、この立場で仕事を続けている限り、いろんな人からいろんなことを言われます。そのたびに、反骨精神が湧き上がり、いい意味でモチベーションとなっています。腐らず、前だけを見て進めるのは、ヒップホップのおかげ。これからも恩返しを続けていきたいと思っています。