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  • しおつー
    古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)

    2日目【堀、高山、与田、生田、西野、白石、秋元、衛藤、大園、生駒、桜井、若月】

    夜の時間。私たちは飛鳥を襲撃した。理由は、何か役職を持ってそうだったから。結果、噛みは通り、飛鳥は死んだ。

    剣ヶ峰。私と生ちゃんの信用勝負の日。同い年としてこのグループに入り、期こそ違えど、時にセンターとして、矜持を持って取り組んできた。だから、簡単に倒れる相手ではないことを私は知っていた。

    昨日、桜井さんと若月さんが、投票時に与田ちゃんを怪しんでいたことはわかっていた。
    そして生ちゃん。圧倒的に不利な状況を乗り越えたことで、村に信用されつつあった。
    このままでは、与田ちゃんと私、両方が処刑される。それはダメ。
    今必要なのは、期を越えた一体感。奇しくも1期から3期まで、1人ずつが人狼カードを引いた。私は先輩として、与田ちゃんを守る義務がある。

    だから、決断した。

    「与田ちゃんが人狼です!」

    人狼の私が、仲間の与田ちゃんに、人狼出し。高山さんが一瞬たじろぐのがわかった。それもそうだ。こんな作戦、メチャクチャだ。自滅行為にも見える。でも。だからこそ。私たちは生き残る。

    村は一気に私を信じた。桜井さんや若月さんは、自分の推理が合っていたと感じている。西野さんもどうやら私が本物と置いている様子だ。

    「つまり与田ちゃんが投票した生ちゃんは人狼ではなく狂人!衛藤さんは投票対象にあがった与田ちゃんが騙らなかったのにもかかわらず黙っていた、つまりはおそらく人間です」

    みんなが私の発言に耳を傾けていた。

    (このままなら、生ちゃんが吊れる…!)

    そう思った時、事が動く。

    「あ、あの…桃子、霊媒師です…!」

    突然の桃子の霊媒CO。飛鳥じゃなかった。私は当たりの悪さを感じながらも、それをどう利用するかを考え始めた。その時。

    「嘘!私が霊媒!」

    生駒さんが立ち上がった。
    どっちだ…正直わからない。

    ここで皆さんに伝え漏れていた事がある。
    そう、私は初日の白結果として、すでに生駒さんの名前をあげていた。
    真占いの生ちゃんは、桜井さん、西野さんが白。ただし、その両名ともが、私を信じている。

    生駒さんが続ける。
    「私目線、かなり未央奈が本物に見える」
    白もらいを含めてか、生駒さんが私を妄信する。私は考える。

    生駒さんは霊媒師か狂人。
    しかも私の白もらいから出てきたから、みんな目線も人狼ではないと感じるだろう。人狼ならば白をもらって黙っていた方が良いからだ。

    私を妄信する理由。単純に私の方が本物の占い師に見えたから?

    いや、違う。彼女が狂人だとしたら。私はさっき生ちゃんを狂人と置いて推理をした。そして生駒さんには白結果。つまり桃ちゃんを人狼と言っているようなもの。

    そうだ、通じたんだ、生駒さんに。私が人狼だってことを。
    生駒さん狂人、桃ちゃんが霊媒師…!

    気がつくのにかかった時間は数秒。私は冷静を取り繕い、「与田ちゃんを吊りたい」演技をした。ここで主張しない真占い師はいないからだ。

    そこをうまく受け取って議論を進めたのが高山さんだった。
    「生ちゃんの真は切れないから、まだ今日の段階で与田ちゃんは殺せない」
    さすがだった。村も総じて、高山さんの論に乗った。

    投票もその流れになり、生駒さんが口火を切って票は桃ちゃんに流れた。与田ちゃんはきっちり、私を疑う演技をして、私に投票した。

    「おそらく堀さんが偽物です…みんなに伝えられずごめんなさい…」

    目に涙を浮かべながら村を去る桃子を見て、明日をやり過ごせば勝てる可能性がかなり高いと、強く拳を握った。

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  • しおつー
    古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)

    3日目【堀、高山、与田、西野、白石、衛藤、生駒、桜井、若月】

    夜の時間。私は悩んだ。
    結局私が占い師のふりをして与田ちゃんを人狼と判定した。
    その後の吊り方、噛み方では、共倒れもありうる。今夜、どこを噛めば…

