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豊永阿紀(HKT48)
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#豊永阿紀の本棚 2018.06.30 噛みあわない会話と、ある過去について/辻村深月 私はあの時なんて言っただろうか。 過去の会話を、一言一句憶えているなんてこと、不可能だと思う。きっとそれは誰も。 それでも憶えている。相手は憶えている。私が憶えているように。 人には誰しも地雷というものがある。それは、同じ意味の発言でも、その言葉が、ただ一つのワードが入っただけでどうしても許せなくなる、呪いのようなもので、たちが悪いことに、呪いをかけた当の本人は、気づいていない。 私も、かけられたことが何度もあるし、そしてかけたことがある。それを知っているのは傷ついたのだと、教えてくれた人がいたから。教えてくれなければ、分からなかった。そんな、わたしにとっては、たわいもない言葉。優しい人だから教えてくれたけれど、未だに分かっていない呪いも、きっとあるのだと思う。誰しもあるのだと思う。 記憶は、変わっていく。人間は忘却の生き物とはよく言ったもので、都合の悪いことはすぐに忘れるし、都合よく塗り替えてしまう。それを事実だと信じる。それでも、傷つけられたことは、鮮明に、1ミリの狂いもなく憶えている。感情も、音も、景色さえ、鮮明に。わたしは、憶えている。 ナベちゃんのヨメとママ・はは、は完全に読者として読めた(怖かった)けれど、パッとしない子は、あの人はいまどう言っているんだろうかと思う自分がいたし、早穂とゆかりは、どちら側の人間だろうかと考えてしまった。そして、それは多分どっちも。 誰しもある、記憶の話。 ダークな辻村さんだった〜〜〜〜〜

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    豊永阿紀(HKT48)

    2017.06.23
    砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない/桜庭一樹

    タイトルに惹かれて何年も読もうとしてたのに、タイミングを逃してやっと読みました。


    苦しい〜〜〜〜〜これが嘘ならいいのに、全部嘘ならいいのに。
    フィクションなんだけど、これは現実世界のことだと、しっかり訴えかけてくる。だけど、美しさと儚さとがそこにあって。それは、お互いの存在があったからなのだと。

    どうしようもない現実は、容赦なく人間を襲う。その中でも、子供への容赦のなさは、時に残酷すぎる。なぜなら、子供は環境を選べない。そして、子供は弾丸を持てない。少し力を込めると粉々に崩れてしまう。込める側には、立てない。財も、権利も、子供にはないから。

    結末が分かっているのに、何度も実は伏線なんじゃないかと勘繰った。どんでん返しを期待した。だけど物語は結末へと向かって進んでいく。それほどに目を背けたくなることがある。そしてそれは、現実だ。好きって絶望だ。
    それでも、美しく感じるのは、なぜなのだろうか。きっとまた、読むだろうなと思った作品でした。

    読む前と、読んだ後のタイトルのギャップが、今までで1番でした。


    読みながら頭の中で人物像を描くんだけど、藻屑の人物像は、完全に私の中でGOSICKの、ヴィクトリカだったなぁ。GOSICK読み直したくなったなぁ。

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    2017.07.04
    ツバキ文具店/小川 糸


    表紙と、文具店のフレーズに惹かれ、手に取りました。

    最近は、誰かからの紹介だとか、好きな作者さんの作品だったりだとかで読む本が決まってきていたんですが、
    久しぶりに一目惚れして書いまして。小学校の頃は、そうやって何も気にせず、装丁や題名や、そういうもので気になって読んでいたなぁ、って思い出しました。
    どっちもいいんだけど、やっぱりそういう出会いがあるから、本は良いなって、再確認。



    とても暖かくて、人の暮らしが存在している一冊でした。
    鎌倉という実際の街を舞台に、活躍する代書屋さんのお話。いろんな依頼を、時に悩みながらも全うするポッポちゃんは、とっても素敵な女性でした。

    生まれや育ち、依頼の内容も実は複雑なのに、そこに重さを感じさせず、ふわりとしたクリーム色の優しさがずっとあって、それから、謎を謎のままにしてあるというか、全部書いてしまわないところが、想像を膨らませて、とても好きでした。

