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吉田真悟

ずっと読んでいる。止められない。圧倒的な筆力。違和感が広がる設定。ひたひたと押し寄せる謎の気配。胸を鷲掴みにされる人物造形のリアリティ。10年ほど前のありふれた殺人事件。自分が判決を下した裁判員裁判。その裏に一体何があったと言うのか? ずっと一雫ライオン・著[二人の嘘]を読んでいる。圧倒的な描写力。ぐいぐいと小説世界に引き込まれる。小説を読む快感を久し振りに味わっている。2時間後、それを中断して映画を観に行く。土曜日の贅沢な午前中だ。 一雫ライオン・著[二人の嘘]を読んでいる。もう、終わりが近い。園長と礼子の喫茶店での会話のシーン。しばらく声を上げて泣きながら読み続けた。切なくて、暗い。この長い小説はどこまでも切なくて、暗いが、生きる姿勢において凜とした大事なものが一本通っている。人生はきっと誰でも切なくて、暗い。しかし、その中にも救いはある。一条の光は射す。後100ページとちょっと。どうしようもなく先を読みたいが、涙を拭って分厚い本を閉じる。 まだ、どんでん返しはあるのか? 仕事が一段落したら、一雫ライオン・著[二人の嘘]のラストを読みます。 一雫ライオン・著[二人の嘘]の最終章「悲劇」を残して新宿のホテルのジムへ。凄い。凄い小説だ。胸が張り裂けそうで読み終わるのが惜しい。丁度、18時から緊急の打ち合わせが入ってしまった。多分、食事を挟んで夜中までかかる。多分、読み終わるのは明日の早朝だ。今、読み終わるより、その方がいい。 [二人の嘘]に涙が止まらない。最終章ではもっと激しく胸を揺さぶられるだろう。ぐちゃぐちゃの気持ちを抱えながら、これもまたどうしようもなく切ない打ち合わせに入って行く。 車で打ち合わせ場所に向かっている。[二人の嘘]を思い返す。涙が止まらない。 [二人の嘘]。読んだ。読み終わった。最終九章のタイトルは直裁に「悲劇」。そのタイトルにもかかわらず、それまでの八章までと比して第九章は明るい。そうか、こういう終わり方で来たのか?裁判。被告人。判事。判決。判決を下された者の人生の事情、そして罪と罰。判決を下した者の人生の事情、そして罪と罰。ここまで暗く切なく憂鬱な世界を構築して突き抜けたシンプルで凜としたラスト。ハラハラ、ドキドキし、嗚咽した僕は言葉もなく立ち尽くしている。

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『二人の嘘』読後感想の部屋
トーク情報
  • 吉田真悟
    ひふみひふみ

    なぜこんなに[二人の嘘]に心奪われたのでしょうか。私はこの小説のラストに[風と共に去りぬ]をどこか重ねていていました。スカーレットが人生を前向きに決意するラストシーンです。「明日は明日の風が吹く」と訳される名台詞は、私にとって御守りの言葉です。

    感想を書くことは、己の内側と対峙し考えをまとめる作業で心の表現だと思います。とても苦しいです。ですが、本をていねいに読むようになりました。ストーリーを先行して読むだけでなく、細やかな描写を心にとめるようになりました。
    恩師に
    「文章を書くことは、恥をかくこと」
    と教わりました。根気よく習練を積むしかありません。何事もそうですね。

  • 吉田真悟
    akiaki

    大分遅れてしまいましたが、「二人の嘘」本日、読み終えました。

    読み終えたばかりで、まだうまく感想をかけませんが、もし、この物語を色に例えるなら、曇った空のブルーグレーのような、切なくて哀しくて、薄い靄のかかったような、でも、どこか優しくて温かい大人の清らかな純愛を描いた素晴らしい小説でした。

    「わたし、間違えるから。だから明日も一緒にいて下さい」

    礼子が金沢で、蛭間に言ったこのシーンがとても心に残りました。礼子が蛭間に対して、子供のように無垢に素直に感情を出したシーンでした。

    そして、この小説を読み終えた今、自分を犠牲にしてまで、命がけで守りたい人にこの先逢える確率は何%だろう。ふとそんなことを考えました。

    もしかしたら、そんな人にはもうこの先、一生出逢えないかもしれない。でも、1%の確率でも、礼子と蛭間のように、最後にジグソーパズルがカチっと嵌るように、必然的に出逢えることができたなら、どんなに幸せで、人生が濃いものになるでしょう。

    悲しい結末でも、きっと出逢えた奇跡に心から感謝するのではないかと思えるのです。

    そう思うと、憂鬱で、辛い事が沢山ある毎日でも、「まんざら悪くないなぁ」なんて思えるような気がするのです。

    見城さんが以前仰っていたように

    「命がけで人を愛する」

    この言葉の意味のスタートラインを「二人の嘘」を通して少し解ったような気がしました。

    そして読み終えた今は、明日から、すべての人に優しくなりたい自分がいるのでした。

    見城さん、人を心から愛することの素晴らしさを教えてくれた素晴らしい小説を出版して頂き本当にありがとうございました(^-^)

  • 吉田真悟
    削除されたユーザー削除されたユーザー

    二人の嘘の、第八章走る、が好きだ。

    「忘れ物したわ」と言って、蛭間の元に狂ったように走る礼子。
    「もう、離しませんから」と、蛭間の指先をつかむ礼子。
    そして結ばれる二人。
    「このままでいいじゃないですか」と、礼子の爪を研ぐ蛭間。

    全てが切なくて、愛おしくて、全力で二人を応援してしまう。

    本当に好きだと言える小説に出会えた。

  • 吉田真悟
    見城徹見城徹

    ↑ 僕の熱狂はもう一度[二人の嘘]に戻ります。
    演劇はその場限りで消えて行くものだけど、小説はいつまでも残ります。[幻冬舎PRESENTS扉座版二代目はクリスチャン]の千穐楽の舞台を全ての人に観てもらいたかった。あの感動、あの興奮、あの熱狂!同じことを[二人の嘘]に思います。全ての人に読んで欲しいです。

  • 吉田真悟
    吉田真悟

    二人の関係を「運命」という言葉で彩るとして、その魂は救いを求めていたのだろうか。
    出会ったときから始まる悲劇の中を堕ち続ける二人。読み終わった後の息苦しさにうろたえている。

    本能を失い間違えることを避け続けた「美しい」判事と、罪をかぶり赦されることを拒む元受刑者の男。
    強さとつよさ。
    共有することのない過去の苦しみと悲しみが重ねた二つの道。凍り付いた魂が溶けた瞬間のその一瞬の灯が心に焼き付いた。あぁ、そうか。二人は堕ちることで赦されたのか。いや、違う。女は共に堕ちることで救われて欲しかったのに、男は救われることを拒んだのだ。どこまでも孤独な心を抱えて女の心を満たすためだけに選んだ旅。
    氷のように冷たい手は、重ねたときだけ熱を持ったのだろう。
    超越した頭脳と美しさという鎧をまとい、心を殺して生きていた女と、光を避けそれでも俯かず生きてきた男の、これが必然の終焉。


    【書店員レビュー(ひさだかおり)】『二人の嘘』(一雫 ライオン) https://readee.rakuten.co.jp/bookstore-clerk-review/5431077