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「天ぷら」といえば、関西では衣を付けて揚げた料理と、すり身を揚げた、所謂「薩摩揚げ」みたいなのも「天ぷら」と呼ぶ。そんな豆知識はさておき。 今はどうだかわからないけれど、私が大阪にいた頃、最高級な天ぷら店は殆ど見かけなかった。 その筋のバッジがキラキラ系のオッサンが、なにかにつけては 「あー、東京の天ぷら、美味かったわー、あんなんこっちで食われへんかな」 と百万回は聞かされた私は、キタのシマの彼のためというのも少しはありつつ、別の街をブラつく時には、天ぷら店を気にかけるようになった。 ミナミの方で見つけた、場所も名前も忘れてしまった、東京出身の御夫婦が切り盛りしている小さなお店が、外観はさておき、高級で美しい、そしてもちろん抜群に美味しい天ぷらを、最高級でもない値段で食べさせてくれた。 「これが、あのオッサンが言うてた天ぷらか」 しかし、少しのアレルギーもあって、私は海老を食べられない。そんな私を、店主はやはり不憫に思ったのか、他の食材でもてなしてはくれたのだが、美味しく食べられるためだけに捕らえられ、ケースにズラリと並べられた蝦たちを見ると、私はとても申し訳ない気持ちに襲われた。 バーに電話を入れてみると、件のオッサンは偶然にもいて、美味い天ぷらの事を伝えると「すぐ行く」ガラガラ、みたいな勢いで入ってきた。 赤い彗星の如く、通常よりアレなスピードで海老の天ぷらを次々と食べたオッサンは、溶けかけた鬼瓦みたいな笑顔を浮かべつつ、小さめの団扇みたいな掌で、何回も私の肩を叩きながら、絶賛の意を表した。 駐車場に止めた、フルスモークの、大きな硯みたいなS600の前で、 「乗って去ぬか?」 「乗るわけないやろ」 のやり合いのあと、ポツリと 「明日ゴルフやのに、なんちゅうもん食わすねん、ありがとうな」 とオッサンは呟いた。 ゴルフをやらない私には、なんの冗談なのかは、その時は知れなかったので、曖昧に笑うしかなかった。 ( 。・_・。 ) 🍤

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眠いんです。護廷十三隊 六番隊
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