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『奇跡のバックホームから栄光のバックホームへ』

吉田真悟吉田真悟 No.540
『白鳥とコウモリ』
東野圭吾著
(2021/04/05 幻冬舎)
※小説幻冬に掲載された以下の作品に加筆し長編としたもの。
「迷宮への誘い」(2017年2月号)
「いばらの道」(2018年10月号)
「蚊帳の中へ」(2019年7月号)
「歪んだ交差」(2020年3月号)
「不穏な共鳴」(2020年11月号)
「光と影」(2020年12月号)
「迷宮の果てに」(2021年2月号)
※ブックデザインは鈴木成一デザイン室
2021/06/20(6/19読了)
1987年と2017年に起きた二つの殺人事件とそれを結ぶ冤罪。5世代、30人にも及ぶ関係者の複雑に絡んだ罪と罰の物語は最後の答え合わせを読んで、意外な真犯人と納得出来ない動機に切なくなってしまった。
白鳥とコウモリ、白と黒、善と悪、被害者の娘と加害者の息子、同情と怨嗟。世の中は二元論で語れるほど単純ではないし、すぐにその立場は逆転してしまう。しかしグレーでは居たくないと思った。
誰に感情移入したかと言うと、
殺されて当たり前のクズの灰谷か?
多分彼にも同情されるべき物語が有るはずだ。
命懸けで世間から大切な人を守ろうとする正義漢達か?
共同体のルールから外れた真っ当な人達の闇にも共感できる。
運命に翻弄され禁断の恋に落ちる二人か?
希望か絶望かその後の物語が聞きたいものである。
真犯人か?
なぜこういう人間が生まれたのか?社会とか司法は無力に思えてならない。
東野圭吾の放った毒は他に、
「世の女は全員、名女優」
「誰だって先祖を辿れば人殺しの一人や二人は居るだろう」など。
しかしなぜもんなかなのか聞いてみたい。「門前仲町」と何回出てきただろう。神社に仏閣に古くからの街並みに落ち着いた風情。よく行くもんなかの居酒屋でこの本をまた読んでみたい。
毒の連鎖は毒で制するに限るよな。
【登場人物】
五代努:捜査一課の刑事、38歳
中町:所轄巡査、28歳
筒井:主任
桜川:係長
白石健介:国選弁護士、55歳
山田裕太:白石に障害事件を弁護してもらった
綾子:白石の妻
美令:白石の娘
長井節子:白石のアシスタント
倉木達郎:66歳。
和真(かずま):倉木の息子、広告代理店勤務
山上:和真の上司
雨宮雅也:和真の会社の同僚
浅羽洋子、織恵:門前仲町の居酒屋『あすなろ』の母娘
福間淳二:浅羽洋子の夫
灰谷昭造:殺された被害者
坂野:灰谷の甥
南原:フリーライター
堀部孝弘:弁護士
佐久間梓:弁護士。白石母娘の被害者参加制度利用をサポートする
安西弘毅:浅羽織恵の元の旦那
安西友希:弘毅と織恵の息子
新美ヒデ: 白石健介の祖母
【引いた言葉】
冤罪
もう‐ろく【耄碌】
〘名〙 (「碌」は本来、石の多いさまの意で当て字か)
① (━する) 老いぼれること。また、その人。老耄。
② (「亡六」とも書く) 上方で、武家奉公の下男。渡り中間(ちゅうげん)。折助(おりすけ)。
③ 上方で、喧嘩やゆすりなどをする者。
被害者参加制度(ひがいしゃさんかせいど)は、犯罪被害者や遺族などが刑事訴訟に参加できる制度である。日本では2008年12月1日から導入され、一定の重大な事件の被害者や遺族などは、被害者参加人として公判期日への出席、証人尋問、被告人質問、論告などをおこなうことができる。被害者参加人は、弁護士(被害者参加弁護士)に委託して援助を受けることができ、経済的に余裕がない場合には、国が弁護士報酬などを負担する制度が利用できる。

