No.530 『探求する精神』 大栗博司著 (2021/03/25 幻冬舎新書）GSNo.612 2021/05/28（5/27読了） 私にとって大栗博司さんは村山斉さんと並んで有名な理論物理学者です。 イチローや松井並みに凄い方です。かといって、単なる狭い分野の研究者というだけではなくて、米国や東大の世界的に有名な大学や研究組織の運営にも携わっていて、研究成果を出し続けている素晴らしい方です。今までに何冊か読んだ幻冬舎新書では難しい物理を分かりやすく説明されていて面白かったので本書も読んでみました。生い立ちから研究者になった経緯、科学史や哲学までも網羅し基礎科学の重要性などがぎっしりと詰まっていてとても楽しく読ませて頂きました。読むべき本が50冊くらい増えましたがね。 特に湯川秀樹と朝永振一郎のライバル関係とその考え方の違い、南部陽一郎、小柴昌俊らのノーベル賞受賞者との交流、第一線で活躍する大栗さんが批評する歴代の科学者達の業績や考えがとても面白かったです。また、研究プロジェクトでもポートフォリオが大事と言われ、リスクがあるが重要なテーマと短期間で成果の出るテーマのバランスを考えるべきとの意見と目的合理性（工学）と価値合理性（基礎科学）の区別の話は私にも当てはまり大変有意義でした。 全般的に読書や言語教育の重要性を説いておられ、1000冊を持って京大に行き卒業時には5000冊に増えていて、日米をその本らと一緒に行き来したという話は流石と思いました。私もあやかろうと本多勝一著『日本語の作文技術』を購入いたしましたよ。 私が生きている間に、自然界の４つの力を統一した方程式が出来きて、加速的に膨張する宇宙の謎が明らかになるとは思えませんが、少しでも知識を得るために今後も注視して参ります。 「基礎研究とは地図を持たずに砂漠を旅するようなもの」 価値合理的な思考で私も好きな事を好きなだけやる様に妥協せずに精進する所存でございます。 小木田さん！ 大栗さんや村山さんを紹介して欲しいです。ミーハーなので😆 【引いた言葉】 ジエィムズ・サイモンズ、都筑卓司、アルキメデスの原理 中谷宇吉郎『雪』 プラトン『ゴルギアス』 ルネ・デカルト『方法序説』 カント『純粋理性批判』 朝永振一郎『物理学とは何だろうか』 丸谷才一『年の残り』 https://ja.m.wikipedia.org/wiki/丸谷才一 本多勝一『日本語の作文技術』 ハイゼンベルク『部分と全体』 エルビン・シュレディンガー『生命とは何か』 アウトリーチ（英: Outreach）とは、英語で手を伸ばすことを意味する。福祉などの分野における地域社会への奉仕活動、公共機関の現場出張サービスなどの意味で多用される。