    そして、依頼を受け書いた代書が、そのまま載ってるのがまた良くて。文具のことは何も分からないけれど、紙の質感、ペンの種類、インクの色、ぬくもりが、言葉での説明だけなのにページをめくるたびに伝わってきて。


    鎌倉での日常も素敵だったな。実際に存在するお店や、神社が登場するから、行ってみたいと思ったし、きっと行ったらポッポちゃんたちに会える気がすると思う。行きたくなったな、鎌倉。

    そしてポッポちゃんが感じる、味、におい、音、色、触感の表現が絶妙で、自分もそこにいるみたいだった。鎌倉で1年過ごした気分。

    最後は、ちょっぴり泣いちゃって、だけどポッポちゃんからするとこれからも続く日常の中の1日なんだなぁと思うと、続きが見たくなる。今日はどんな1日を過ごしたのかなぁ?あの人と一緒かなぁ?想像は止まることなく続きます。

    何気ない人の温もりに包まれる、優しい本でした。よかったなぁ。

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    2017.07.10
    かがみの孤城/辻村 深月

    ずっと買いたくて、でも時間とかお金とかで買えなかったんだけど、やっと買えました。
    読み始めたら、もう止まらなかった。早く続きが読みたくて、なにをするのも後回しにしちゃいたいくらい一気に読むの、久しぶり。

    中学生の男女7人が、ある日突然光った鏡の中に吸い込まれて、オオカミさまに言われ、その中の城で、願いを叶える鍵を探す話。
    7人は、全く接点のない他人。
    共通点は……。
    ほぼ1年近くのお話なんだけど、
    あっという間に進んでいきました。でも、きっと彼らにとってこと1年はとてつもなく大きい。

    辻村さんの書く子ども(今回は中学生だったんだけど)は、なんであんなにリアルなんだろう。
    いつだって、自分の中では確かに、いろんなこと思ってて、ちゃんとした考えがあるのに、周りに言うにはなんて言えばいいかわからなかったり、信じてもらえなかったらどうしようって思ったり、自分では重大なことでも、しょうもないって思われたらどうしようって思ったり、だから見栄を張ったり、自分を守るために嘘をついたり。

    大人から見たら、ちゃんとしてないのかもしれない。いい子じゃないかもしれない。だけど、それぞれ闘ってる。精一杯闘ってる。その姿を、感情を、全部のせてくれる。

    辻村さんの作品はいつも、いろんな仕掛けがあって、気づくとあれ?と思ってドキドキして楽しめるんだけど、いつも全部は気づけなくて、それこそ、気づいたところはフェイクだったみたいに、1番大きなところは気づけない。
    そこが大好きなところなんだよな。

    途中でまたボロボロ泣いたんだけど、今回は最後が特にもう、だめだあああってなりました。今からまたそこ読む( ; ; )何回読んでも泣ける( ; ; )

    いや、でも
    言い足りないな。
    でも言えない。

    衝撃(衝撃の事実とか言うわけではなく、作品としての威力)が大きすぎて、なんて書けばいいのか分からないし、伝えられないのがもどかしい。でも、でも、きっとこの本を私は、何度も何度も読み返すと思う。

    またみんなが会えますように。

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    2017.07.20
    ポーの一族〜春の夢〜/萩尾望都

    エドガー!アラン!おかえりなさい!!!!!っていう本でした。といっても、わたしが最初に読んだのは去年だったので、全然久しぶりの再会ではなかったけれど、作品としては40年ぶりの新作!!!( ; ; )

    でも、エドガーとアランは変わらずそこにいて、時が経っても、当たり前に儚さをまとった少年のままだった〜〜〜それに、アランのわがままさというか人間らしさが、もっと色濃くなってるようで、エドガーの隠し事だったり、ほっといたりだったり、アランの気持ちになったらたまらなくなるよな〜〜〜
    ラストはどうなんだろう、バッドエンドであり、ハッピーエンドであり、、、。立場で変わるなぁ。でも、どの本だってそんな気がする。日常生活もそうだよなぁ!立場で変わる。世の常でございます。

