辺りが静まり返った夜 俺はベットに疲れた身体を委ねた 少し冷んやりとした空間 落ち着きを取り戻す匂い どうやら包みこんでいるものは布団だけではないようだ。 この 空気の音さえ聞こえてきそうな静けさの中で日頃気にも留めない音を僕の耳は拾った 無意識に しかし必然的に 『カチッ カチッ カチッ』 そう こいつは時計の秒針だ！ 私の知らないところでももちろんこいつは動いている。 例え、 俺が泣いていようが、 笑っていようが、 動揺していようが、 沈んでいようが 休む事なく 同じ刻を刻んでくれる マイペースではあるが 決して一人にはしない 悲しい時間は過ぎ去るように 楽しい時間は数えるように 誰にもとらわれることなく、振り向く事なく前だけ進むその様は 何かしら強い意志さえ感じられる 俺はこいつによく似た女性を知っている 彼女はマイペースではあるが何か力強い信念を感じさせる 余りに自然で 余りに温かく 万人に向けられる気遣い 貴方がふと足を止めて 彼女の存在に触れた時 その時が 貴方が彼女の虜になった時といえるだろう。 時を刻む聖母 『深川 麻衣』