    高山(生ちゃんを噛む)

    高山さんが生ちゃんを指差した。えっ、生ちゃんは私の対抗…噛んでしまったら、真っ先に私が疑われる…

    ここまで1秒。そして2秒目にその意図を汲み取った私は、手でOKサインを出した。与田ちゃんは相変わらずどこかオドオドとしていたけど、私にはそれが勝ち筋に見えた。先輩の頼もしさを感じて、再び村へ戻る。

    「生ちゃんがやられたか…ということは未央奈」

    若月さんが私に目を向けた。
    返す刀で言い返そうとしたところを、生駒さんの声が遮った。

    「桃ちゃん人狼だったよ!おそらく未央奈が本物の占い師だと思う!」

    桃ちゃんは、人狼ではない。なぜなら、人狼は、高山さん、私、与田ちゃんの3人だから。人狼の私は知っている。
    ではなぜ生駒さんがこんなことを言うのか。

    生駒さんの狂人が、私たち狼目線で確定した瞬間だった。
    私は続けた。

    「狼は与田ちゃんと桃ちゃん。そしてあと1人が潜伏しています。勝ち目がないと踏んだ狼は、狂人の生ちゃんを噛んだんです。そして私と生駒さんの信用を落とそうとした!」

    村が納得し始めた。高山さんからのパス。おそらくこれが、その答えだ。

    「それで、未央奈は誰を占ったん?」

    それまで寡黙気味だった西野さんが聞いた。私は、噛み先や自己弁護に気を取られていて、占い先(実際には占ってないが)を、まだ決めてなかった。

    「占い先は白石さんです。昨日の桃ちゃん吊り、人狼同士の身内切りは必ず起きていると思いました。一番私にすり寄ったように見えたのが白石さんだったからです。ただ、結果は人間でした」

    なんとか整合性の取れる発言を咄嗟にした。

    しかし、本来人間と言われ私を信用してくれそうな白石さんが、疑念を向けてくる。

    「私を占い?初日与田ちゃん、2日目に桃ちゃんに投票している私?」

    正直、しまったと思った。
    2日目の桃ちゃん投票は身内切りで済まされる。しかし2日連続となると、たしかに占うべきではない。

    「身内切りがあった、その中で昼に吊れない人を占ったんです」

    苦し紛れの言い訳をして、その場は収まったが、村の疑念の目が自分に向いて来ているのがわかった。

    投票。
    結果から言うと、生駒さんに集まった。
    私は与田ちゃん、与田ちゃんは私に入れあい、ここは完璧。
    ただ生駒さんが本物かどうかは真偽がつかず、人狼の可能性もあるため処刑された。
    もしここで生駒さんが生きていたら、明日は全員で投票を合わせて人狼勝利となっただけに悔しいが、うっかり与田ちゃんや私が吊られるよりはマシだ。

    ただひとつ。

    「私、考えを変えた。未央奈に投票する」

    若月さんが、私を殺そうとしていたことは、見逃せなかった。


    「私は未央奈を信じてる。桃ちゃんで狼も吊れているし、村が勝てると信じてます!」

    最後まで私をプッシュした生駒さんの遺言は、どれだけ村に響いたのだろう。明日は7人。うち、人狼3人。
    村人の誰かが間違えば、人狼の勝利。

    そうなるはずだった。

    (つづく)

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  • しおつー
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    4日目【堀、高山、与田、西野、白石、衛藤、桜井、若月】

    夜。襲撃先は、白石さんにした。
    私の白先であり、なおかつ私を疑っていた人。これで私の信用が大きく落ちることはない。
    そして私はひとつの決断をしていた。


    朝。目がさめる。
    白石さんが死んで、7人の村。
    そのはずが…

    「誰も死んでない!」

    高山さんが喜びの声をあげた。まさかの、騎士による護衛。通称グッジョブ。もちろん人狼にとっては最悪のケース。高山さんが喜んだのは、演技だ。

    私も最上級の笑顔を作り声をあげた。
    「もし私でグッジョブ起きてるなら、騎士の人出てください!」
    もちろん出るわけがない。グッジョブは、白石さんで起きている。