    つぎは、どこへ、いつへ、連れていってくれるのかなぁ。

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    2017.10.31
    名前探しの放課後/辻村深月

    久しぶりに読みたくなって、1ヶ月くらい前から隙間時間で読み直してました。この本は1度読んだ後にまた読んだら、言葉一つ一つの意味がまるっと変わる不思議な本。実はまだ1度読んだきりでそれをしてなかったから、読み直したんだけど。

    とても青春が詰まってて、暖かくて、時に痛くて、強さも弱さもあって。例えるなら冬の夕焼け。一瞬の出来事なんだけど、その色もにおいも鮮明に記憶に残る。そんな本。


    辻村さんの作品は、どれも色が見えて、温度を感じて、匂いがする。
    この本からは、冬の触れると思わず手を引っ込めてしまうような冷たさがあって、だからこそ分かる冬にしかないぬくもりが染み込んでくる。

    結末を知って読むこの本は、より一層優しく、強く、あたたかく、そして人間という生き物の泥臭さを感じる。最高の泥臭さ。人間の底力。

    やっぱり好きだったなぁと改めて思いました。

    そして、この子達みんな年下やん、、、ってなりました、、、。

    かけがえのない青春をさみしいものにしないように、私ももがいてみる。

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    〜2017.12.05
    まほろ駅前多田便利軒
    まほろ駅前番外地
    まほろ駅前狂騒曲/三浦しをん

    映画ドラマ映画と、続けて見てしまい、原作をまとめ買いしてしまいました。

    記憶の中では中学でも読んでたんだけど、映像見た後だと感じ方がまた違って、もっともっとのめり込んで読んでしまいました。

    文章から感じる人物像って、どうしても自分の想像で作ってしまうけど、それがもう映像のキャストとぴったりで、特に番外地なんかは少しずつストーリーは違うのに、脳内で、あの多田とあの行天が、あの星が、あの由良が、動いて喋って生きてて。

    まるで実在するかのように、近くで暮らしてるかのように、くだらないことで笑ったり、ヒヤヒヤしたり、泣きそうになったら助けてくれそうな、そんなお節介たちに、このページを捲ればいつでも会えるんだなっていう安心感があって。きっとこの先何度も読むだろうなと改めて思いました。すでに中学の時も読んでたんだけど。

    特に狂騒曲の、感情の揺れ動きが好きで、揺さぶられて、緊迫してるんだけど、一番人間味があって、この一冊だけでも満足に成立して、そのくらいボリューミーなんだけど、でも前2冊の細かなところを鮮やかに回収して、こうなってたから、こうだったんだって、泣きそうになる。

    困ったときは多田便利軒へ。
    扉を叩く代わりに、ページをひらこう。

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    〜2018.03.12
    キラキラ共和国/小川糸

    本屋大賞ノミネート前に読んでたんだけど、やっと書けた!

    わたしはね、小さいころからキラキラが好き。
    お菓子についてるジュエリー、雨上がりの水滴、夏の砂浜、そしてキラキラという言葉そのもの。それだけで輝ける気がして、だいすきでした。

    その魔法を、ポッポちゃんも知ってたんだなぁって思うと一気に近く感じて、もっと覗き見していたくなっちゃう。


    この作品は、ツバキ文具店の続きなんだけど、前回が、鎌倉に住みたくなるお話なら、今回は、鎌倉で家族をつくりたくなるお話でした。

    ポッポちゃんは、鎌倉のみんなの嬉しいことや悲しいことを、代筆という形で自分のことのように感じて、受け止めて、それはもう家族同然だったけれど、どこかに線引きがあったし、先代のことも何度も思い出すけど、家には一人で、だけど、今回はそのポッポちゃんに家族ができたところから物語が始まりました。それが、急展開だったけれどとっても嬉しかったなぁ。

    後妻だったり連れ子だったり、年の差婚だったり、障害だったり、浮気だったり、捨てた母だったり、、
    家族というのは、血の繋がりだけでは語れず、人の数だけそれぞれの形や気持ちがあって、そのぬくもりや葛藤や思いやりやすれ違いやそして優しさが、鎌倉という町の魔法で、空気に漂うようにすっとはいってくるの。

    そして、このシリーズは、どんな気分の時でもごはんが出てくるから、とってもあったかい。QPちゃんにとって、この味が思い出の味になったりするんだろうなぁ。


    まだまだポッポちゃんの人生を、覗き見していたいなぁ。


    改めて、本屋大賞ノミネートおめでとうございます!

