10月3日(水)
朝起きてカーテンを開くとカラスがベランダにとまっていた。
カラスは僕を見るなり羽をバタバタさせて「かぁ」と一声鳴いた。
逃げる様子はない。
僕は「ど、どうしたんでぁか、カラスくん」と声をかけた。カラス相手に緊張で甘噛みしてしまうのが本当に情けない。
カラスは再び羽をバタバタさせて下の道路の方に顔をやり「かぁ」と鳴いた。何か伝えたいのだろうか。よく分からない。
昔、巨大なクチバシを小道具として作ったことを思い出した。長さは1mくらい。失礼、1m50cmはあります。それを装着すれば少し気持ちが分かるかもしれない。
僕は押し入れの中からクチバシを引っぱり出し装着しカラスの前へと戻った。カラスは少しひいているように見えた。
するとカラスは再び道路の方に目をやり「かぁ」と鳴き下へと飛んでいった。
僕は部屋を出て階段を降りマンションの玄関を出るとカラスがいた。カラスの隣には怪我をしたカラスが道路にうなだれていた。
大丈夫か、と近付いて見てみると黒いゴミだった。黒いもさもさのゴミに赤いどろっとしたゴミが付いているだけだった。
カラスはこのゴミの塊を仲間と勘違いしているようだった。頭が良いと聞いていたが全然良くない。
僕は「いや、これゴミやで(笑)」と言い黒いゴミをわしゃわしゃっとするとカラスは「か、かぁ」と鳴き頬を赤らめていた。おしり。
すると道路に車が走り込んできたのでカラスはそのままどこかに飛んでいった。僕も道路の端に寄ったが装着してたクチバシの先っちょだけ少し轢かれた。
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