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鈴江信彦
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[虹色のチョーク 働く幸せを実現した町工場の奇跡] 小松 成美 著 幻冬舎 以前一度読んだ本です。kindle版で読み返しました。 綺麗事ではなく真実のドラマです。大袈裟な表現があるわけでも、感動のラストシーンがあるわけでもないです。 信念を持ち、その信念を貫くために一日一日の努力を積み重ねてきた大山会長とその家族の軌跡がありのままに描かれています。 今よりもずっと障がいをもつ人に対する差別や偏見があった1959年に大山会長の日本理化学工業を何度も訪ね、『卒業後、就職先がないと親元を離れ、一生施設で暮らすことになります』、『働くという体験をしないまま、生涯を終えることになるのです』と伝え、『就職は諦めましたが、せめて仕事の体験だけでもさせていただけないでしょうか。私はこの子たちに、一度でいいから働くというのはどういうことか、経験させてあげたいのです』とおっしゃった東京都立青鳥養護学校(当時)の林田先生のお言葉は、何度読んでも涙が出てしまいます。 大山会長はある法事で出会った禅寺の住職に『会社で大変な思いをして働くより、施設で大事に面倒を見てもらったほうがずっと幸せだと思うのに』と話したところ、住職から『人に愛されることは、施設にいても家にいても、感じることができるでしょう。けれど、人に褒められ、役に立ち、必要とされることは、働くことで得られるのですよ。つまり、その人たちは働くことによって、幸せを感じているのです。施設にいてゆっくり過ごすことが幸せではないんですよ』と説かれ、その瞬間から"世の中の光景も映る色も変わって見えた"とおっしゃっています。 この本では日本理化学工業で働く障がいをも持つ社員の家族の思いも描かれています。読んでいて胸が痛くほどに辛くなる場面もあります。今、自分に出来る精一杯のことを毎日必死に積み重ねている家族の心情も小松さんは丁寧に書いてくださっていて、僕は読んでいる間ずっと心を揺さぶられ涙が止まりませんでした。 障がいを持つ人とその家族、障がいを持つ人を雇用する会社に対して今でも現実は厳しいままです。 だからこそ『障がいの有無に関わらず"働く喜び"を得られる社会の実現に向け、夢物語ではなく現実と格闘しながら前進させたい。その為に自分も毎日少しずつでも貢献したい』とこの本を読んで僕は強く思いました。 この本からは生きる素晴らしさ、生きる勇気を頂けます。それは(何度も書きますが)綺麗事や美談で済ませるような表面的なことでは無く、小松さんが丁寧に愛情を持って真実を深く表現されているからだと思います。 著者である小松成美さんの人間に対する優しさ、包容力もとても素晴らしいと僕は感じました。 小松成美さん、[熱狂宣言2]も読ませて頂きます。 見城さん、このような素晴らしい本を世に出して頂き本当にありがとうございます。

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