    「未央奈、それより結果、結果」

    西野さんが正論で村を正す。たしかに騎士よりまず先に私の結果を言うべきだ。

    この時、チャンスが来ているような気がした。私は昨夜の決断に、強く自信を持って、語り始めた。

    「今、この村に騎士がいますよね。私は騎士が誰かわからないですよね。その状況で言います。私は本物の占い師なので言えます。若月さんが人狼です!」

    私なりに考えた答え。

    今日、黒出し。そして、この日に勝つ。そのため、誰に黒出しをするか。

    人狼の高山さん、白出ししてある白石さん以外の誰かになる。
    西野さん。数日前から私を信じている。わざわざ敵に回す必要がない。
    桜井さん。正直ここが出しどころ…と思ったが、昨日与田ちゃんに投票。私を信じているし、人狼なら投票が不自然。
    衛藤さん。一見ありえる。が、もしそうなると、初日。秋元、衛藤、与田の3人で処刑対象になった時に、衛藤と与田の両方が騙らないというのは不自然。よって出せない。
    最後に残ったのは若月さん。昨日、私投票。私が真占い師なら、占うのも当然。過去の投票的にも問題ない。

    「今確実に騎士が生きてますよね。私が偽物でもし騎士に誤爆したら破綻ですよね。それでも私は本物だから人狼だと言えます。若月さん、騎士じゃないですよね?」

    私は真予言者が醸し出す正義感のふりをして、若月さんに詰め寄った。

    「騎士じゃ…ない…」

    捨て身の黒出しに成功…と思った人も多いかもしれない。
    ただ若月さんが騎士でも私は勝ち筋を見ていた。
    若月さんが騎士なら、私が破綻。その瞬間、もっとも人間らしくなるのは与田ちゃん。生き残れるんだ、与田ちゃんが。だから私は黒出しをした。

    「私は全部の人狼を見つけました!あとは2日かけて人狼を吊り切れば勝ちです!」

    「私は人狼じゃない!桃ちゃんにも投票しているし、生ちゃんにも投票している!それで私たちが人狼仲間だと思う?!」

    「桃ちゃんには確実に身内票が入っています。そして生ちゃんは狂人です、いくらでも殺せます。若月さんが人狼です。」

    対抗する若月さん。ここで私が引いたら負け。毅然と嘘を突き通す。

    高山さんは推理をするふりをしている。与田ちゃんは敢えて若月さんをかばう芝居をうっている。

    勝負所だった。ここで私が勝ち切れば、人狼の勝ち。

    「若月さん、私が人狼なら、仲間は誰ですか?」

    「私、かずみんが人狼だと思ってる」

    若月さんの言葉に、高山さんが反応した。

    「若月、それなら話が早いよ〜。迷っていたけど、若月が人狼じゃん。もし私と未央奈が人狼なら、仲間は誰なの?いなくない?」

    「仲間は…えっと…」

    「ほら〜、いないじゃん!」

    高山さんが流れを自然と狼側に傾ける。ここらへんのテクニックは、さすがの一言だろう。みんなが若月さんを疑い始めた。

    そして、追い風は続く。

    「あのね、ななが騎士なの」

    西野さんから突然のCO。騎士は西野さんだった。

    「守ったのはまいやん。今若月はまいやんを狼だと推理展開しなかった。それは自分が狼で、まいやんが襲われたのを知ってたからやない?」

    「違う!なあちゃん聞いて!」

    勝てる。そう思った。村が完全に狼側に流れていた。私の作った流れが与田ちゃんを救い、高山さんが流れに棹をさした。

    でも、この人だけは違った。

    「私、若月が人間に見えて来た」

    白石さんがつぶやいた。
    伏し目がちに、自分の世界に入るようにしたその姿が、真相に近づいているように感じられて、私は正直脅威を感じていた。

    「何でですか白石さん、考え直してください!」

    私は語りかけたが、それが虚空を切っているように感じた。

    (つづく)

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    投票の時間。


    まずは私。与田ちゃんと若月さんが人狼と見ているからどちらから吊っても良いはずだけど、当然与田ちゃんは残したい。さっきまでバチバチと言論を交わした若月さんに投票することで、道筋を立てた。

