3日目【堀、高山、与田、西野、白石、衛藤、生駒、桜井、若月】
夜の時間。私は悩んだ。
結局私が占い師のふりをして与田ちゃんを人狼と判定した。
その後の吊り方、噛み方では、共倒れもありうる。今夜、どこを噛めば…
高山(生ちゃんを噛む)
高山さんが生ちゃんを指差した。えっ、生ちゃんは私の対抗…噛んでしまったら、真っ先に私が疑われる…
ここまで1秒。そして2秒目にその意図を汲み取った私は、手でOKサインを出した。与田ちゃんは相変わらずどこかオドオドとしていたけど、私にはそれが勝ち筋に見えた。先輩の頼もしさを感じて、再び村へ戻る。
「生ちゃんがやられたか…ということは未央奈」
若月さんが私に目を向けた。
返す刀で言い返そうとしたところを、生駒さんの声が遮った。
「桃ちゃん人狼だったよ!おそらく未央奈が本物の占い師だと思う!」
桃ちゃんは、人狼ではない。なぜなら、人狼は、高山さん、私、与田ちゃんの3人だから。人狼の私は知っている。
ではなぜ生駒さんがこんなことを言うのか。
生駒さんの狂人が、私たち狼目線で確定した瞬間だった。
私は続けた。
「狼は与田ちゃんと桃ちゃん。そしてあと1人が潜伏しています。勝ち目がないと踏んだ狼は、狂人の生ちゃんを噛んだんです。そして私と生駒さんの信用を落とそうとした!」
村が納得し始めた。高山さんからのパス。おそらくこれが、その答えだ。
「それで、未央奈は誰を占ったん?」
それまで寡黙気味だった西野さんが聞いた。私は、噛み先や自己弁護に気を取られていて、占い先(実際には占ってないが)を、まだ決めてなかった。
「占い先は白石さんです。昨日の桃ちゃん吊り、人狼同士の身内切りは必ず起きていると思いました。一番私にすり寄ったように見えたのが白石さんだったからです。ただ、結果は人間でした」
なんとか整合性の取れる発言を咄嗟にした。
しかし、本来人間と言われ私を信用してくれそうな白石さんが、疑念を向けてくる。
「私を占い?初日与田ちゃん、2日目に桃ちゃんに投票している私?」
正直、しまったと思った。
2日目の桃ちゃん投票は身内切りで済まされる。しかし2日連続となると、たしかに占うべきではない。
「身内切りがあった、その中で昼に吊れない人を占ったんです」
苦し紛れの言い訳をして、その場は収まったが、村の疑念の目が自分に向いて来ているのがわかった。
投票。
結果から言うと、生駒さんに集まった。
私は与田ちゃん、与田ちゃんは私に入れあい、ここは完璧。
ただ生駒さんが本物かどうかは真偽がつかず、人狼の可能性もあるため処刑された。
もしここで生駒さんが生きていたら、明日は全員で投票を合わせて人狼勝利となっただけに悔しいが、うっかり与田ちゃんや私が吊られるよりはマシだ。
ただひとつ。
「私、考えを変えた。未央奈に投票する」
若月さんが、私を殺そうとしていたことは、見逃せなかった。
「私は未央奈を信じてる。桃ちゃんで狼も吊れているし、村が勝てると信じてます!」
最後まで私をプッシュした生駒さんの遺言は、どれだけ村に響いたのだろう。明日は7人。うち、人狼3人。
村人の誰かが間違えば、人狼の勝利。
そうなるはずだった。
(つづく)
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