今年度ラストの週が始まったが、もう授業は無い。今週は全部、金曜に子どもたちに発表するオペレッタの練習の為に充てられる。 ２号館へ道具を運ぶため９時集合で、おれが着いた時にはもういつもの早く集まるメンバーは来ていた。 190㎝男がのしのしと大道具や小道具をロビーへ出していき、それをみんなで運んだ。中野郁海似はインフル疑惑だったが、胃腸炎だったそうだ。人生でこんなに吐いたこと無いというくらい吐いたらしく、想像しただけで可哀想であった。 またもや体調を崩していた岡田彩花似が今日再復活したようだった。本番まで持つか心配である。彼女は張り切るタイプなので、またガクンと調子を崩したら心配だが、今日は珍しく雰囲気がマイルドだったので、この調子で持って欲しい。 ２号館のスタジオには可憐なコのクラスが来ていて、合同だった。可憐なコと遠くから手を振り合った。可憐なコに手を振ると、わざと「誰に振ってるんだろう」みたいな風に後ろを向くので面白い。そして向こうが振ってきた時にはおれが後ろを向き、一段落する。発表委員の可憐なコは、今日も赤ちゃんみたいな可愛い声を張ってみんなを指揮していた。 うちのクラスは、スタジオでは練習はせず、大道具や衣装製作の最終段階に入った。おれの衣装は、しゃがんだ時に股が破けないよう、予めスカート風にしたのだが、高山一実声似が大きな赤いリボンを胸に付けた為、とんでもない仕上がりになった。本番では耳の付いた帽子を被るので、浜田ばみゅばみゅのような仕上がりになるのだろうか。 190㎝男とSTAR WARS男と問題児男とおれで、家を組み上げた。問題児男は相変わらず不器用の極みだが、指示したことを本当に一生懸命やってくれる。固結びした紐を、その上から蝶々結びしたり、無意味なオマケを付けてくるが、彼は至って真面目なのである。以前はおれもそんな彼の行動を見ても「またやってるな」くらいにしか思わず、何も言わなかったが、最近はそれに対し「何やってんだ馬鹿」くらい言えるようになったので、少しは仲良くなれた気がする。相変わらず口臭兵器ではあるが。 随分前に岡田彩花似に筆箱に入れられた謎のキャップをおれは後生大事に筆箱に入れておいたのだが、おれが今日持っていった、先端が裸ん坊の危なっかしいキリの尖り部を覆うのにピッタリであった。岡田彩花似と盛り上がった。 ３階に降りて、製作の続きをした。 スレイヤーが体調を崩していてずっとどんよりしていた。 アイドル好き女はSNOWでおれを撮りまくり、今日体調を崩して来られなかった魔性の女っぽいコにそれを送っていた。 全ての大道具が終わり、暇で座りながら少し遠くにいたバスケ少女にPPAPをしていると、声の低いコがハマり、またおれを撮影し始めた。おれは立ってPPAPをフルでやりきり、声の低いコの大爆笑を獲得できた。 最後に器用なDQNちゃんが大道具の細部をカラーテープで飾ってくれて、めちゃめちゃ可愛く仕上がった。 担任が、大道具用におれが書いた大きな絵を誉めてくれた。黒ポスカ１本持って孤独に描き進めた甲斐があった。問題児男が一部手伝ってくれたが、塗り方が違っていてそこだけ変になっているが。 最後に劇の通し練習を１回して、記念撮影して終わった。 本館まで戻り、道具関係を多目的室に運んだ。ドッチボールで意外にも剛球を放つふっくらメガネちゃんと丸めたゴミ袋を投げ合ったりした後帰った。 早く終わったので、おれは帰りにロックショップに行ってメタルバンドのワッペンをいくつか買った。そして駅周辺をぶらぶらした。無印良品には目当てのポシェットが無く、ビレバンにも無くて帰った。 夜は母ちゃんと近所の温泉に行った。サウナから水風呂の往復で、心地良くぐったりである。