タクマタクマ2015年10月24日 13:33🎶第1話. 「履物と傘の物語」-1-🎶 ここ赤晴町(あかばれまち)は、人口755人の小さな下町。 住人は大抵知り合いで、交通便も何不自由ない。 挨拶が飛び交い、人に懐いた鳩が平和を象徴している。 しかしこの町は昔から、比較的濃い酸性雨が降るらしく、木花はなかった。 住民はさほど気にしていないらしいのだが……。 さてさて、何だか今日の赤晴町も賑やかですね。 おっと何だかお店で騒いでますよ。 これは2人の老婆のお話。 ******** ******** ******** ゴチン!!!! 駄菓子屋さんの店内に鈍い音が響いた。 「早ぅ謝りぃ!!!!」 腰の曲がったお婆ちゃんが小さな男の子を怒鳴っている。 「まぁまぁトネばぁちゃん、翔太君も反省してるみたいですし……。」 店員さんも“その辺に”と言わんばかりに口を挟んだ。 10歳を迎えた翔太は、この町では有名な“悪ガキ”。 町の人にとってこれくらいのことは日常茶飯事なのだ。 それでもお婆ちゃんの怒りは収まらず、 「そういう訳にもいかん!!!またお店の物を勝手に持ち出して!!!もう、一度や二度のことじゃな……」 「ばぁばが買ってくれんきやろ!!!」 そう言って翔太は勢いよくお店から飛び出した。 「どうも申し訳ありません。孫も間が差したと言いますか……。」 翔太はトネばぁちゃんの孫にあたる。 「気にしないで下さい。外は雨降ってますしそろそろ暗くなりますので、トネばぁちゃんもどうぞ気を付けてお帰り下さい。」 トネばぁちゃんの家は町の端にあり、1階で傘を作って販売し、2階で娘夫婦と翔太の4人で暮らしている。 町の人は皆、そこで傘を買っていた。 トネばぁちゃんは深々と頭を下げてお店を後にし、家に向けて、コツコツと下駄を鳴らした。 ******** その頃翔太は、家の向かいにある履物屋の縁側に座っていた。 「あらあら。また拳骨されたのかい??可哀想に。はい、どうぞ。おはぎでもお食べ。」 「やったーー!!!!チエばぁのおはぎ大好き!!!ばぁばもチエばぁみたいに優しかったら良かったのに!!!」 履物屋のチエばぁちゃんは、トネばぁちゃんとは対照的で温厚な性格のためか、翔太はよくチエばぁちゃんの家に遊びに来る。 「でもお店の物を勝手に取ったらいかんよ。翔ちゃんも自分の物を取られるのは嫌じゃろ??お店の人も同じじゃ。お腹がすいたらいつでもおいで。チエばぁがいつでもおはぎをご馳走してあげる。」 翔太は納得したのか、左手に持ったおはぎを口に押し込み、 「チエばぁありがとう!!!また来るね!!!」 そう言って翔太は自分の家へ帰って行った。
タクマ4ヶ月前見城徹見城徹タクマ見城徹様、リトークしていただきありがとうございます。 直接コメントさせていただくと気を使わせてしまうと思いましたが、リトークまでしていただいて何も言わないのはさすがに失礼かと思いました。 僕のようなこんな市井の人を見てくれる人がいる、そしてそれが他でもなく見城さんであるという事実が、たまらなく幸せでございます。 重複しますが、これからもずっと大好きです。 お身体に気をつけて、お過ごしください。有難う。僕もタクマが大好きです。11765