【イケメンとしての矜持。R18指定】 自分はイケメンと呼ばれることが多い。もちろん顔面ではなく、イケてるメンタル。おそらく神経が図太いということだろう。 ただ、そんな自分でも心が傷ついて人知れず涙し眠れない夜を過ごすことがある(第4回) 20代の半ばから足掛け15年ほど新宿二丁目で遊んでいた時期がある(既出)。 柳通りと仲通りの交差点を中心に、ゴハンちゃんが在籍していた「半魚人」から「いれ～ぬ」といった有名店まではしご酒。 多い時は週6で飲み散らかしていたから二丁目にドップリだったと思う。 もちろん、キャバクラ→アフターでゲイバー→ラブホというループは楽しかったのだが、 むしろギャルソンやヨージヤマモトなどのアパレル店員、出版を中心としたマスコミ業界人、売れないお笑い芸人たちとの交流が面白くて仕方なかった。 ある週末の深夜、超満員で立ち飲みも出ていた「ゆたか」に男女グループが入ってきた。その中の黒髪ボブの女子が目に止まる。 おっ、可愛いいじゃん！ ゲイバーのママはお客同士を結び付けるのが上手い。というか仕事のひとつなんだが(笑)。ほどなくして自分たちのグループと合流した彼ら。たまたまその女子が隣の席に着いた。あれ？先週もいたよね。別の店かな？ 時節柄、A子さん(仮名)としておこう。 彼女の2杯目のオンザロックの氷が溶ける頃には仲良くなっていたんだけど、慶應大文学部から小学館の某女性誌編集部らしい。就活すらしなかった自分からしたら超エリート。 2丁目で遊んでる連中は とにかく飲むから朝4時の閉店の後、3丁目の居酒屋「どんじゃか」に移動することになった。総勢10名ほど。 全員すげ～酔ってるのでフラフラしながら歩いていく。いつの間にか手を繋いでいたA子さんが途中のビルの陰でささやいた。 ねぇこのまま二人で抜け出しちゃおか？ えっ？まじで！ 慌てて拾ったタクシーで代々木上原の彼女のマンションに行くことになったという出来すぎた幸運。 あれっ、これって俺モテてるってこと？ いつもは水ショーの子やギャルばっかだけどインテリな子でもイケるじゃん！ 自己肯定感マックスで彼女の部屋に入ったチケかず。お楽しみはこれからだっ！って抱きしめようとした。 なのに、黒のハイネックを自分で脱ぎなら彼女は気だるそうにつぶやいたんだ。 「最近さぁ、このパターン多いんだよねぇ。ふぅ。」 えっまってまって。こ、このパターンって…。お、オレだけ特別なんじゃ… すべての男は消耗品である。 それは けだし至言であった。 (写真は新宿ひげガールのベルさん。お店での気配りは秀逸すぎる。だからNo.1か) #男の、涙の落ちる音がした