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  • 蓮見 凉
    蓮見 凉

    届け先は一つだけ。

    大輔は舞に振り向いて告げた。
    「なあ、次会った時ハグさせてって言ったやつ…覚えてる?」
    うん、と頷く彼女を見て、大輔はあの頃をふと思い出した。いつも半歩後ろを付いてきていた彼女は、常に大輔の話に軽く頷き、遠くを見つめながら時折髪を整えるばかりで、会話という会話は数える程度だった気がする。
    「いいよな」
    我ながらよくこんな大それた事を、と思ったのも束の間、大輔は足早に歩み寄り肩に触れた。
    瞬間、柔和だった彼女の表情が僅かに強張った気がした。臆面もなく抱き寄せた身体から香る彼女の髪の匂いが、今ではすっかり鍵をかけてしまっていた懐かしい記憶まで呼び覚ました。
    もう彼女は自分の背に手を回す事はないと分かっていながら、彼の心臓は鼓動を早める。
    「かなり図々しいお願い、させてほしい」
    自身の動揺に苛立つのを悟られまいとして、予期せぬ言葉をかけた自分に驚く。苛立ちは戸惑いに変化し、鼓動は最早自分では抑えようもなくなってしまった。それでも、言葉を紡ごうとする自分だけは、止める気になれなかった。
    「俺、まともな恋愛したいんだ」
    …言ってしまった。
    後悔は大輔の歯止めの役を果たさず、寧ろその気持ちを加速させた。
    「お前に説教されるとか、そういうんじゃなくて…ずっと思ってたんだ」
    「うん」
    頷く声を聞くたびに甘い記憶に溺れそうになる自分の弱さを知ってか知らずかあの時と同じトーンで返事をする彼女に、やはり自分は舞に、と気づいた。
    「もう一度でいい、」
    気づいた時には既に口にしていた。
    2年前から伝えたかった想いは、もう止まらなかった。
    「もう一度でいいから…」
    そう言って身体を離し、彼女の瞳を見つめつつ真剣な表情を向けた。
    「いいよ」
    思わず、面食らってしまった。
    あの頃から見慣れた、それでいて確かに大人びた舞の佇まいに、きつく鎖で縛り上げて胸の奥底に押し込んでいたはずの感情が共鳴するような唸りをあげる。
    「言わないで、分かってるから」
    共鳴する感情が抑えを振り切って無理矢理大輔の涙腺をこじ開ける。それでも飽き足らず手足の制御さえ奪い取り指の一本関節の一つすら自由に動かす事を許さない。
    「…負けたな」
    大輔は辛うじて言うことをきいた口で自嘲気味に零した。
    「分かるよ、だって一度は好きになった人なんだから」

  • 蓮見 凉
    蓮見 凉

    おどけたように語りかける舞は、まるで自分と過ごす明日を見つめるような優しい目をしていた。あの頃の面影を残すしなやかな体躯は、凛とした美しさを感じさせるとともに大輔と舞が離れていた時間の長さを大輔に突きつけた。
    「…待たせて、悪かった」
    その重圧に耐えられず口にした負け惜しみはあの頃から変わらない。背負うものが増えた今でも、舞の前ではいつまでも変わらない自信に満ち溢れた男でいたい、そう感じさせる程に舞の瞳は澄みきっていた。
    「今度は、絶対待っててあげないからね?」
    蠱惑的な視線で彼を貫こうとする舞に、不敵に応えた。
    「見くびんな」
    抱き寄せて、熱く唇を重ねる。そこには一片の躊躇いもなく、あるのは時を経て重なりあった二つの想いだけだ。
    木枯らしは、彼らを避けて吹き抜ける。

  • 蓮見 凉
    蓮見 凉
    まいやん。もどき⇔とんもどき⋈♡*。゚
    個人をふぉろーしてくださってたんですね(´,,•ω•,,)♡ ありがとうございます😊✨✨

    いいえ、とんでもないw
    むしろ全然いじってなかったw

  • 蓮見 凉
    蓮見 凉
    まいやん。もどき⇔とんもどき⋈♡*。゚
    ありがとうございます😊✨✨ いつでもやじってくださいね😊😊😊

    はい!