【ショパン国際ピアノコンクール】 顧客の奥様とリビングで紅茶を頂いていた時に隣の部屋から罵声が届いてきた。 「本当ならあなたを教えるレベルじゃないのよ！私は！真面目に弾きなさい！」 たしかにそう聞こえたと思う。 今なら自分も似たようなセリフを吐いていそうだが(笑)、何しろ当時はまだ駆け出しの若造だったから心底驚いた。 いくら息子さんがやんちゃな年頃だとはいえ、お金を頂いているピアノ講師という立場からすれば、かなりの暴言で間違いない。 たしか若い彼女はショパン国際の入賞者(記憶が曖昧ながら少なくともチャイコフスキーかエリザベートまで)。とんでもなく優秀だろう。 とはいえ、人には言っていいことと悪いことがあるはず… だから、自分は言葉を選んで奥様に申し上げた。 それにしても随分上からで迫力ありますね(苦笑) 「宅は…」 と言って、奥様はダージリンのカップをソーサーに置いた。 「だからこそ彼女を雇っています。ダメなのは息子で、彼女の言っていることは全く正しいです」 顔色ひとつ変えなかった。 顧客ご夫妻は お二人で協力し一代で広告(音楽)会社を立ち上げ成功していた。 端から見たら超一流のピアニストを中学生の担当にすることの是非はイスマエルさんあたりに伺うとして、 自分が心を揺さぶられたのは、その極端に舵を切る姿勢。 見城さんのおっしゃる通り、そこには中庸は無かった。 #いつまでも変わらぬ愛を #ポカリスエット