七色息子へ。
七色の虹が終わる時、息子は父にならねばならない。少年は男になり、王子は王となる。
現実と折り合い、自然と和し、時間に染まる。つまり、成熟するのだ。悪を引き受ける。矛盾を呑み込む。
十二の原色を全部混ぜると深い黒になる。
真昼の明るさに夜の闇の深さが解るものか。
ニーチェの言葉だ。
人はやがて漆黒の闇を生きねばならない。
それがこの世に生を受けた者の宿命だ。
七色息子は漆黒の父になる。
そこからだ、人生が始まるのは。現実、自然、そして時間。
[無謀漫遊記]は人間の宿命と戦う人々、ひとりびとりの物語なのだ。