鯖缶のトーク
トーク情報鯖缶 吉田真悟吉田真悟 柴田哲孝著『暗殺』
元総理が凶弾に倒れ、その場にいた一人の男が捕まった。
日本の未来を奪った2発の弾丸。
本当に“彼”が、元総理を撃ったのか?
日本を震撼させた実際の事件をモチーフに膨大な取材で描く、傑作サスペンス。
奈良県で日本の元内閣総理大臣が撃たれ、死亡した。その場で取り押さえられたのは41歳男性の容疑者。男は手製の銃で背後から被害者を強襲。犯行の動機として、元総理とある宗教団体とのつながりを主張した――。
日本史上最長政権を築いた元総理が殺された、前代未聞の凶行。しかし、この事件では多くの疑問点が見逃されていた。致命傷となった銃弾が、現場から見つかっていない。被害者の体からは、容疑者が放ったのとは逆方向から撃たれた銃創が見つかった。そして、警察の現場検証は事件発生から5日後まで行われなかった。
警察は何を隠しているのか? 真犯人は誰だ?
著者について
1957年東京生まれ。日本大学芸術学部中退。2006年『下山事件 最後の証言』で日本推理作家協会賞(評論その他の部門)と日本冒険小説協会大賞(実録賞)、07年『TENGU』で大藪春彦賞を受賞する。著書に『下山事件 暗殺者たちの夏』『GEQ 大地震』『リベンジ』『ミッドナイト』『五十六 ISOROKU 異聞・真珠湾攻撃』『赤猫』『野守虫』『蒼い水の女』『ブレイクスルー』『殺し屋商会』などがある。鯖缶 見城徹見城徹 渡辺淳一さんはとにかく女性が好きだった。「男といるよりはどんなにブスでも女性がいい」と言い続けた。あっけらかんと率直に女性への執着を隠さなかった。作品も殆ど全てが女性との性愛で貫かれている。渡辺淳一にとって女性との性愛こそ生きる意味の根本だった。女性を描けば描くほどそこには死の影が裏側に張り付いていた。渡辺淳一は作品が次々とベストセラーになり、幸せな家族があっても常に苛立っていた。生まれ落ちた者が宿命として背負う死という虚無の前に佇んでいた。つまり、女性への憧憬はその虚無を薄めるための幻影と同義だった。追っかけても追っかけても自分の手からするりと抜けて行く女性との幻影。死をもってしか性愛は完結しないこと、性愛こそ生きることそのものだと渡辺淳一は感知していたのだ。それ以外には生の超越はないと。性愛の完結としての死。渡辺淳一の作品は夥しいほど死の影に彩られている。[シャトウ ルージュ](文藝春秋)という長編小説がある。僕は渡辺淳一の最高傑作だと思っている。全てのしがらみを捨て、全ての共同体の則を超えて地獄にも見える性愛の官能に戻って行く女。ポール・ボウルズの世界的名作[シェルタリング スカイ]を思い起こさせる作品だが、その[官能と虚無]においてポール・ボウルズを凌いでいる。癌に蝕まれた肉体に鞭打って書かれた渡辺淳一最後の小説[愛 ふたたび](幻冬舎)はそういう意味では渡辺淳一のすざましい性愛への執念が描かれていて、成功作とは言えないが胸を打つ。
- 鯖缶
鯖缶 2022年7月8日
~安倍元総理が街中で演説中に銃撃される~
日本国民は誰もがテレビを観て我が目を疑った。
私は咄嗟にハワイにいるあの人が、こんな恐ろしいニュースを知る事がせめて1秒でも遅くなりますようにと願わずにいられなかった…。
「暗殺」
この本は記憶にまだ新しい日本を震撼させた元総理大臣が無職の一見何の設定も無さそうな男に撃たれた実際の事件をモチーフをしたサスペンス。
政治家が、警察が、はたまた宗教団体が複雑に絡まり合った陰謀かつ陰謀に驚くばかりの展開です。
私は読みながら何度もああ、そうだったのかと唸る。
そしていやいや、これはフィクションなのだと何回も自分に言い聞かせなくてはならなくなるほど物語と現実の境界線があやふやになるほどのめり込んでしまった。
最後はこの事件が冒頭の35年前の朝日新聞阪神支局襲来事件と繋がり、さらに意外すぎる展開に背筋にゾゾゾと凍りつく。膨大な取材をもとに描かれただけにリアルにしか思えないほど、妙に納得してしまう徹底的なディテール。
これはもう完全なる問題作で傑作でしょう。
これを書いた作者、世に出した出版社、ヤ・バ・イ。
あの事件からもうすぐ2年。
この本を読んで、改めてどうして安倍元総理が死なねばならなかったのかと思わずにいられない。
黙祷を捧げます。
[暗殺 柴田哲考作 ]読書記録