タクマタクマ2015年10月31日 21:10🎶第2話. 「履物と傘の物語」-2-🎶 翔太が家に着くと、母は炊事を終え、父はお風呂に入っていた。 カレーのいい匂いが玄関まで届いている。 「……た、ただいまー。」 手を洗って部屋に入ると、母とトネばぁちゃんは席に座っていた。 翔太の家では食べる定位置が決まっており、翔太の隣にトネばぁちゃん、ちゃぶ台を挟んで翔太の前に母、その隣が父で2:2で向かい合って座る。 席に着き、母をチラッと見ると、目を瞑って腕を組んでいた。 母は怒っている時、いつもこの体勢になる。 気まずい空気の中、父がお風呂から上がってくるのを待っていると、 「お、翔太。帰ってたか。」 ……上がってきた。 いつものパターンだと、これから説教が始まる。 「何か言うことはないの??」 母がそう言うと、始まったなと翔太は心の中で呟いた。 「ん??」 「翔太、ちゃんと言いなさい。」 「何が??」とぼける。 「全部知ってるから、翔太の口から説明しなさい。」 こういう時、父はいつも知らん顔だ。 あんまり長く引きずると、母の機嫌は悪くなる一方だと感じた翔太は、駄菓子屋さんでお菓子を勝手に食べた事、お婆ちゃんに怒られた事、全てを説明した。 「何か言う事があるんじゃないの??」 「……ごめんなさい。」 「お婆ちゃんにも謝りなさい。」 「ごめんなさい。」 「次からはこういうことはしちゃダメだからね。」 母のいつもの締めの言葉を聞き、 (よし、今日もこれで一件落着だな。) 父がそう思った束の間、 「何でいつも……!!」 「ばぁばは何でいつもママに言うんだよ!!!」 思いがけない翔太の言葉に父は驚いた。 いや、父だけじゃなく、母も驚いた表情を浮かべたが、トネばぁちゃんだけは落ち着いた表情で箸を置いた。 翔太は続けた。 「それに何で駄菓子屋にばぁばが来るのさ!!!!拳骨も痛いしさ!!傘作るのやめてまで来ないでよ!!!!」 慌てて母が何か言おうとすると、翔太はバンッ!!と箸を置いて自分の部屋に入っていった。 母が追いかけようとするとトネばぁちゃんは、 「ほっときなさい。今日チエにも少し注意されたらしくて気が立っとったんじゃろ。きっと自分でも反省しとる。それに小さい頃のあんたはもっと酷かったぞ。」 母はそう言われると、 「……パパも何とか言ってよ。」 そう呟いて会話は途切れた。 翔太の家でそんなことが行われていた最中、外で起きている大騒動にこの時は誰も気付いていなかった。
タクマ4ヶ月前見城徹見城徹タクマ見城徹様、リトークしていただきありがとうございます。 直接コメントさせていただくと気を使わせてしまうと思いましたが、リトークまでしていただいて何も言わないのはさすがに失礼かと思いました。 僕のようなこんな市井の人を見てくれる人がいる、そしてそれが他でもなく見城さんであるという事実が、たまらなく幸せでございます。 重複しますが、これからもずっと大好きです。 お身体に気をつけて、お過ごしください。有難う。僕もタクマが大好きです。11765