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吉田真悟
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No.552 『「うつ」の効用』  泉谷閑示著  (2021/07/30 幻冬舎新書)GSNo.624 2021/08/11(8/8読了)  会社の元部下が鬱と診断されて長期休養中である。隣の部署にいた中堅社員が鬱で何度も休職を繰り返していたが、最近また...。新型コロナのせいもあるかもしれないが周りに多いのである。初心者向けで読みやすい本は無いかと探していたら、この本がヒットした。幻冬舎新書である。 ※↓図1「頭」「心」「身体」の関係をテキスト化しました。 「 頭  :視点は過去から未来    -----┛ ←フタ  心=身体:心と身体は一心同体。視点は今  」 凄く分かりやすかった。目から鱗が落ちた感じである。 【心と身体】は文字通り一心同体で腹が減ったら食べるし、眠くなったら寝る。 今の視点で「~したい」「△が好き、×が嫌い」と感じるところ。 その上に【頭】が乗っかっていて、幼い頃から道徳や社会性を教育され、共同体内で生きていく上では約束やルールを守り、個を殺して生きろと教わる。過去から未来のシミュレーションを得意とし、「~すべきだ」「△しなければならない」という考え方である。 この【頭】が段々でっかちになり【心=身体】との間のフタを閉めて暴走し支配が始まる。この【頭】の暴走に対して【心=身体】が一気に反乱しストライキしたものが、鬱やパニック症状であると。 心や身体の悲鳴に蓋をして暴走する頭に支配されて、「すべきだ」「しなければならない」と自分自身を痛め続けたら、いずれ悲劇になる。私の場合は10年程前に胃に穴が空いて吐血して入院となってしまった。その後、思うところがあってストレスは溜まらなくなったが、偶然この本の通りに過ごしたからと分かった。生きるヒントが沢山書いてあって、病んでる自覚があるなしに関わらず、是非読んで欲しい本である。 著者は精神医であり作曲家でもある方。意外なアプローチであったが、分かりやすい。 休職中の社員に紹介しよう。 <以下抜粋(加筆歪曲)メモ> ・うつとはアレルギー反応に似た状態で整形外科のリハビリモデル的なアプローチではうまくいかない。アレルゲン〔抗原〕が何でありその拒否反応をどう防ぐかが問題。(時間を掛けて精神療法にたよることも大事) ・抗うつ剤や睡眠薬の処方と数カ月の休養だけでは完治どころか寛解もあやしい。 根本原因の解決を目指す精神療法と治癒力の発現を助ける薬物療法とをうまく合わせて活用するべきであると述べている。 ・怒りを受容するとは、頭が心を理解するということ。言語化して文章にすると頭と心が会話して冷静に振り返えられる。(日記に復讐したい奴の事を思う存分ぶちまけて書こうっと) ・適応とは麻痺のことである。(まともな人はみな鬱になる) ・吉本隆明氏は「俺は生まれた時から鬱病だ」と言っていたそうである。 ・子供を手本に熱中すること。努力から解放されなければ快方には向かわない。(高尚な事は努力と言われ、オタクな事は熱中と言われるが、努力は【頭】の産物、熱中は【心=身体】の産物) ・他人本位から自分本位への生き方を図るべし。(夏目漱石を参考に) ・生きる意義(ハングリーモチベーション)ではなくて生きる意味そのものを理解することが大事。(意義とは【頭】からの答え、意味とは【心=身体】からの答え) ・今を、この刹那を味わい尽くして生きるべし。(だから一日一生は正しい。押忍!) <蛇足> ・読書の効用 他者への想像力を鍛える良い手段であると思うが、加えて【頭】と【心=身体】の会話を繰り返す訳で深く理解し合える筈だ。読む時には頭を使い、感動すると心や身体が反応し、感想を書く時にまた会話しながら言語化し精神衛生上も願ったり叶ったりである。 ・酒を飲む時 こんなに美味しい酒を飲めるなんては【心=身体】の声 こんなに高価な酒は今しか飲めないぞは【頭】の声 こんな下衆でも接待しなければならないは【頭】の声 酒を飲み過ぎると明らかに別な人格が現れる人がいるが、【頭】の支配から逃れていた本当の人格(【心=身体】より発生した)かもしれないなと思うよ。 ・ギャンブルをやっている時 過去の快感をもう一度味わいたいと思うと、冷静な【頭】はなりを潜め【心=身体】が優位になる。お互いせめぎ合いながら勝っている時は【心=身体】が優位で負けが込むと【頭】が優位となり寒い現実に戻る。この時ばかりは心の声に蓋をして重たい身体を引きずりながら帰るしかない。 ・セ・ッ・ク・ス 【頭】優位の人は快楽の果てには到達しないな。【心=身体】の声を聞けないあなたは、風俗へ行きなさい。 読む鬱買うは大事だな )^o^(

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  • 吉田真悟
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    No.733 
    『八日目の蝉』角田光代著
    (2007/3/25 中央公論新社)

    2024/05/14 
    (Amazon Audibleで3/19視聴)

    不倫相手の子供を衝動的に盗み出し、数年も連れ回す主人公に徐々に情が移っていくが、いつ捕まるのかと緊張感がずっと続いた。

    母親ごっごに付き合わされるが、決して不快ではない。子を守る母親として主人公の「希和子」になりきり、行く先々で世話してくれる他人の人情に触れ、逃亡生活をハラハラしながら追っかけて、最後は誘拐が発覚して捕まってしまい一旦ホットするも、今度は「薫」(子供)の目線でその後の第二章が始まる。希和子と同じような不倫をしてしまう薫に、またかといった諦めを感じる。

    希和子と薫の最後のすれ違いについても、やきもきしつつ諦めてしまう。
    そこで出会ったなら、お互いを十分に理解できただろうかな?

