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吉田真悟
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No.442 『血と骨』 梁石日(ヤン・ソギル)著 (1998/02/10 幻冬舎) 2020/01/18(1/18読了) 読んでも読んでも終わらず、結局3週間もかかってしまった。それもそのはずで原稿用紙で約1400枚もの長編であった。気がつくのが遅すぎた。 韓国の済州島から大阪に渡って来た業の深い自分しか信じない金俊平とそれに振り回された家族や知人の長い話である。時代は1920年代から1970年代頃まで、戦前から戦後までの過酷な時代を逞しく生きる在日朝鮮人の世界を最後は1983年の金俊平の息子、成漢のエピソードで終わる。在日朝鮮人の暮らしぶりや思想、当時の日本や朝鮮半島の歴史の勉強になった。 最初は金俊平の目線で、次は高信義の目線で、次は李英姫の目線でと次々に主人公が変わり物語が語られて行く。これって凄く困る。感情移入した同志が対立し憎しみあったりするから混乱してしまう。著者は何が言いたいのか?平和な時代には役に立たない愚かな男が乱世でのしあがり金貸しで成功するが老いるとともに伴侶に虐げられ北朝鮮へ帰国して病死するという波乱万丈な生涯ってどう受け取って良いか悩む。 巨漢で凶暴な男。女を平気で手籠にしたり、博打で捕まり幼い娘を餓死させたり、脳腫瘍で不自由な同棲していた女をちっ息させたり、こんなに憎しみを覚える対象、金俊平のモデルが著者の父親らしい。 この救いようのない男の歴史と断ち切れない血縁やしがらみがやり切れなくなる。どうでも良いが罪の無い幼い子供が虐待や暴力をふるわれ夭逝する場面は胸が苦しくなる。 小説のタイトルは朝鮮の巫女の歌にあるそうだ。「血は母より受け継ぎ、骨は父より受け継ぐ」。血もまた骨より創られる。血肉は腐っても骨は残る。骨は血より濃いのだと。 全体的につぎはぎだらけの話の連続の様で違和感が残った。それとお金の価値が同じ千円でも登場する時代で価値が全く違うはずなのに理解出来ずもどかしかった。 梁石日が金成漢なんだ。タクシー運転手としての続編がある様なのでいずれ読んでみよう。 映画はどうしようかなぁ。金俊平をビートたけしが演じる様だが体格が違いすぎるなぁ。😷 【登場人物】 金俊平:主人公、済州島出身の朝鮮人、巨漢、凶暴 高信義:朝鮮人、俊平の理解者。妻は明美 李英姫:朝鮮人で居酒屋のおかみ 娘は春美、のちに金俊平に強引に妻にされる 成漢:俊平と英姫の息子 韓容仁:春美の夫 八重:飛田遊郭の魔性の女、金俊平を騙す 美花:明美の従妹、八重似の元娼婦? 田辺治郎:職長以下同僚 根本信高、新井健二、野口嘉之、西村富正 野尻栄吉:「東邦産業」という蒲鉾工場の社長。甘鯛などの内臓 12人の職工がいて(内6人は住込) 金泰洙: 金俊平の甥 太平産業:同僚、白文寿、金永鎮 片岡富太郎:太平産業社長、市会議員。 鳥谷定子:俊平最後の女、下半身不随の俊平を虐待し金を奪う 【引いた言葉】 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/血と骨 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/梁石日 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/済州島 汚穢 お‐わい 1 けがれていること。よごれているもの。おあい。 2 大小便。糞尿 (ふんにょう) 。おあい。 やに‐さが・る【▽脂下(が)る】 《2が原義》 1 気取って構える。得意になってにやにやする。「色男ぶって―・る」「―・った顔つき」 2 やにが吸い口の方へ下がるように、雁首を上げてキセルをくわえる。 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/1929年 ※恐慌 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/1936年 ※2.26事件、阿部定事件 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/1937年 ※盧溝橋事件、通州事件 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/1941年 ※太平戦争 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/1972https://ja.m.wikipedia.org/wiki/在日朝鮮人の帰還事業

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  • 吉田真悟
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    No.733 
    『八日目の蝉』角田光代著
    (2007/3/25 中央公論新社)

    2024/05/14 
    (Amazon Audibleで3/19視聴)

    不倫相手の子供を衝動的に盗み出し、数年も連れ回す主人公に徐々に情が移っていくが、いつ捕まるのかと緊張感がずっと続いた。

    母親ごっごに付き合わされるが、決して不快ではない。子を守る母親として主人公の「希和子」になりきり、行く先々で世話してくれる他人の人情に触れ、逃亡生活をハラハラしながら追っかけて、最後は誘拐が発覚して捕まってしまい一旦ホットするも、今度は「薫」(子供)の目線でその後の第二章が始まる。希和子と同じような不倫をしてしまう薫に、またかといった諦めを感じる。

    希和子と薫の最後のすれ違いについても、やきもきしつつ諦めてしまう。
    そこで出会ったなら、お互いを十分に理解できただろうかな?

