山野うさぎ山野うさぎ
AKBという小さな発見のトーク
トーク情報- 山野うさぎ
山野うさぎ こういう話を書くと、競争は敗者を生むからいけないとか、競争というものを否定するのかと思われるかもしれないが、逆に競争の大切さに気づかせてくれたのがAKBだ。だいたい芸能の世界は、みんな揃って結果平等、的な考え方とは馴染まない。考えても見てほしい。切磋琢磨がなくなって、いつまでたっても進歩しない歌やダンスを見続けることに、あなたは耐えられるか?人間はなにがしかの進歩や評価の欲する存在だ。永遠の停滞になんて、耐えられる訳がない。競争を否定する人のほうが、案外結果主義に囚われているのではないか?競争から産まれるものは、勝ち負けだけではない。力一杯やった爽快感や、努力の中で身についた実力や胆力、器の大きさや、負けたときに味わう悔しさを知るゆえに生まれる人の心を思いやる気持ちなど、数え上げたらきりがない。こういう見えない財産は、勝者になっても敗者になっても身につくものだ。勝敗そのものも大事だけれど、それがすべてではないと思っている。
ちょっと話がそれたが😅、AKBにある、数々の競争は、それぞれがチャンスの連続だし、挑戦し続ける中に、予期せぬ成長がたくさん芽吹いてきていると思う。 - 山野うさぎ
山野うさぎ 例えば、中村麻里子というメンバーがいた。かの篠田麻里子と下の名前が一緒になので「こまりこ」などと呼ばれていたが、人気のほうは最初から最後まで振るわず、多分本人は苦しみながら試行錯誤を繰り返していたに違いない。メンバーやスタッフには評判のよい人で、責任感が強くて面倒見がよく、仕事に真剣なのはみんな知っているのだが、なぜか毎年の選抜総選挙では一度もランクインせずに終わってしまった(顔やスタイルを云々する向きもあったが、必ずしもそれが原因とは思えない。これは別途考えたい)。あまりにも人気が出ないため、同期生の島田晴香と二人でドキュメンタリーになったほどだ。このように「報われない」AKB人生だった彼女だが、実はこの生活の中で、大きな変化が起きていたのだ。そのきっかけになったのがNOTTVの「AKB48のあんた、誰」という番組だったと思う。ドコモユーザー向けの限定された番組ながらAKBヲタの中では一定のファンがおり、「露出の少ないメンバーにチャンスを与える」という主旨で、平日は毎日生放送されて1100回以上続いた。彼女は番組の開始当初から出演しており、番組愛にあふれた一生懸命さをスタッフやファンが認めてくれていたのだが、ある日、今まで芸人が担当していた番組MCがなくなり、彼女がMCに抜擢されたのである。小さな世界での話ではあるが、このときはさすがに非難囂々だった。お笑い要素の強い番組だから、真面目なこまりこで大丈夫なのか、という意見が多かったように思う。けれどもプロデューサーは彼女を支持し続け、こまりこは不慣れながらもMCに
- 山野うさぎ
山野うさぎ チャレンジし、結局この長寿番組の半分以上の期間、MCを担当し続けた。のちに芸人がMCに再起用されても降ろされることなく交代で出演が続いた。そしてNOTTV閉局に伴う番組終了時には、番組の顔となって堂々とした司会っぷりで幕を閉じた。この頃にはもちろん、こまりこの司会を揶揄する声は消えていた。彼女はこのあとAKBとしての活動を続けるが、しばらくしてからAKBを卒業する発表をした。どうも水面下で大学の卒業にあわせて就職活動をしていたらしく、地方局のアナウンサーに内定したとのこと。今では神戸サンテレビのアナウンサーとなっている。卒業前にはいくつか地上波の番組への出演もしていたし、AKB時代に培った仕事への取り組み姿勢を買った人がいるのだろう。今後どうなるかは彼女にかかっているが、「報われない
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山野うさぎ 前回の続き。
ひとつ間違いないと思うのは、AKBは楽曲が違うということ。昭和を彷彿とさせる懐かしい感じの曲から、新しめの曲まで、実にバラエティ豊か。
誰かも言っていたが、おじさんにとってはどこか懐かしく、若い人には新鮮。
さらに、歌詞が違う。よくある恋愛ものも多いが、表現がじつに多種多様で、さらに友情とか、努力とかの真面目系もあれば、ドキッとするような色っぽい曲、とんでもなくおちゃらけた曲まで、振り幅が恐ろしく広い上に曲数がとてつもなく多いので、どんなセットリストもできるのではないかと思えてくる。
アイドルにありがちな単純に盛り上がる曲だけだと、たちまち飽きてしまうが、秋元ワールドの複雑怪奇な森に立ち入ってしまうと、ドン・キホーテの中を徘徊しているような感覚を覚えて、幾星霜人生を重ねてきて感性が磨り減ったおじさんにも、不思議な興奮と幸福感をもたらしてくれるのだ。
結局、秋元さん、いや、親しみを込めてやすすの曲は、アイドルの基礎層を広げることに成功したんだと思う。
普通なら学生を終える前後にアイドル卒業、となるのが昔の流れだったが、今は、おじさんになっても楽しめるアイドルになることにAKBは成功したのだろう。
地下の板でAKBヲタの年齢の高さを揶揄する向きがあるが、決して悪いことではない。おじさんたちが胸をワクワクさせながらアイドルたちを応援できるのは、とても幸せなことだと思う。
酒やバクチや風俗にはまってにっちもさっちもいかなくなったり、毎日やる気もなく家と会社を往復して退職後は奥さんからゴミ扱いされるよりはよほど健康的だ。
若者とおじさんたちが不思議な共存をしているチーム8の客席には、新しいおじさんの希望がちりばめられている気がした。
できればもっと幅を広げて、おじいさんや子供のためのAKBがあってもいいな、なんて妄想も湧いてくる今日この頃であったりする。