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レオナルドGM

高山一実 「トラペジウム」 現役アイドルの書く、アイドルを夢見る女子高生の夢を叶える物語とあるが、これは女の子達の青春ストーリーそのものだと思った。 正直なところ、小説を書き発売できた事がもう合格点でいいと思っていた。勿論期待はしていたけど、読み終えた時そんな先入観を持った自分を恥ずかしく感じた。 読み始め早々から、独特な表現が興味心を掴む。時折見せる、悪戯で鋭い表現が主人公の人柄とよく合っていて、深くはっきりとしたイメージを持てる。 他3人のキャラクターも、各々が各々を活かしているし絶妙なバランス。 読み進めていくうちに、ページを捲る速度も上がり気付いたら物語に入り込んでいる。前述した通り表現がいい。クスッと笑えるし、妙に納得してしまう。どうしたらこんな表現が思いつくのかと感心すらしてしまう。かなりの数の本を読みあさったと、その勉強量が想像できる。 中盤の展開もこれがアイドルと何の関係があるのかと思うが、終盤に向かうにつれしっかりとその??を回収してくる上手さ。引っ張り過ぎないから、焦ったさを感じる事もない。 終盤に入ると読む手を休める事は出来ないだろう。それくらい畳み掛けてくる、鳥肌すら感じることができる。 読み終えた後のスッキリ感は、余韻に浸りながらコーヒーでも飲みたくなる。いやコフィーと呼んだ方がいいか。 著者本人のアイドル像と、実際に見て聞いて体験したアイドルの現実を、著者の本音を織り交ぜながら私達読者に伝えているんだと感じた。でも決して肝はそこではなく、4人が織り成す青春ストーリーが醍醐味であり主であるだろう。 トラペジウム。読み終えたらその意味が分かるだろう。そして高山一実はもう既に多くの人のトラペジウムである。 今回はアイドルがアイドルの本を書く事は、内容的に言えば自分の土俵。だからこそ次作は、全く別ジャンルの本を読んでみたい。もっと多くの本と出会い吸収して活かせるようになったら、とんでもない作品が生まれるのではと期待してしまう。 本当に読んでいて楽しい本だった。これが処女作なのかと思ってしまう程に魅力的な一冊。 #高山一実 #トラペジウム #乃木坂46 #小説 #処女作 #おすすめ

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