    続いて若月さん。返す刀で私に投票。これで今日の構図は決まった。私と若月さんの戦いだ。

    3番目、桜井さん。
    「私はシンプルに考える。与田ちゃんと若月が人狼だと思う。与田ちゃんが人狼にしか見えない」
    若月2、堀1。

    4番目、白石さん。
    「やっぱり私を占ったことが気になる。今日は一旦、未央奈を吊りたい」
    若月2、堀2。

    5番目、高山さん。
    「今日の議論で、若月が人狼だってほぼ確信したところある」
    若月3、堀2。


    勝った。
    西野さんは私を信頼している。若月さんに入れるかもしれない。
    衛藤さんも、若月さんに投票するかもしれない。
    与田ちゃんは最後まで票を待って、西野さんか衛藤さんが若月さんに入れた瞬間に、票を重ねればいい。さあ、どっちが間違うか…

    「私、投票します…!」

    耳を疑った。立ち上がったのは与田ちゃんだった。今若月さんに入れれば、全ての目論見が台無しになる。だから、今は私に入れるしかないはず。待てば勝ちもあったのになぜ…

    「私に人狼という堀さんは絶対に偽物です!」

    議論中戦うことは歓迎だったが、今日の投票はわけが違う。与田ちゃんの若さが出てしまったと、私は狼同士で会話ができないこの人狼というゲームのもどかしさを十二分に感じていた。
    若月3、堀3。

    「未央奈はしっかりと意見を述べてる。私は若月に入れる」

    一筋の光。衛藤さんが、若月さんに投票した。結果、与田ちゃんがもう1票待てればここで勝っていた…でも今はそんなことを言っている場合ではない。すべては西野さん投票にかかっている。

    最後に立ち上がった西野さんは、若月さんと私を交互に見つめた。

    「ほんまにどっちかわからへん…でも、決めなあかん。ななは未央奈に投票する。決選投票にして話を聞く。でも、気持ちは未央奈を信じてる」

    西野さんらしいなと思った。チームを引っ張る存在になってから、控えめながら全体を見ていた存在。その一票の重さを感じて、私は決選投票に進むことになった。私と若月さんの票数は、4で並んでいた。

    「私は人狼を全て見つけました。やることはやりました。あとは皆さんに信じてもらうだけです」
    私は敢えて淡々と語った。一方、若月さんの弁明は情熱的だった。
    「私が人狼なら、仲間を殺すような真似はしない!今までの私の行動が人狼に見えたなら仕方ない。でもそう思わないなら、今日は未央奈を吊って!明日以降、必ずみんなに信じてもらえるようにするから!」

    全員が緊張の面持ちとなる。決選投票は、一斉に処刑したい人に指を指す。与田ちゃんが裏切るか、何人が心動かされたか。勝負が決まる。

    「せーのっ!」

    掛け声とともに指が集まる。若月さんを指したのは…高山さんと、桜井さんだけ。衛藤さんが票を変えた。これにより、私は処刑されることとなった。
    あと一歩で勝てたのに…!悔しさを感じつつも、この状況になった以上、私を指すしかない与田ちゃんが、きちんと私を指していることを確認して、遺言を残すことにした。

    「私はこの決定に納得していません。皆さん、私を吊ったあと、2日しかないんですよ。その2日を、ちゃんと与田ちゃんと若月さんに使ってくれるんですよね。人狼は全部見つかってるんです。それで負けるなんて絶対にいや!皆さんのことを信じています」

    やれることはやった。
    何より、与田ちゃんがここまで生き残ったことが、私のやった行動が無意味でないという証明だ。

    明日、若月さんを吊る。そうすれば、人狼は勝てる。私は仲間に全てを託し、村を去った。

    (つづく)

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    5日目【高山、与田、白石、衛藤、桜井、若月】

    私は前日に処刑されゲームから外れた。通称・霊界からこのゲームを覗き、人狼チームの勝利を願うことしかできない。
    夜。高山さんと与田ちゃんは、騎士の西野さんを噛んだ。妥当な判断ではあったが、私を信用していた西野さんを噛むのがどう出るか。連続ガードができない白石さんの方が良かったのではないか。それとも秘策があるのか…。