  • 吉田真悟
    吉田真悟

    No.734
    『キングスマン ファースト・エージェント』
    『キングスマン』
    『キングスマン ゴールデン・サークル』
    3作品、3/20に観覧終了(Amazon Prime Video)

    本気で作った紳士の国の映画だった。
    何度も観たが、痛快で面白い。金をかけているのがよくわかる。
    そして人が簡単に死ぬため罪悪感がない。そこが良い。

    「ファーストエージェント」
    1914年当時(どこまでが本当か私にはわからないが)
    凶悪な「羊飼い」との死闘を終えたオックスフォード公が、
    英国国王ジョージ5世の協力の下、高級テーラー内に国家権力から独立した諜報機関「Kingsman」を作る話。

    ・イギリス国王のジョージ5世、ドイツ皇帝のヴィルヘルム2世、ロシア皇帝のニコライ2世がいとこ同士だったとは知らなかった。
    ・「羊飼い」を名乗る謎の男が世界を混乱させるべく秘密会議を開いていたが、ロシアの怪僧ラスプーチン、女スパイマタ・ハリ、ロシアの革命家レーニンといったそうそうたる歴史上の人物が登場する。後に世界を震撼させるキーパーソンたち。なのでなかなか、スケールの大きい時代がかったスパイアクション映画となっている。

    「キングスマン」
    キングスマンのメンバーの一人が冒頭で死んでしまい、その後任を危険な試験で選抜する。かつて自分の父がメンバーだったエグジーがもう一人の女性と選ばれるが、スマホを使い世界中を暴力的に洗脳する悪と戦うといった超アクション大作である。杖や傘などの独特の武器や防御アイテムが面白い。エグジーの成長と義理の父親との対決に鳥肌がたった。少年が一人前の大人にいきなりなってしまい、まぶしいのである。

    「ゴールデン・サークル」
    麻薬密売組織ゴールデン・サークルの女ボスとの闘いがメインのストーリィ。
    麻薬に仕込んだ毒物により世界中がパニックになるが、すんでところで解毒剤を手に入れて世界を救うというお話。
    米国諜報組織ステイツマンとキングスマンの関係(バーボンやテキーラって太陽に吠えろか?)が近いのか遠いのかいまいちわからなかった。親しい仲間の死がさらっとしていて心に沁みた。

    新作が出たら必ず観るよ。

  • 吉田真悟
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    No.735
    『変な家』 雨穴著(2021/07/22 飛鳥新社)

    2024/07/01 (Amazon Audibleで3/22に視聴) 
    ホラー・サスペンス。
    緻密にデザインされたディテールは凄いの一言。
    本当に怖くなり鳥肌が何度も立ったが、引き寄せられて先を読みたくなる。
    中毒性がある本である。夜に一人では読まない方が良いな。おしっこ漏らしそうだから、映画は観ない(^^)/

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    No.736
    『変な絵』 雨穴著
    (2022/10/20 双葉社)

    2024/07/01 (Amazon Audibleで3/22に視聴) 
    ばらばらの不気味な話がどう合体していくのか?
    結末を知りたいのだが、恐ろしいし、不気味だし、躊躇しながら先を読んでしまう。一体誰が主人公?犯人?被害者?いびつな絵の意味が分かってくると恐怖が何倍にも膨れ上がる。
    最終章でやっと最初の絵の意味が分かり、主人公が分かって全部つながった。
    どえれー怖かった。
    夏にぴったりの本。

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    No.737
    『吉原手引草』 
    松井今朝子著
    (2007/3/1 幻冬舎)

    2024/07/01 (Amazon Audibleで3/23に視聴) 
    身請けが決まった遊女・葛城が、幸福の絶頂に突然失踪する。多くの人のインタビュー(3人称多視点)でその事実が明らかになっていく。
    どうも、仇討ちが隠れているし、人情噺でもある。
    よくある形式だが、書くのは大変であろうと思う。
    いきさつを忘れてこの文章を今、書いている。はぁ。

    第137回直木賞受賞作と聞いて気になって古本屋で買った。大変面白かった。

  • 吉田真悟
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    No.738
    『夜と霧』
    ヴィクトール・E・フランクル著(2002/11/06 みすず書房)

    2024/07/01 (Amazon Audibleで3/24に視聴) 
    極限の恐怖でも生還することが分かっていたからなんとか読めたがきつい本だ。
    人間の尊厳やプライドが粉々になったとき、人は何をしだすのか?
    人類全体の負の貴重な体験記録である。子孫に語り継がなくてはならないと思った。
    今日石で追われた人達が明日は別の民を蹂躙する。
    今、ガザで起きていることはこの本とは全く関係ないと思おう。人類の進歩はいつまで止まったままだろう。共通の敵が現れない限り、その連鎖は繰り返すのだろうなぁ。愚かなり

  • 吉田真悟
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    No.739
    『読書という荒野』
    見城徹著
    (2020/04/03 幻冬舎文庫) 

    2024/07/02 (Amazon Audibleで3/25に視聴) 
    読んだはずなのに覚えていないことだらけで愕然とする。見城先生のお祖父様は森鴎外の友人で高名な医者だったそうだ。今更知る驚愕の事実。多分忘れただけなのだが。

    いったん読むと、とんでもなく読みたい本が増えてしまう。いや、前回もピックアップしたはずだが、怠慢である。『罪と罰』、『邪宗門』から読んでみるか。

    そうすると『仮面の告白』、『豊穣の海』、『金閣寺』などはいつになったら読めるのだろうかな。細かく読書計画を立てなくてはならないなぁ。早く読めよ自分!

    読書が荒野になる日まで精進しよう