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吉田真悟

40代の高倉健と30代の吉永小百合が演じるこの小説の映画が観たい。 40代の高倉健と30代の吉永小百合が今の日本映画界には不在である。 2人が主演した[動乱]をプロデュースした岡田裕介も既に逝ってしまった。 こんなに755で一つの小説について僕がアップしたのは[土漠の花]以来だと思う。 [土漠の花]も[二人の嘘]も幻冬舎の有馬大樹が担当編集者だ。因みに[ヒトコブラクダ層ぜっと]の担当編集者も有馬大樹である。 ↑ 作者の意図を読み取らなくてもいいと思う。自分がその作品をどう読んだかだけだと僕は思っています。自分はどう読んだか?それを正確に言葉にしてみる。僕はそうしています。元より正解なんてあるはずもない。 人を殺した男。それを裁いた女。社会の片隅で生きる元服役囚の封じ込めた人生。感情を殺して生きるエリート美人判事が忘れようとした人生。二つの人生が宿命のように交錯した時、圧倒的な小説世界が動き始める。息を詰め、胸を掻きむしり、嗚咽しながら一気に読み終わった。こんな風に愛したかった。こんな風に愛されたかった。40代の高倉健と30代の吉永小百合しか演じることが出来ない男と女ー。だから映画化は不可能だ。何というミステリー! ↑ [二人の嘘]の推薦文を書いてみた。 [二人の嘘]を一人でも多くの人に読んで欲しい。小説はこんなにも面白く、こんなにも感動的であることを知って欲しい。騙されたと思って読んでみて下さい。やめられなくなり、一気に読了するはずです。 ↑ 僕は「転落していく物語」じゃないと思うけどな。むしろ「真っ当になっていく物語」だ。 ↑ アニー・エルノーの[シンプルな情熱]は正にそれです。世間では背徳と糾弾されるものでも、自分にとっては抜き差しならないもの。自分の生きるという営みに欠くべからざるもの。それを描いていました。一雫ライオンの[二人の嘘]はそれを迫真の宿命的な物語を積み重ねた上に描いたものです。 美貌のエリート判事である女は自分の人生という物語の中で、初めて抜き差しならない情熱に捉われ、赤裸々な感情を回復して行きます。殺人を犯して服役、出所した男は割りの合わない役割を引き受け、何もかも飲み込んで、寡黙で潔く生きる人生を全うします。裁いた女と裁かれた男。一瞬の官能。一瞬の救済。「悲劇」と題された最終章。読む者は胸を掻きむしりながら号泣し、深い余韻に目眩を覚え、二人の一瞬の幸福に震えながら長い物語に想いを馳せるのです。 [二人の嘘]を読んでいない人とは今は友だちになれない。そんな気持ちです(笑)。 今の僕の中では人は2種類に分かれる。 [二人の嘘]を読んだ人とまだ読んでいない人だ。おやすみなさい。 誤解のないように申し上げておきます。 今までリトークさせていただいた[二人の嘘]の感想はどれも書いた方の人生が感じられて、素晴らしいと思っています。

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『二人の嘘』読後感想の部屋
トーク情報
  • 吉田真悟
    ひふみひふみ

    なぜこんなに[二人の嘘]に心奪われたのでしょうか。私はこの小説のラストに[風と共に去りぬ]をどこか重ねていていました。スカーレットが人生を前向きに決意するラストシーンです。「明日は明日の風が吹く」と訳される名台詞は、私にとって御守りの言葉です。

    感想を書くことは、己の内側と対峙し考えをまとめる作業で心の表現だと思います。とても苦しいです。ですが、本をていねいに読むようになりました。ストーリーを先行して読むだけでなく、細やかな描写を心にとめるようになりました。
    恩師に
    「文章を書くことは、恥をかくこと」
    と教わりました。根気よく習練を積むしかありません。何事もそうですね。