    朝。死んだ私を信じるかどうかの議論が行われた。
    ここで視点を整理する。
    私に人狼だと言われている若月さんは、私を人狼だと推理している。そうすると…

    ①堀に人狼だと言われた与田は人間
    ②騎士に守られた白石は人間
    ③堀の対抗である生田は本物の占い師、よってその生田が人間だと言っていた桜井は人間

    となる。残りメンバーは、高山、衛藤。つまり、若月さん目線、今日、高山さんか衛藤さんのどちらかを吊らないと、負けになる。

    そう「勘違い」させられている。私が残した結果が、そうさせている。

    「若月的には、私とミサミサが人狼だよね?」
    「そうなる」
    高山さんが若月さんに誘導をかける。

    「私が人狼?じゃあ若月と与田ちゃんが人狼だ」
    衛藤さんもその流れに抗えない。

    「堀さんは偽物だから、私と若月さんが手を組むしかないです!」
    与田ちゃんがさらに拍車をかける。

    「たしかに。どっちのチームが信じられるか、タッグ戦だね」
    若月さんも改めてその構図を確認した。

    こうして若月さんは与田ちゃんと、高山さんは衛藤さんとチームを組む形となった。しかし、これは人狼の巧妙な罠。各チームに人狼が1人ずつ入り込んでいる。私の与田ちゃん狼占いが、状況を混乱させていた。

    そして残された白石さんと桜井さん。白石さんは、騎士に守られていることから誰の目から見ても人間。
    そして、視点が漏れてはいけないのが、桜井さんも同じく誰から見ても人間ということだ。
    この村の占い師候補は2人。生ちゃんは桜井さんを占って人間と見ている。一方私は、桃ちゃん、与田ちゃん、若月さんを人狼と見ている(という嘘をついている)。人狼は3匹。つまり、残りの人は全員人間となり、桜井さんも人間となる。
    桜井さんは両方の占い師から人間と言われている。いわゆる「確白」なのだ。

    この2人の票がどう動くかが、勝敗を決めることになる。

    「私は与田ちゃんと若月が人狼だと思う。まいやんは?」
    「うーん…」
    桜井さんの問いかけに、一点を見つめ言葉をなかなか返さない白石さん。このまま流されてくれれば…

    「私、与田ちゃんは狼だと思う。でも、若月が狼に見えない」

    白石さんは、この状況では考えにくい、でも真実と寸分違わない推理を展開し始めた。

    「どうして?未央奈は偽物?だとしたら与田ちゃんも人間になるんじゃない?」
    「狂人誤爆がある」

    狂人誤爆。占い師を騙った狂人が、間違って人狼に、人狼出しをしてしまうこと。

    「未央奈が狂人で生ちゃんが真の占い師。生駒が人狼で、桃ちゃんが真の霊媒師。だとしたら、与田ちゃんが人狼だけど、若月は人間の可能性がある」

    白石さんは冷静だった。村の流れに反して、ひとりで持論を展開し続けていた。

    「まってまって」

    笑顔で高山さんが割って入る。

    「私が人狼じゃないから言えることなんだけど、そうするとラストウルフはミサミサになるよね。でもさ、初日に与田ちゃんとミサミサが処刑対象になった日に、2人ともが騙らずに潜伏することってあるかな?それにさ、未央奈が狂人だとしたら、生ちゃんに3票入った時点で対抗するのは危ないよ。だって生ちゃんは人狼だったのかもしれないんだよ?ご主人様を殺すかもしれない票を、狂人は入れられないよ。だから未央奈が本物。そうじゃない?」

    完璧な弁論だった。メンバー1のキャリアの長さで一目置かれている存在だった高山さんが、ここまで潜伏していたのは、この理論があったからだ。私のトリッキーな動きを、一瞬で理解した上で、このハイレベルな議論展開。頼りになる先輩の背中を、私は見守った。

    「筋は通ってる。それが真実である可能性も高い。…ある可能性を除いたら」
    白石さんが、すべてを聞き終えた後で、ぽつりと語った。

    「何?ある可能性って?」
    笑顔を崩さずに質問を返す高山さんに、ようやく伏せていた視線をあげた白石さんが、目を合わせて、こう言った。

    「与田ちゃんとかずみんが人狼の場合だよ」

    (つづく)

