個々の書評が鋭い洞察に富むことは言うまでもないが、私は単純にその教養の広さに驚かされる。
ボクシングに始まりフランス映画にまで話は広がる。それら全てが人生と深い関係を持ち、それらの主張の根底は一貫している。
沢木氏の『深夜特急』は中学時代に読んだが、当時は楽しそうくらいにしか感じなかった。もちろんラストで泣き崩れることもなかった。
そんな私はただの「天使」に過ぎなかった。現在も同様である。もちろん、当時も今も自分が十分な教養を持って世界を認識しているとは言っていない。ただ私が何も実践していないという意味で、だ。
私は来月、大学を卒業する。初めてこの世に生を受ける。
私がまずすべきことは何か。
それは
『深夜特急』を読み返すことだ。
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