#辻村深月
演劇集団キャラメルボックス「スロウハイツの神様」(原作 辻村深月)が本当に良い舞台だったので、まだ自分の中で感動が持続している。
無償の愛って、そのへんに転がってるもんじゃない。そんなこと誰でも分かってる。分かりすぎてて、誰もが その存在を頭っから否定してる。まるで神話か寓話か何か、そんなもんと一緒に 棚の上の奥の方にしまって。愛の見返りを求めたり、合理的に自分の愛を証明しようとしたり、そんなことをしてしまう。誰だって自分の愛に価値を見出したいものなんだ。誰だって自分が一番可愛いでしょ?
ところが、そんな自己愛が足りな過ぎるのも問題なのである。
スロウハイツの住人たちのほとんどは、自分を愛する術を忘れてしまっていた。自信もなければ 運も お金もない、だから、自分の才能も育たない、開花しない、そもそも自分に才能なんてあんのか?って、心のどこかでモヤモヤとした気持ちを抱えながら、不本意に現実を生きていた。心の拠り所は、どんなときも温かく迎えてくれる、なにかあったら厳しく励ましてくれる、そんなルームシェアをしている友の存在だけだった。
でも、たとえ友達同士だって隠し事の1つや2つはある。
この物語は、そんな隠し事が、次々と明るみになって、なんだかんだあって、それぞれ、前より自分のことがちょっとだけ好きになる、そんな物語。
ほんのちょっと自分を愛してあげる、それが生きる上で どれだけ大切なことか。でも、そのキッカケは自分一人の力では決して得ることはできない。というか気づくことすらできないだろう。
だって、生きてる意味を見い出せず、今まさに死のうとしている者に、自分を愛することなんてできるわけがないから。
それは神様だって同じこと。
無償の愛は、天から舞い降りる。
拝啓 神様、あなたは 私の生きる力です。
無垢で儚い その愛に、ずっと そっと 寄り添って、新たに芽生える友情の、なんと不器用で、なんと切なく、なんと愛しい関係か。
環、コウちゃん、狩野、正義、スー、もうみんな大好き!!
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