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    古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)

    「まあ、まいやん目線あるにはあるよね」

    高山さんは白石さんの推理にもたじろぐことなく対応した。でも、白石さんはそれに臆することなく言葉を続けた。

    「私はかずみんを信じる道も残したい。だから、今日は与田ちゃんから吊る。かずみんはそれでいいよね?」

    急に私の名前を呼ばれてドキッとした。堀さんに黒出しされてからというもの、自分がどう振る舞っていいのかわからなかった…

    3期生として、突然あげられた舞台。毅然として霊媒師を宣言した桃子に対して、私は堀さんに助けられて、そのまま何もせずに佇んでいた。きっと、気づかないミスもたくさんしているんだと思う…。
    堀さんを処刑させてしまったことを重く受け止めながら、私は何ができるかを考えた。

    「私は堀さんが偽物であるとしか言えないです。若月さんは人間だと思います」

    自分の発言が、狼のためのそれになっているとは思えず、もどかしい思いが続く。きっと高山さんと堀さんは私にはわからない次元のことを考えていて、私はただ驚いている村人のふりしかできなくて、相談もできないからどんどん黙ってしまって…。

    人狼のカード。私が好きで引いたわけじゃない。勝手に配られた運命。私だって村のために推理して、正義のために戦いたかった。
    高山さんのように機転も効かないし、堀さんのように大胆でもない。私には、正義をふりかざすふりしかできない。悔しいけど、それが私の実力。

    「今日は与田ちゃんかな」
    「反対の人いる?」
    「仕方ないかな」

    もう私の力ではどうしようもない。覆せない。自分の無力さを感じるとともに、堀さんに犠牲を強いたのは初日に私が怪しまれたからだということを強く感じていた。それなのに生き残れなくて、ごめんなさい…
    私なんて、チームに必要じゃない…

    「与田ちゃんを吊っちゃだめ!かずみんとミサミサが人狼!」

    その時、若月さんが村に立ち向かった。
    そうか、若月さん目線、私は村人なんだ。
    ということは…。
    私は足りない頭で一生懸命考えた。

    若月さん目線、人狼は高山さんと衛藤さん。現在村には6人いる。今日、私が死んだとする。夜に誰か、例えば白石さんが襲われたとする。村に残るのは、高山さん、衛藤さん、桜井さん、若月さん。この時点で、高山さんと衛藤さんが人狼なら、村は滅びている。でも、私が死んだことで、村は滅びない。ここで、若月さんが破綻したように見える。私と若月さんが人狼になる。

    そうだ。私にも役目があるんだ。


    私は、死ぬことで、チームに貢献できる!

    「若月さんは人間だと思います!高山さんが怪しい!」

    実力がないのは、わかっています。最後まで、高山さんにおんぶにだっこで。実績もないし、自信もないし、できることも少ないです。
    だけど、私だって、メンバーだから。負けることを受け入れるなんて、できないから。



    投票の時間。

    高山さんは、率先して私に入れた。
    若月さんはノータイムで高山さんに入れる。

    私は、静かに立ち上がった。バカな人狼が、一生懸命考えてるようなふりをしながら、うんうん唸って、迷った感じで。

    「えっと、今日は衛藤さんに投票します…」

    煮え切らない投票。村人なら高山さんに投票するシーン。それなのに、票を散らして。きっと村人はイライラしてる。私が下手くそだから、みんな私はダメな人狼だと思ってる。

    「与田ちゃんに入れます」
    「与田ちゃんは人間だとは思えない」
    「与田ちゃんに投票します」

    残る3人は、迷わず私に入れた。

    私が人狼なら。

    「私には真相はわかりません。ただ、もう村人が負けたと思います」

    堀さんは真の占い師となり。

    「明日がくることはないと思いますが」

    若月さんが狼になる。

    「もし奇跡的に続くことがあれば」

    それであってますよね、高山さん、堀さん…!

