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外山大輔(トヤマダイスケ)

突然のニュース速報に釘付けになる。 ついに死刑が執行された。 あの日確か僕はまだ中学生で恐らく終業式だった記憶がある。勉強など全くしなかった僕は普段通り寝坊し遅刻して学校へ向かった。最寄駅まで着くと何やら物騒な雰囲気。消防車やら救急車が数台駅の周りに停車していて、「あー人身事故かな」程度に思った。これは地下鉄動かないな、良い遅刻の理由になったな、ととりあえず徒歩で学校に向かった。学校までの距離は約3駅程度。徒歩で行けば30〜40分くらいかな、と思いとぼとぼと歩いた。当時まだ中学生の僕は携帯はもちろんポケベルだって持っていなかった。なので家にも学校にも連絡できずそのまま向かったのだった。 学校というのは今思えばとても閉鎖的な場所だった。学校にいる間は、外のこと、世の中の情報が全く入ってこない。今のようにスマホもタブレットもない時代だから当たり前だ。しかしクラスに1人は何故かタイムリーな情報を持っている奴が必ずいる。学校に到着してからしばらくしてそいつから「毒ガスが散布されたらしい」という情報がクラス中に回り、テレビのある教員室(職員室)にみんな詰め掛けた。 自分の怠慢な性格のおかげであの朝の通勤通学時の惨劇を避けられた、と少し感謝した。 そしてその日は確か終業式だった事もあって昼前には全員下校となった。私立だった事もあり、周辺県から電車を乗り換えて通学してくる友人が多くいた。自分は下校時もまた同じように徒歩で帰った記憶があるが、友人達はあの日ちゃんと電車で帰ったのか、今度同窓会でもあったら聞いてみよう。 あの日から駅のゴミ箱は完全に撤去され、警戒警備のポスターがあらゆる場所に貼られ、車内のアナウンスまで流れるようになった。次の日も電車で通勤通学する人たちはいつも抱かなかった感情を持って電車に乗っていたんだろう。 何故いま執行されたのか。 報道によれば残りの数名もまもなく刑が執行される予定のようだ。 平成の大事件は平成のうちに片付けるという事なのか。 ひとまずあの日の事を思い出して、被害に遭われた方々に改めて心よりお見舞い申し上げます。

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