  • 吉田真悟
    akiaki

    大分遅れてしまいましたが、「二人の嘘」本日、読み終えました。

    読み終えたばかりで、まだうまく感想をかけませんが、もし、この物語を色に例えるなら、曇った空のブルーグレーのような、切なくて哀しくて、薄い靄のかかったような、でも、どこか優しくて温かい大人の清らかな純愛を描いた素晴らしい小説でした。

    「わたし、間違えるから。だから明日も一緒にいて下さい」

    礼子が金沢で、蛭間に言ったこのシーンがとても心に残りました。礼子が蛭間に対して、子供のように無垢に素直に感情を出したシーンでした。

    そして、この小説を読み終えた今、自分を犠牲にしてまで、命がけで守りたい人にこの先逢える確率は何%だろう。ふとそんなことを考えました。

    もしかしたら、そんな人にはもうこの先、一生出逢えないかもしれない。でも、1%の確率でも、礼子と蛭間のように、最後にジグソーパズルがカチっと嵌るように、必然的に出逢えることができたなら、どんなに幸せで、人生が濃いものになるでしょう。

    悲しい結末でも、きっと出逢えた奇跡に心から感謝するのではないかと思えるのです。

    そう思うと、憂鬱で、辛い事が沢山ある毎日でも、「まんざら悪くないなぁ」なんて思えるような気がするのです。

    見城さんが以前仰っていたように

    「命がけで人を愛する」

    この言葉の意味のスタートラインを「二人の嘘」を通して少し解ったような気がしました。

    そして読み終えた今は、明日から、すべての人に優しくなりたい自分がいるのでした。

    見城さん、人を心から愛することの素晴らしさを教えてくれた素晴らしい小説を出版して頂き本当にありがとうございました(^-^)

  • 吉田真悟
    削除されたユーザー削除されたユーザー

    二人の嘘の、第八章走る、が好きだ。

    「忘れ物したわ」と言って、蛭間の元に狂ったように走る礼子。
    「もう、離しませんから」と、蛭間の指先をつかむ礼子。
    そして結ばれる二人。
    「このままでいいじゃないですか」と、礼子の爪を研ぐ蛭間。

    全てが切なくて、愛おしくて、全力で二人を応援してしまう。

    本当に好きだと言える小説に出会えた。

  • 吉田真悟
    見城徹見城徹

    ↑ 僕の熱狂はもう一度[二人の嘘]に戻ります。
    演劇はその場限りで消えて行くものだけど、小説はいつまでも残ります。[幻冬舎PRESENTS扉座版二代目はクリスチャン]の千穐楽の舞台を全ての人に観てもらいたかった。あの感動、あの興奮、あの熱狂!同じことを[二人の嘘]に思います。全ての人に読んで欲しいです。

  • 吉田真悟
    吉田真悟

    二人の関係を「運命」という言葉で彩るとして、その魂は救いを求めていたのだろうか。
    出会ったときから始まる悲劇の中を堕ち続ける二人。読み終わった後の息苦しさにうろたえている。

    本能を失い間違えることを避け続けた「美しい」判事と、罪をかぶり赦されることを拒む元受刑者の男。
    強さとつよさ。
    共有することのない過去の苦しみと悲しみが重ねた二つの道。凍り付いた魂が溶けた瞬間のその一瞬の灯が心に焼き付いた。あぁ、そうか。二人は堕ちることで赦されたのか。いや、違う。女は共に堕ちることで救われて欲しかったのに、男は救われることを拒んだのだ。どこまでも孤独な心を抱えて女の心を満たすためだけに選んだ旅。
    氷のように冷たい手は、重ねたときだけ熱を持ったのだろう。
    超越した頭脳と美しさという鎧をまとい、心を殺して生きていた女と、光を避けそれでも俯かず生きてきた男の、これが必然の終焉。


    【書店員レビュー(ひさだかおり)】『二人の嘘』(一雫 ライオン) https://readee.rakuten.co.jp/bookstore-clerk-review/5431077