    「私は人間です!それを忘れないでください!」

    5日目、私は処刑された。
    堀さんから黒出しをされてから、実に3日が経っていた。

    (つづく)

    3
  • しおつー
    古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)

    「与田ちゃんが人狼です!」

    未央奈の突然の行動に頭が混乱した。疑われ位置の与田ちゃんに黒出し。自殺行為にも見えた。
    ただ、数秒後にはそれが狼陣営を勝利に導くための手段だと判断した。少なくとも、未央奈はそう考えて行動したと。

    私はクイズが好きだ。問題を出されて、答えるのが楽しいし、難問にズバズバと答えていく人たちを見るのも楽しい。

    未央奈は、今回私に難問クイズを出した。与田ちゃん黒出し。吊りや噛みを間違ったら即負けにつながる難問。私は必死に考えた。

    結果、霊媒師を両方吊ることで与田ちゃんを生かし、生ちゃんを襲撃することで私の正体を隠匿した。
    しかし、村人の推理も負けていなかった。前々日は未央奈、前日は与田ちゃんが吊られた。4人で迎える最終日。私がこの犠牲に報いなくてはならない。
    夜のターン、気づきの良かったまいやんを襲撃。これで確白を減らした。
    未央奈、与田ちゃん。2人の伏線は、必ず私が回収する。だから信じていて。狼の勝利を。

    6日目【高山、衛藤、桜井、若月】

    「まいやんか…」
    私は思わずため息のように言葉を吐き出した。
    キャプテンでありながら、確白になって、最終日まで残されるのも、辛いものがある…。
    私は思考がロックしないように、もう一度考えた。
    私が確実に思っていること、それは与田ちゃんの人狼。あの様子、与田ちゃんは絶対に狼だった。
    ではその相方は?
    シンプルに考えれば若月。未央奈が本物の占い師で、大園、与田、若月の3狼。
    この構図を覆す論が無ければ、私は今日若月に投票するだろう。
    私は確認のために、他のメンバーに声をかけた。
    「美彩はどう思う?」



    玲香に名指しされて、私が喋る機会がきた。ちょうど言いたいことがあった。渡りに船だ。
    「若月に確認したい。昨日若月は私とかずみんが人狼だって言ったよね。今、村には4人しかいない。人狼が2匹残っていたらゲームオーバーだよ。なのに続いている。私とかずみんが人狼ではない!」
    これが私の一番のアピール。人狼は若月でほぼ決まっている。どう動いてくるか。


    村の視線が冷たい。私が人狼であるかのように見られている。
    「高山衛藤ラインは消えた。だから、未央奈が狂人で、与田ちゃんが誤爆された人狼。かずみんが最後の人狼だよ!」
    村の誰に響くか。人狼はひとり。その他の2人に、どうか響いて…!



    人狼と名指しされて、私は反論の材料を作り始めた。
    「その理論でいうと、生駒ちゃんが人狼だよね?でも未央奈が狂人だったら、どうして生駒ちゃんが霊媒師のふりをする必要があったの?未央奈は初日、生駒ちゃんを人間と占ったんだよ。その時点で生駒ちゃんが人狼なら未央奈の狂人に気づくでしょ?それなのに、わざわざ霊媒師のふりをする意味が全然ない。狼なら黙っていればいいから。さっそく生ちゃんを噛んだって良かった。なのになぜそれをしない?それは生駒ちゃんが本物の霊媒師だから。そして未央奈が本物の占い師だから。そして若月が最後の人狼だからだよ。」
    敢えて余裕を見せながら私は言った。この発言ができるのは、未央奈と与田ちゃんのおかげ。2人の顔を思い浮かべながら、勝ちへのルートを確認した。
    …ふと、本当にこれでいいのかという思いが頭をもたげた。
    私が引いたカードは本当に人狼なのだろうか。いや、違う!村人だ!人狼じゃない!どうして人狼であることを受け入れようとしてしまったのだろう!
    ここで村人を吊ってしまっては負けになる。どうにか人狼を見つけないと…!

