「厨房の哲学者」を読みました。
料理でもなんでもその道を極める人は幼少期からその才能を発揮し、好きで仕方がないからどんな過酷な道であっても乗り越えられたんだという王道スタイルからかけ離れた脇屋シェフの料理界への入り方がまずはとても印象的でした。
15歳でいきなり赤坂の超一流店に放り込まれるので、修学旅行時に無理やり札幌のホテルの厨房に潜り込んだフレンチの三國清美さんとは全く真逆で、三國さんからすれば羨ましすぎる環境といえますが、それも親が勝手に決めた事で望んでいない少年からすればただただ過酷でしかない。
そんな過酷な仕事も続けるうちに光を見出し、やると決めてからは1ミリもブレずに走り続け、次々に道を切り開いてきた脇屋さん。
その時々に出会うキーパーソン達に引き上げられてきた運の良さ(努力と実力ですが、ここは敢えて運と書かせてもらいます)もありますが、その人に出会う運こそが彼の最大の魅力だと思いました。
脇屋さんは「何故だか気に入られ」る事が多い。
才能やセンスはもちろんの事、超一流と呼ばれる人には圧倒的な人間力も必要なのだと強く感じました。
私は一年ほど前より中国語を勉強し始め、そのうち中華料理にも興味が湧き、中華料理の奥深さに沼ってしまいました。そんな中でこの本と出会ったものだから、もう大興奮です。
菜単のメニューの多さ、他国の料理との皿や盛り付けの違い、中国料理の何千年の常識を覆し、今では当たり前の中華コース料理を生み出したのが脇屋さんだと知り感動。
学生時代夢中で読んだ本達を作ったのが後に幻冬舎社長見城さんだったと知った時くらい感動!
また合間に入る中華料理のプチ豆知識コーナー(勝手にネーミング)では私が今1番知りたいと思っていた事ばかりが書かれていて、本当にもうこれはバイブルです。読み終えて思わず抱きしめたほどでした。
そんな脇屋さんが創り出す料理を食べてみたい…
この本を読んで誰しもが思わないわけがない。
「今自分の目の前にあることに、とりあえず必死で取り組んでみることだ。それが心底自分のなすべき仕事だとわかったとき、人生は必ず変わる。」
脇屋さんが発するからこそこの言葉に命が宿る。
私も先の不安を案ずるより、まずは目の前のやるべき事に全力を注ぎたいと思います。
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