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ケント

人類の泉 世界がわかわかしい緑になって 青い雨がまた降つて来ます この雨の音が むらがり起る生物のいのちのあらはれとなつて いつも私を堪らなくおびやかすのです そして私のいきりたつ魂は 私を乗り越え私を脱れて づんづんと私を作つてゆくのです いま死んで いま生まれるのです 二時が三時になり 青葉のさきから又も若葉の萌えだすやうに 今日もこの魂の加速度を 自分ながら胸一ぱいに感じていました そして極度の静寂をたもつて ぢつと座つていました 自然と涙が流れ 抱きしめる様にあなたを思ひつめていました あなたは本当に私の半身です あなたが一番たしかに私の信を握り あなたこそ私の肉身の痛烈を奥底から分つのです 私にはあなたがある あなたがある わたしはかなり残酷に人間の孤独を味つて来たのです おそろしい自棄の境きまで飛び込んだのをあなたは知つて居ます 私の生(いのち)を根から見てくれるのは 私を全部に解してくれるのは ただあなたです 私は自分のゆく道の開路者 です 私の正しさは草木の正しさです ああ あなたは其を生きた眼で見てくれるのです もとよりあなたはあなたのいのちを持つています あなたは海水の流動する力を持つています あなたが私にある事は 微笑が私にある事です あなたによつて私の生は複雑になり 豊富になります そして孤独を知りつつ 孤独を感じないのです 私は今生きている社会で もう万人の通る通路から数歩自分の道に踏み込みました もう共に手を取る友達はありません ただ互に或る部分を了解し合ふ友達があるのみです 私はこの孤独を悲しまなくなりました 此は自然であり 又必然であるのですから そしてこの孤独に満足さへしようとするのです けれども 私にあなたが無いとしたらーー ああ それは想像も出来ません 想像するのも愚かです 私にはあなたがある あなたがある そしてあなたの内には大きな愛の世界があります 私は人から離れて孤独になりながら あなたを通じて再び人類の生きた気息に接します ヒユマニテイの中に活躍します すべてから脱却して ただあなたに向ふのです 深いとほとい人類の泉に肌をひたすのです あなたは私の為に生まれたのだ 私にはあなたがある あなたがある あなたがある 高村光太郎

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ケントのトーク(他者への想像力を駆使した言葉で考える!)
トーク情報
  • ケント
    見城徹見城徹

    自意識は強いけど、自分を恥じていて善良な人。自分の無力を痛感しながら全力で生きている人。いつも片想いに涙している人。そんな人が僕は好きです。いいじゃないか、それで!

  • ケント
    ケント

    いいじゃないか、それで
    という言葉が深く突き刺さる。
    いいじゃないか、それで
    という声が聞こえてくる。

  • ケント
    見城徹見城徹

    ↑ 広尾と恵比寿の中間に[ピュルテ]があった頃、つまり、坂本龍一が「ラストエンペラー」でアカデミー賞を受賞した頃、[ピュルテ]の近くに[香月]は忽然と出現した。坂本龍一と殆ど毎夜[ピュルテ]で飲んでいたので、ちょっと店を抜けて[香月]によく行った。僕のラーメンのNO.1は断然[香月]です!

  • ケント
    ケント

    香月が懐かしくてリトークしました。
    渋谷から恵比寿方向に山手通り沿いに当時はありました。ディスコ最盛期の青春時代、友と六本木のディスコで遊んで、当時住んでいた中目黒のマンションに友とタクシーで帰る道すがら、タクシーの運転手さんにおすすめの深夜ラーメン店として連れて行ってもらったのが香月だった。背脂系なのにコッテリしていないラーメンは深夜の寄り道で必ず行くラーメン店となった。
    私は香月の味噌ラーメンが好きで、記憶では醤油ラーメンは食べたことすらない笑。
    今振り返れば、堕落した怠惰な青春時代だったなぁと恥ずかしくなるくらいだが、香月のラーメンは私のほろ苦い青春時代そのものの味であったことは間違いない。
    その後、恵比寿駅前に移転した香月に長い年月を経て伺ったことがあるが、青春時代にハマっていた香月の味ってこんなだったかなと、私と香月の歳月の移り変わりを重ね合わせたのを思い出す。目黒のトンカツとんき、六本木一億、青山だるまや、当時付き合っていた彼女がバイトをしていた原宿バンブー、そして一大ブームとなったイタリアントマト、西麻布のレッドシューズ、そして香月は青春時代の思い出とともにあるお店だった。

  • ケント
    ケント

    渋谷トップドックでズブロッカをオレンジジュースで割って、ガールフレンドと一本空けてしまった時、お酒で腰を抜かすというのを初めて経験した(^^)
    あの彼女はお酒強かったなぁ💦

  • ケント
    ケント

    「場面を張る」いい言葉だなぁ
    理想はやっぱり寡黙な中で独りオーラを出し続ける圧倒的存在感かな💦