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古川洋平(クイズ制作/カプリティオ)

「まあ、まいやん目線あるにはあるよね」 高山さんは白石さんの推理にもたじろぐことなく対応した。でも、白石さんはそれに臆することなく言葉を続けた。 「私はかずみんを信じる道も残したい。だから、今日は与田ちゃんから吊る。かずみんはそれでいいよね?」 急に私の名前を呼ばれてドキッとした。堀さんに黒出しされてからというもの、自分がどう振る舞っていいのかわからなかった… 3期生として、突然あげられた舞台。毅然として霊媒師を宣言した桃子に対して、私は堀さんに助けられて、そのまま何もせずに佇んでいた。きっと、気づかないミスもたくさんしているんだと思う…。 堀さんを処刑させてしまったことを重く受け止めながら、私は何ができるかを考えた。 「私は堀さんが偽物であるとしか言えないです。若月さんは人間だと思います」 自分の発言が、狼のためのそれになっているとは思えず、もどかしい思いが続く。きっと高山さんと堀さんは私にはわからない次元のことを考えていて、私はただ驚いている村人のふりしかできなくて、相談もできないからどんどん黙ってしまって…。 人狼のカード。私が好きで引いたわけじゃない。勝手に配られた運命。私だって村のために推理して、正義のために戦いたかった。 高山さんのように機転も効かないし、堀さんのように大胆でもない。私には、正義をふりかざすふりしかできない。悔しいけど、それが私の実力。 「今日は与田ちゃんかな」 「反対の人いる?」 「仕方ないかな」 もう私の力ではどうしようもない。覆せない。自分の無力さを感じるとともに、堀さんに犠牲を強いたのは初日に私が怪しまれたからだということを強く感じていた。それなのに生き残れなくて、ごめんなさい… 私なんて、チームに必要じゃない… 「与田ちゃんを吊っちゃだめ!かずみんとミサミサが人狼!」 その時、若月さんが村に立ち向かった。 そうか、若月さん目線、私は村人なんだ。 ということは…。 私は足りない頭で一生懸命考えた。 若月さん目線、人狼は高山さんと衛藤さん。現在村には6人いる。今日、私が死んだとする。夜に誰か、例えば白石さんが襲われたとする。村に残るのは、高山さん、衛藤さん、桜井さん、若月さん。この時点で、高山さんと衛藤さんが人狼なら、村は滅びている。でも、私が死んだことで、村は滅びない。ここで、若月さんが破綻したように見える。私と若月さんが人狼になる。 そうだ。私にも役目があるんだ。 私は、死ぬことで、チームに貢献できる! 「若月さんは人間だと思います!高山さんが怪しい!」 実力がないのは、わかっています。最後まで、高山さんにおんぶにだっこで。実績もないし、自信もないし、できることも少ないです。 だけど、私だって、メンバーだから。負けることを受け入れるなんて、できないから。 投票の時間。 高山さんは、率先して私に入れた。 若月さんはノータイムで高山さんに入れる。 私は、静かに立ち上がった。バカな人狼が、一生懸命考えてるようなふりをしながら、うんうん唸って、迷った感じで。 「えっと、今日は衛藤さんに投票します…」 煮え切らない投票。村人なら高山さんに投票するシーン。それなのに、票を散らして。きっと村人はイライラしてる。私が下手くそだから、みんな私はダメな人狼だと思ってる。 「与田ちゃんに入れます」 「与田ちゃんは人間だとは思えない」 「与田ちゃんに投票します」 残る3人は、迷わず私に入れた。 私が人狼なら。 「私には真相はわかりません。ただ、もう村人が負けたと思います」 堀さんは真の占い師となり。 「明日がくることはないと思いますが」 若月さんが狼になる。 「もし奇跡的に続くことがあれば」 それであってますよね、高山さん、堀さん…! 「私は人間です!それを忘れないでください!」 5日目、私は処刑された。 堀さんから黒出しをされてから、実に3日が経っていた。 (つづく)

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