大学３年の、おそらくは後半に、卒論を書くための参考文献を買い求めるために、梅田の書店へ行くことにした。 いつもの紀伊國屋書店に行こうとしていて、同級生の、大学に入って二番目に好きなったけれど付き合えずに友達のままだった女の子と同じサークルのその子の友達で、私と同じ学部学科の女の子にその話をすると、 「それやったら、旭屋書店にも行ってみたら」 と言われた。 旭屋書店に行ったことがなかった私は、道順を教えてもらうことにした。 話を聞いているだけでは要領を得なかったので、地図を書いてもらおうと、ルーズリーフの用紙の一枚を渡したが、いかんせん彼女には、センスがないというか地図を書くアレがナニだったようで、手を付けないまま数分間うんうん唸り頭から煙が出そうになっていた。 「もし時間さえ良かったら、付いてきてくれへんか」 と言うと、帰りに「お茶」を奢ってくれるのなら、という交換条件を出してきた。 この「お茶」は、「喫茶店」に寄ることと同意と私は考えたのだが、本屋のあとに行った先は、紅茶専門店で、本当の「喫茶店」で「お茶＝紅茶」を奢ったのだった。 間接照明で仄暗いテーブルに向かい合い、バイトがどうだとか、あの子のことはもう好きじゃないのかとか、卒論の内容はどうだとか、色々と話をした。 私はアールグレイで、彼女はオレンジペコだった。 「カモミールティー」は、あったかなかったかわからない。 その頃の私は、その存在すら知らなかった。 ちなみに「猫舌」でもない。笑 煙草が吸えない店だったが、二人きりで学内以外で話すのが初めてだったので、吸えない苦痛を感じることもなく、一時間くらいがあっという間に感じた。 外へ出てみると、小雨が降っていて、慌てて梅田の地下街へ二人で入り、そのまま彼女の乗車駅まで送って行った。 「また一緒に行こうね」 「そやな、美味しかったし、また行こう」 そう言って、その日は別れた。 後日、彼女と 色々ありましたとさ。笑 ( ｡･_･｡ ) ☕️