No.336 『あおい』 西加奈子 著 （2004/6/20 小学館） ※『あおい』『サムのこと』が一冊に収録 2019/05/04 主人公の女性が西加奈子氏になってしまいカザマ君は草食系の頼りない千葉雄大君になってしまう。みいちゃんは渡辺直美か。 ほっこりするキャラが集まって深刻な過去もうまくいかない事も問題ないと言ってくれる気がする。淡々と当たり前に生きてきた男女が生き生きと赤裸々に良い脱力感で行動し、くっ付き相手を思いやる。 小説家志望のみぃちゃんも面白いキャラで辞書を愛し言葉を充電と称して溜め込んでいて、最後に小説を書き始める。西さんの分身なのであろう。 タイトルのあおいとは立葵（たちあおい）の事であった。さっちゃんがカザマ君との子供の名前にしようとしたのだが出産予定は男の子だった。葵君となる。 確か『舞台』も男の子目線だったはず。久しぶりに全編女性目線で書かれていて新鮮であった。女性の性を意識させ又吉氏の放つ中性感より尖っていた。 私は西さんも中村文則一派として捉えており通じる文学感に安心する。 中村文則氏、又吉直樹氏が純文学の芥川賞を受賞し西加奈子さんが大衆文学の直木賞を受賞しているが、同じジャンルとしか思えない。又吉氏が二人の真ん中に位置すると思う。 しばらく、西加奈子文学に触れて行こう。 【登場人物】 さっちゃん:主人公。映画配給会社の広報。彼氏はカザマ君。 カザマ君:三つ下の24歳。金持ちの大学生。 雪ちゃん:会社の先輩でカザマ君の事を好きなのにさっちゃんにとられた。 みぃちゃん:本屋の店員。風見瑞穂。小説家志望。さっちゃんの友達。 【引いた言葉】 眩暈 めまい めまひ 【目眩・眩暈】 1. 目がまわること。目がくらみ、倒れそうになること。 立葵 タチアオイ（立葵、学名：Althaea rosea、シノニム：Alcea rosea）は、アオイ科の多年草。属名Althaeaはギリシア語由来の古典ラテン語に由来し、語源たるギリシア語「althaia」は「althaino」（治療）と関連している。古来、タチアオイは薬草として用いられた。