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ロングコートダディ堂前

4月27日(月) 壁に小さい穴があるのを見つけた。 ここに住んで3年ほどになるが、こんな穴あっただろうか。 指を突っ込んでみることに。 僕はこういう穴などを見たときは、大体指を突っ込むのである。 小学生の時、大きな木に穴があいていて 中にどんな生物がいるのか分からない状況で 指を突っ込んだことがあった。 それを見た周りの友達たちが 「すごい勇気だ、勇気の塊」 と称賛してくれたことを覚えている。 その時の称賛の喜びが、体に染み付いているのだろう。 まあその時は結局、大毒虫に噛まれて病院に運ばれたのだが。 揚げ物のフライヤーに指を突っ込んだような激しい痛みがあったことを覚えている。 だが、称賛の喜びの方が大きかったのだろう。 今も僕はこうして穴に指を突っ込むのだ。 部屋の穴に指を突っ込む。 人差し指がちょうど入るような大きさ。 ズボボと入っていく。 結構深くまで入る。 すると、隣の部屋から声が聞こえてきた。 「エ、ナニコレ!!ミミズ!フトミミズジャン!チョット!」 隣の部屋は外国人だ。 この穴は隣の部屋の方向にあるので、もしかしたら隣の部屋まで貫通して、僕の指がこんにちはしているのかもしれない。 「フトミミズダ!コワイ!コワイ!」 慌てて指を抜こうとしたが、 抜けない。 関節が引っ掛かってしまった。 隣から声が聞こえる。 「ネモトカラ折ッタラシヌカナ!? ネモトカラ折ッタラシヌカナ?!」 まずい。根本から折られる。怖すぎる。 「アー!デモサワルノコワイヨ!ドウシヨウ! シオカケテミヨウ!シオカケタラドッカイクカモ! ソリャ」 指先に何かかけられている感触が。 「マチガエタ!コレバジルジャン!バジルジャナイ、シオ、シオ!」 再びかけられている感触。 しかし何か液体のような感触。 「チャウネンチャウネン!コレオリーブオイル!シオヤデ!」 指先がヌルヌルする。 もしやと思い、指をぐるぐるし引き抜いてみる。 穴から指が抜けた。 「ドッカイッタヨ!ヤッター!」 ホッとした僕は引き抜いた指を、チュポンと舐めてしまった。美味しかった。

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