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アフマド ルザイン(RUZAIN)
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「ブルガリアの聖人」 今年100歳になるという、ドブリ・ドブレフおじいさんのことを知る人は、 彼のことを、そう呼ぶのだという。 第二次大戦で聴覚をほとんど失ってしまった彼は、 毎日、25kmもの距離を徒歩で移動するのを数十年も続けている。 自らが作った質素な服と皮の靴を身につけ、 村からブルガリアの首都ソフィア市まで歩き、 お金を恵んでもらう日々を過ごしているのだ。 とは言え、物乞いをしているとはいっても、自分の為にしているわけではない。 ドブレフおじいさんは家を持たず、 毎月80ユーロ(約11,000円)の年金で生活をやりくりしている。 おじいさんは、 これまでに物乞いをして集めたお金、およそ40,000ユーロ(約565万円)をすべて、 経営難に苦しむ児童養護施設に寄付しているのだ。 物乞いで集めたお金は、1セントたりとも自分の為には使わない。 全額、施設に渡すのだ。 ドブレフおじいさんの行いを知った人は、 彼の生まれ故郷にちなみ、「ブルガリアの聖人」と呼ぶ人もいる。 そんなおじいさんも今年で100歳になる。 おじいさんの物乞いは大変静かなもので、無理強いするようなことはない。 その為に人々から愛される存在となっており、 「ドブリおじいさん」という愛称で呼びかけられる。 人の為に何かをするということは、特別に難しいことはない。 おじいさんのように、自分のできる範囲のことを続けていけばいいのだ。 すこしずつでも、自分にできることを。 遠い海の向こうに暮らす、100歳のホームレスのおじいさんの人生は、 そんな、シンプルで力強い教訓を教えてくれるようだ。

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