  • 吉田真悟
    吉田真悟

    No.734
    『キングスマン ファースト・エージェント』
    『キングスマン』
    『キングスマン ゴールデン・サークル』
    3作品、3/20に観覧終了(Amazon Prime Video)

    本気で作った紳士の国の映画だった。
    何度も観たが、痛快で面白い。金をかけているのがよくわかる。
    そして人が簡単に死ぬため罪悪感がない。そこが良い。

    「ファーストエージェント」
    1914年当時(どこまでが本当か私にはわからないが)
    凶悪な「羊飼い」との死闘を終えたオックスフォード公が、
    英国国王ジョージ5世の協力の下、高級テーラー内に国家権力から独立した諜報機関「Kingsman」を作る話。

    ・イギリス国王のジョージ5世、ドイツ皇帝のヴィルヘルム2世、ロシア皇帝のニコライ2世がいとこ同士だったとは知らなかった。
    ・「羊飼い」を名乗る謎の男が世界を混乱させるべく秘密会議を開いていたが、ロシアの怪僧ラスプーチン、女スパイマタ・ハリ、ロシアの革命家レーニンといったそうそうたる歴史上の人物が登場する。後に世界を震撼させるキーパーソンたち。なのでなかなか、スケールの大きい時代がかったスパイアクション映画となっている。

    「キングスマン」
    キングスマンのメンバーの一人が冒頭で死んでしまい、その後任を危険な試験で選抜する。かつて自分の父がメンバーだったエグジーがもう一人の女性と選ばれるが、スマホを使い世界中を暴力的に洗脳する悪と戦うといった超アクション大作である。杖や傘などの独特の武器や防御アイテムが面白い。エグジーの成長と義理の父親との対決に鳥肌がたった。少年が一人前の大人にいきなりなってしまい、まぶしいのである。

    「ゴールデン・サークル」
    麻薬密売組織ゴールデン・サークルの女ボスとの闘いがメインのストーリィ。
    麻薬に仕込んだ毒物により世界中がパニックになるが、すんでところで解毒剤を手に入れて世界を救うというお話。
    米国諜報組織ステイツマンとキングスマンの関係(バーボンやテキーラって太陽に吠えろか?)が近いのか遠いのかいまいちわからなかった。親しい仲間の死がさらっとしていて心に沁みた。

    新作が出たら必ず観るよ。

  • 吉田真悟
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    No.735
    『変な家』 雨穴著(2021/07/22 飛鳥新社)

    2024/07/01 (Amazon Audibleで3/22に視聴) 
    ホラー・サスペンス。
    緻密にデザインされたディテールは凄いの一言。
    本当に怖くなり鳥肌が何度も立ったが、引き寄せられて先を読みたくなる。
    中毒性がある本である。夜に一人では読まない方が良いな。おしっこ漏らしそうだから、映画は観ない(^^)/

  • 吉田真悟
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    No.736
    『変な絵』 雨穴著
    (2022/10/20 双葉社)

    2024/07/01 (Amazon Audibleで3/22に視聴) 
    ばらばらの不気味な話がどう合体していくのか?
    結末を知りたいのだが、恐ろしいし、不気味だし、躊躇しながら先を読んでしまう。一体誰が主人公?犯人?被害者?いびつな絵の意味が分かってくると恐怖が何倍にも膨れ上がる。
    最終章でやっと最初の絵の意味が分かり、主人公が分かって全部つながった。
    どえれー怖かった。
    夏にぴったりの本。

  • 吉田真悟
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    No.737
    『吉原手引草』 
    松井今朝子著
    (2007/3/1 幻冬舎)

    2024/07/01 (Amazon Audibleで3/23に視聴) 
    身請けが決まった遊女・葛城が、幸福の絶頂に突然失踪する。多くの人のインタビュー(3人称多視点)でその事実が明らかになっていく。
    どうも、仇討ちが隠れているし、人情噺でもある。
    よくある形式だが、書くのは大変であろうと思う。
    いきさつを忘れてこの文章を今、書いている。はぁ。

    第137回直木賞受賞作と聞いて気になって古本屋で買った。大変面白かった。

  • 吉田真悟
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    No.738
    『夜と霧』
    ヴィクトール・E・フランクル著(2002/11/06 みすず書房)

    2024/07/01 (Amazon Audibleで3/24に視聴) 
    極限の恐怖でも生還することが分かっていたからなんとか読めたがきつい本だ。
    人間の尊厳やプライドが粉々になったとき、人は何をしだすのか?
    人類全体の負の貴重な体験記録である。子孫に語り継がなくてはならないと思った。
    今日石で追われた人達が明日は別の民を蹂躙する。
    今、ガザで起きていることはこの本とは全く関係ないと思おう。人類の進歩はいつまで止まったままだろう。共通の敵が現れない限り、その連鎖は繰り返すのだろうなぁ。愚かなり

  • 吉田真悟
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    No.739
    『読書という荒野』
    見城徹著
    (2020/04/03 幻冬舎文庫) 

    2024/07/02 (Amazon Audibleで3/25に視聴) 
    読んだはずなのに覚えていないことだらけで愕然とする。見城先生のお祖父様は森鴎外の友人で高名な医者だったそうだ。今更知る驚愕の事実。多分忘れただけなのだが。

    いったん読むと、とんでもなく読みたい本が増えてしまう。いや、前回もピックアップしたはずだが、怠慢である。『罪と罰』、『邪宗門』から読んでみるか。

    そうすると『仮面の告白』、『豊穣の海』、『金閣寺』などはいつになったら読めるのだろうかな。細かく読書計画を立てなくてはならないなぁ。早く読めよ自分!

    読書が荒野になる日まで精進しよう