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    2018.06.27

    青空と逃げる/辻村深月

    川、風、船。
    1ページ目の景色がとても爽やかで、今までの辻村さんの作品とは少し違うなと思ったところからのはじまり。

    家族がキーマンになったりすることはあっても、ここまでの親子の話というのも珍しい気がしました。

    ところで、この本の主人公は誰なんだろう。

    物語は、小学5年生の男子、本条力が四万十で初めて体験する川漁から始まる。わたしは、力になり、力の感じる風や、匂いや、食感や、重さ、記憶、感情を動かす。だからわたしは、当たり前に、力が主人公だと思っていたんです。

    なのに、場面が変わると、視点が変わっていた。力の母、早苗が語るその続き。母から見た力や四万十の話。


    ああ、辻村さんの作品だなぁ、と思いました。
    辻村さんは、子どもの気持ちをずっと忘れない。感じた理不尽や、疑問を忘れない。でも、大人だ。大人から見たその理不尽の理由や、答えを知っている。わたしがなりたかった大人。

    この親子は、父/夫のスキャンダルに巻き込まれ、いろんな場所を転々とし、慣れた頃にまた逃げないといけなくなる。そんな2人の特別な季節の話。ずっと一緒にいるのはお互いだけで、そのぶん、記憶や日常は、濃く重なり、その重なった部分を通して、とても自然に、何も考えることもなく自然に、主人公が変わっていくんです。

    その後も、力と、早苗が交代に時間を進めていきます。そうして、交互に主人公が変わるのは、まるで人生そのもののようでした。

    人の数だけ物語があり、それぞれが主人公だ。何千回と聞いた言葉の意味が、ようやく腑に落ちたような、そんな感じ。

    1つの出来事に対して感じることや考えることは、立場や自分の持っているカードで変わるのだと、気づかされました。

    2人の主人公が、次々とめくっていくカードで、だんだんと真相が解き明かされていく。

    親子なのだから、家族なのだから、はじめから全て見せていれば、こんなに長い間逃げなくてもよかったのに。それでも家族だから、護りたくて、傷つけたくなくて、想像して、なかなかあかせないこともある。

    いや、家族だけじゃない。護りたい思うものがあると、一方で言えないことがあるというのは、誰しも心当たりがあるような気がします。それは家族だったり、自分の身だったり、誰かの未来だったり、人それぞれで。それが少しずつずれるから、一筋縄じゃいかないんですよね。


    この親子は、すごく優しくて、すごくつよい。

    でもそれは特別なことなんかじゃなくて、根底にあったものたちが、いろんな人に出会い、味わい、あたたかさと冷たさに触れるたび、少しずつ少しずつ、顔を出したもの。人は誰しも、そんな力があるらしい。人間、いざとなればどこにでもいけるし、どうにでもなれる。そして、何かに一生懸命に生きていれば、本当に困った時、手を差し伸べてくれる人がいる。助けを求めていいんだって、また教えてもらいました。

    この本の舞台に行くことも、また一つ夢になったんだけど、47都道府県行ったからか、こういう感じか、こういう風景か、温度か、においか、ってわかる自分がいてびっくり。

    それぞれの地で出会った彼らは、いまどうしてるだろう。
    いつか、力の会いたい人にまた会えるといいなと思うし、いつか、思い出として、思い出せる日が来るといいな。

