4日目【堀、高山、与田、西野、白石、衛藤、桜井、若月】
夜。襲撃先は、白石さんにした。
私の白先であり、なおかつ私を疑っていた人。これで私の信用が大きく落ちることはない。
そして私はひとつの決断をしていた。
朝。目がさめる。
白石さんが死んで、7人の村。
そのはずが…
「誰も死んでない!」
高山さんが喜びの声をあげた。まさかの、騎士による護衛。通称グッジョブ。もちろん人狼にとっては最悪のケース。高山さんが喜んだのは、演技だ。
私も最上級の笑顔を作り声をあげた。
「もし私でグッジョブ起きてるなら、騎士の人出てください!」
もちろん出るわけがない。グッジョブは、白石さんで起きている。
「未央奈、それより結果、結果」
西野さんが正論で村を正す。たしかに騎士よりまず先に私の結果を言うべきだ。
この時、チャンスが来ているような気がした。私は昨夜の決断に、強く自信を持って、語り始めた。
「今、この村に騎士がいますよね。私は騎士が誰かわからないですよね。その状況で言います。私は本物の占い師なので言えます。若月さんが人狼です!」
私なりに考えた答え。
今日、黒出し。そして、この日に勝つ。そのため、誰に黒出しをするか。
人狼の高山さん、白出ししてある白石さん以外の誰かになる。
西野さん。数日前から私を信じている。わざわざ敵に回す必要がない。
桜井さん。正直ここが出しどころ…と思ったが、昨日与田ちゃんに投票。私を信じているし、人狼なら投票が不自然。
衛藤さん。一見ありえる。が、もしそうなると、初日。秋元、衛藤、与田の3人で処刑対象になった時に、衛藤と与田の両方が騙らないというのは不自然。よって出せない。
最後に残ったのは若月さん。昨日、私投票。私が真占い師なら、占うのも当然。過去の投票的にも問題ない。
「今確実に騎士が生きてますよね。私が偽物でもし騎士に誤爆したら破綻ですよね。それでも私は本物だから人狼だと言えます。若月さん、騎士じゃないですよね?」
私は真予言者が醸し出す正義感のふりをして、若月さんに詰め寄った。
「騎士じゃ…ない…」
捨て身の黒出しに成功…と思った人も多いかもしれない。
ただ若月さんが騎士でも私は勝ち筋を見ていた。
若月さんが騎士なら、私が破綻。その瞬間、もっとも人間らしくなるのは与田ちゃん。生き残れるんだ、与田ちゃんが。だから私は黒出しをした。
「私は全部の人狼を見つけました!あとは2日かけて人狼を吊り切れば勝ちです!」
「私は人狼じゃない!桃ちゃんにも投票しているし、生ちゃんにも投票している!それで私たちが人狼仲間だと思う?!」
「桃ちゃんには確実に身内票が入っています。そして生ちゃんは狂人です、いくらでも殺せます。若月さんが人狼です。」
対抗する若月さん。ここで私が引いたら負け。毅然と嘘を突き通す。
高山さんは推理をするふりをしている。与田ちゃんは敢えて若月さんをかばう芝居をうっている。
勝負所だった。ここで私が勝ち切れば、人狼の勝ち。
「若月さん、私が人狼なら、仲間は誰ですか?」
「私、かずみんが人狼だと思ってる」
若月さんの言葉に、高山さんが反応した。
「若月、それなら話が早いよ〜。迷っていたけど、若月が人狼じゃん。もし私と未央奈が人狼なら、仲間は誰なの?いなくない?」
「仲間は…えっと…」
「ほら〜、いないじゃん!」
高山さんが流れを自然と狼側に傾ける。ここらへんのテクニックは、さすがの一言だろう。みんなが若月さんを疑い始めた。
そして、追い風は続く。
「あのね、ななが騎士なの」
西野さんから突然のCO。騎士は西野さんだった。
「守ったのはまいやん。今若月はまいやんを狼だと推理展開しなかった。それは自分が狼で、まいやんが襲われたのを知ってたからやない?」
「違う!なあちゃん聞いて!」
勝てる。そう思った。村が完全に狼側に流れていた。私の作った流れが与田ちゃんを救い、高山さんが流れに棹をさした。
でも、この人だけは違った。
「私、若月が人間に見えて来た」
白石さんがつぶやいた。
伏し目がちに、自分の世界に入るようにしたその姿が、真相に近づいているように感じられて、私は正直脅威を感じていた。
「何でですか白石さん、考え直してください!」
私は語りかけたが、それが虚空を切っているように感じた。
(つづく)
前へ次へ古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)のトーク
トーク情報