さらさちこのトーク
トーク情報さらさちこ 見城徹見城徹 欅坂46のドキュメンタリー映画[僕たちの嘘と真実]について書く。
先ず、「サイレント・マジョリティ」はメッセージ性が強く、アイドルグループの歌詞として新鮮で挑戦的だった。ダンスも演劇的で初めて観た時、ピナ・バウシュの舞台を思い起こした。デヴューは衝撃的で、このようなグループを作り上げた秋元康に脱帽したが、薄汚れた大人である僕はその後、追いかけることはなかった。
それから何年か経った。[僕たちの嘘と真実]を観て驚愕した。これは平手友梨奈と平手友梨奈以外のメンバーの人生の物語だ。どんなに嘘を言おうと決して不愉快に思われない善良な少女たちと、どんなに真実を言おうと孤立する邪悪な少女の魂の交錯の記録である。両者ともその年齢の故に純粋であることには変わりがないが、両者は深く訣別している。その葛藤のスウィングの大きさが欅坂の魅力だと思い知った。そこには真剣に生きようとする少女が大人になる時どうしても通過しなければならない人生の残酷さが立ちはだかっている。欅坂の存在そのものが人生のドキュメンタリーなのだ。こんなグループはかつてなかった。ロックグループにもなかった。秋元康の意図したものは秋元康の意図を超えて、秋元康がそうなったらいいが、そうなったら手が負えなくなると危惧した領域まで突き抜けたのだ。真っ当な人生とはそういうものだ。全てを凌駕する。プロデューサー冥利とはこのことだ。この映画の持つ不安の根源を予見した秋元康に震撼する。さらさちこ 見城徹見城徹 ↑ 百田尚樹[地上最強の男]を読んだ時、僕はあまりにこの著作に圧倒されて、言葉も出なかった。僕のボクシング愛など何ほどのこともない。元ボクサーで現在は大ベストセラー作家の精神と肉体の膂力をまざまざと見せ付けられた。その時、僕は二度とボクシングのことは口しまいと決めたのだ。僕の語って来たボクシングなど自意識過剰の単なる自己満足に過ぎない。そう思い知らされた。
こうして今、書いているのはWBA世界ミドル級チャンピオン村田諒太のレビューに激しく心を揺さぶられたからだ。特に最後の8行は村田諒太が現役の世界ミドル級チャンピオンであるだけに腹に効く。[地上最強の男]という圧倒的な百田尚樹の著作の中で黒人初の世界ヘビー級チャンピオン[ジャック・ジョンソン]について書かれた5、6、7章は白眉であり、村田諒太を強く刺激し、感動させたことは間違いない。[地上最強の男]には100年にわたるアメリカの絶望と歓喜、葛藤と栄光が、ボクシングを戦う男たちの人間ドラマの中に見事に描かれている。これ以上のボクシングの本はもう二度と出て来ない。そう断言出来る。