    (つづく)

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  • しおつー
    古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)

    玲香は確定の白。疑う余地がない。
    すると残りは2択。
    衛藤狼説。ありうる。ただ、与田ちゃんが人狼の時、初日に処刑対象になっていた2人が両方とも黙るだろうか。いや、ない。人間だ。
    すると残りはやはり1人になる。私はその人へ投票する。みんながその人に入れてくれれば勝てる。

    間も無く、投票が始まった。どうか、届いて欲しい。私は、自分が狼であると刷り込まれそうになったところで、踏ん張ったのだから。
    玲香の投票。
    「若月に入れる」
    玲香は、意志を変えなかった。続く美彩。
    「若月」
    これで2票。決まった。
    「若月、今まで頑張ったね。でもごめん。私村人なんだ。若月がうますぎて、自分が人狼だと錯覚しそうになった。でも違う。私は村人。だから、若月が人狼だよ」


    高山さんが、私の黒先の若月さんに投票した。この瞬間、勝敗は決した。

    「村人の勝利?」
    桜井さんが祈りをささげて結果を待つ。
    「うん、私はかずみんと玲香を信じてる」
    衛藤さんが続く。
    「大丈夫、私を信じて」
    高山さんが力強く胸を張った。
    若月さんが力なく立ち上がり、最後の遺言を語りはじめた。

    「みんな、よく気づいたね。私が最後の人狼。未央奈に見つかってから、頑張って持ちこたえたほうだよね。これで村人の勝利。みんな、おめでとう」




    「なんて言うと思ったかー!!私は村人だよー!!」

    えっ、と桜井さんが声を漏らしたのを合図にしたように、夜のターンがやってきた。その夜、衛藤さんが襲撃された。そして翌朝…

    「かずみん…?」
    「ごめん玲香」
    「村には、私とかずみんだけ?」
    「うん」
    「ゲームは終わってないから、人狼は生きている」
    「うん」
    「私は人狼じゃない」
    「うん」
    「ということは…かずみんが…」

    全てを悟った桜井さんの顔が、みるみる恐怖の色に染まっていく。

    数分前。

    高山「敢えて余裕を見せながら私は言った。この発言ができるのは、未央奈と与田ちゃんのおかげ。2人の顔を思い浮かべながら、勝ちへのルートを確認した。」

    若月「…ふと、本当にこれでいいのかという思いが頭をもたげた。
    私が引いたカードは本当に人狼なのだろうか。いや、違う!村人だ!人狼じゃない!どうして人狼であることを受け入れようとしてしまったのだろう!
    ここで村人を吊ってしまっては負けになる。どうにか人狼を見つけないと…!」

    2人の心の動き。この時点で、勝負は決まっていたのかもしれない。


    「人狼の勝利です!」

    ゲームマスターの声が、凄惨な殺し合いに終わりを告げた。
    私たちは、幽霊ルームから、村へと戻る。

    「高山さんさすがです〜!」
    「与田ちゃんも頑張ったよー!」
    「生駒さんもアシストありがとうございました」

    狼陣営が手を取り合って喜ぶのを見て、人間陣営は苦笑いを浮かべている。

    「玲香何で信じてくれなかったの!」
    「ごめん〜!!」

    試合が終われば、敵も味方もない、ノーサイド。それが人狼ゲーム。私は今日も、人を信じ、欺き、笑い合う。

    「ねえ、どうして私が初日処刑なの!?」

    ほとんどゲームに参加できなかった飛鳥が頬を膨らませて私の元へ詰め寄る。

    「ごめんごめん、霊媒師だと思って…!」

    「ねえ、どうして未央奈!」

    「ごめん、そんなに怒らないで」

    「未央奈!未央奈!」

    「えっ…?」

    「未央奈!ねえ未央奈…!」




    私はハッと目を覚ました。気がつくと、そこには私の顔を覗き込む飛鳥の姿があった。自分の手足を見ると、白い粉にまみれていた。

    「未央奈、大丈夫!? 意識はある!?」

    そうだ、思い出した。
    私は番組で、人狼クイズに挑戦していた。この局面では、どう動いたら良いか、ケーススタディ的なクイズだった。

    私はかなりハイレベルな難問を出され不正解し、床が抜けた高いセットから落下した。その瞬間、気を失ってしまったようだ。

    「こんな問題作る人、絶対感覚が歪んでる…」

    でも、すごく楽しい夢だった。メンバーが、人狼のスペシャリストになったような夢だった。一瞬が、永遠に感じられるような…

    でも、すごく難しかった!!

    「やっぱりこの問題、難しくないですか!」

    (おわり)

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