私は国家公務員一種試験を受けて、国家公務員になりました。
私のような者を取りこぼさないような、そして困っている人が助けられ、助け合え、そしてみんなが努力しあえるような、そんな社会を作りたかったからです。
そしてもう一つは、東京大学の在学中には資金がなく成し遂げられなかった夢である留学をしてみたかったからです。
私はボストンで2年間の留学をしました。世界に多くの友人ができ、多くの経験をさせていただきました。
妻とはそのボストンで知り合って、交際して今に至ります。
あの時私が東京にこなかったら、あの時地元に帰っていたら、今日この場もありません。
しかし、あの時三浦くんに本をもらわなかったら、菅原社長に出会わなかったら、多くの人々のご支援やサポートがなかったら、東大と留学先が留学協定を結んでいなかったら、今の私もなく、私達2人は見知らぬ2人もままです。
今日この場には、全員が今日私達2人の結婚になにかの形で関わり、私達の人生に大きな影響を及ぼしています。
東大に入ったあと、国家公務員になったあと、こんなことを言う人がいました。
「貧乏なやつは努力してないだけ」
「勉強をしないから低学歴」
「いつまでも震災のせいにするな」
「親がめんどくさい」
「友達と縁を切った」
今日ご参加頂いている皆さんにも、ぜひ知ってほしいことがあります。
世の中には、努力をしたくても叶わなかった人たちもいます。
努力をする人生を送りたかったのに命を落としていった仲間もいます。
今も多くの人の中で、震災は続いています。
どうかその人達のことを忘れずにいてあげてください。
そして、家族や友達を大切にしてあげてください。想いを伝えてあげてください。
私には、家族がいませんでした。
帰省する家もありませんでした。
故郷に帰る時、くだらないことを話せる友人やお世話になった皆さんに会えるのが、いつもとても嬉しかったです。改めて、本当にいつもありがとうございます。
帰る家はなくても、家族がいなくても、帰る街はあって、そこに人がいることが、どれだけ幸せだったか、心の支えになっていたか、いつか伝えたいとずっと思っていました。
明日もしかしたら二度と会うことが出来なくなる前に、みなさんもぜひ伝えてあげてください。
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