    それから力の人形劇、2人の血を引いてるんだなぁ、と微笑ましくなったけど、血のつながりがなくても、同じ思考回路で、同じ行動をする2人もいる。家族って、不思議だ。

    個人的な話、凍りのくじらの理帆子と力は仲良くなれそうな気がします。

    またひとつ好きな本が増えました。

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    2018.06.30

    噛みあわない会話と、ある過去について/辻村深月


    私はあの時なんて言っただろうか。
    過去の会話を、一言一句憶えているなんてこと、不可能だと思う。きっとそれは誰も。

    それでも憶えている。相手は憶えている。私が憶えているように。

    人には誰しも地雷というものがある。それは、同じ意味の発言でも、その言葉が、ただ一つのワードが入っただけでどうしても許せなくなる、呪いのようなもので、たちが悪いことに、呪いをかけた当の本人は、気づいていない。

    私も、かけられたことが何度もあるし、そしてかけたことがある。それを知っているのは傷ついたのだと、教えてくれた人がいたから。教えてくれなければ、分からなかった。そんな、わたしにとっては、たわいもない言葉。優しい人だから教えてくれたけれど、未だに分かっていない呪いも、きっとあるのだと思う。誰しもあるのだと思う。

    記憶は、変わっていく。人間は忘却の生き物とはよく言ったもので、都合の悪いことはすぐに忘れるし、都合よく塗り替えてしまう。それを事実だと信じる。それでも、傷つけられたことは、鮮明に、1ミリの狂いもなく憶えている。感情も、音も、景色さえ、鮮明に。わたしは、憶えている。

    ナベちゃんのヨメとママ・はは、は完全に読者として読めた(怖かった)けれど、パッとしない子は、あの人はいまどう言っているんだろうかと思う自分がいたし、早穂とゆかりは、どちら側の人間だろうかと考えてしまった。そして、それは多分どっちも。

    誰しもある、記憶の話。

    ダークな辻村さんだった〜〜〜〜〜

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    #豊永阿紀の本棚
    2019.02.28

    小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記/辻村深月

    明日公開のドラえもんの映画、その脚本を辻村深月さんが書かれたということで、一足先に小説を読みました。

    ネタバレになってしまうので、感想ではなく、少しだけ昔話をさせてください。



    ドラえもんはむかし、幼馴染の家に住んでいました。

    保育園に通っていた頃の、金曜日のお話。
    私は、帰り道にかきかた教室に行って、そのあとにダンスに行っていました。

    その間の時間、幼馴染のお家でご飯を食べていた時に見ていたのがドラえもん。

    かきかたの終わる時間はまちまちで、毎週は見れなかったけど、あのお家で食べていたご飯、幼馴染の妹の椅子、そしてドラえもん。あの頃のことを思い出すと、この光景が蘇ります、

    ドラえもんのすごいところは、毎週見ていなくても、まるでいつのまにか言葉を覚えているような自然さで、あの子達の名前を覚えていること。タケコプターやどこでもドアもわかること。

    だけど私はやっぱり、毎週は見れなかったから詳しくはなくて、ひみつ道具何がほしい?って聞かれても、その2つしか知らなかった。

    そんな私が、ドラえもんを少し近くに感じるようになったのが中学2年生の頃。

    辻村深月さんの、凍りのくじらとの出会いでした。

    カワイソメダル、もしもボックス、いやなことヒューズに先取り約束機、ムードもりあげ楽団、ツーカー錠、タイムカプセルにどくさいスイッチ、そして、テキオー灯。

    ひみつ道具やドラえもんの話がたくさん出てくるこのお話は、ドラえもんが好きな女の子のお話。話が出来すぎていて少し怖いのだけど、実は、この主人公、あの幼馴染と同じ名前を持つのです。(おとうさんもおなじなまえなの。)(すごいよね)

    この少しずつのつながりが、やっぱりうれしくて、

    辻村先生とドラえもんのように、私にとっての辻村作品は、特に凍りのくじらは、ずっとずっと、当たり前に私の人生の一部なのだなぁと実感します。

    映画公開記念のインタビューで、「もしかしたらこの本で、初めてドラえもんに出会う子どもがいるかもしれない。」と、辻村先生がおっしゃっていたのだけれど、たしかに私は、これを読んでやっとドラえもんと、のび太やジャイアンやスネ夫やしずかちゃんと、初めて対面した。それがなんだかとっても嬉しかった。

    今年のドラえもんの映画、初めて観てみようと思います。

    理帆子と郁也も、きっと観るんだろうな。

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