ジョージのトーク
トーク情報- ジョージ
ジョージ 千代田区紀尾井町3-20
初めて就職した会社は文藝春秋社屋の要塞に囲まれながらも、生き残った唯一のビルだった。
社長は北川千恵雄。
一橋大学に初めて岡本太郎さんを呼んだ芸術好きの人だった。
石原慎太郎さんと大学の同級生で、たまにお二人のエピソードを話してくれた。
「北川、政治の道に進むから寄付金を願いたい」
「わかった」
二つ返事で答えたが、北川社長は東京通信工業(後のSONY)に勤めながらも、まだ安月給だった。
石原さんと待ち合わせした湘南の駅で北川社長は驚愕した。
「アイツはゴーグルしながら珍しいスポーツカーで俺を迎えに来たんだ。失敗したと思ったよ。どこからどうみても金に困っている様に見えなかったし、自宅は大豪邸だった。
俺は惨めな気持ちになったが、約束は果たした」
北川社長は群馬の田舎で貧乏から抜け出す為、必死に勉強をした叩き上げだった。
良くも悪くも百姓根性を忘れなかったし、安藤昇、デビ夫人とも麻雀を打つやくざな人だった。
(暴力団に所属していた意味ではなく生き方という意味)
一方で石原慎太郎さんに悪気があったととても思えない。
湘南で生まれ育ち、売れっ子の役者を弟に持つ石原さんにとってスポーツカーに乗って寄付金を同級生に募る姿は普通だったと思う。
生まれ育った環境が亀裂を生んだ。
北川社長も鬼籍に入った。
お二人が親しかった学生時代の話、もう少し聞いておけば良かった。
※またミスタッチがあり、書き直しました。