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黒田倫史

12月発売予定の三國清三『三流シェフ』ゲラ読みました。色々な言葉でよさを言うよりも皆さんに 読んで欲しいと思いました。 冒頭のシーンで一気に引き込まれます。何て素敵なのでしょう。フィクションのようなやりとりです。普通の家庭にいきなり訪ねてきた人が「ここで店をやらせて欲しい」 エピソードにドラマ性があるんです。 先方はまさかフランス料理の権威が来てお願いしているとは分からないので、いたずらを上から見てる気分でした。思わずにんまりしてしまいます。 北海道時代からの各エピソードの全てが一貫して強い意志での中央突破の連続でした。何と勇気が湧いてくるのでしょうか。 食器を洗うということをただひたすらきちんと繰り返しやるという下積みを、ただの作業にしないで工夫していた。 「新入りに手取り足取り料理を教える時代ではなかった。先輩がソースを作った鍋を洗い場へ下げるときは、鍋の底に残ったソースを手のひらで掬って舐めて味を憶えた。」 教えてもらうではなく、勝手に見て覚える。最近ではあまり強く言われないことですが、例えばスポーツ選手もyoutuberも独学で努力しています。 学びたいという、味を自分のものにしたいという意欲溢れるシーンでとても感動しました。 あとはスイス赴任直後にアメリカの大使へ出すフルコースの料理をつくる際に、普段行ってる店を大使館の通訳を巻き込んで探るところは痛快でした。 またラストである秘密を明かされてビックリでした。 これはまさに伝説のノンフィクションになるかもしれません。 読み終えて震えてしまいます。

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