冷戦終結からかなりの年月が過ぎ、あらためてアメリカが戦後(この言葉自体、もはや違和感があります。あくまで便宜的解釈として)世界に及ぼした影響を考察するにはタイミング的に良い時期にさしかかっている感じがします
たとえば、かつての米国施政化による戦略的信託統治領などの問題を客観的に眺めるには絶好の時期ではないのでしょうか
ミクロネシア連邦がアメリカの国連信託統治下から独立したのは1986年11月3日のことですね
1986年といえば、篠田麻里子さんが生まれた年であり、それほど昔のことではありません
ミクロネシアはパラオ諸島を除くカロリン諸島の島々から成立していています
世界史に登場したのは1521年にマゼランがマリアナ諸島を発見して以降のことですね
日本が歴史的にミクロネシアと深いかかわりをもったのは、1914年の第一次大戦勃発により、カロリン諸島を含むドイツ領ミクロネシアを占領し領土化したことですね
日本は長期にわたる統治期間中、南方資源開発と日本語教育による現地の日本化を図りました
第二次大戦終結後、1947年にアメリカ施政化の国連信託統治領となりました
第二次大戦後、国連憲章に基づき11の地域が国際信託統治制度の下に置かれましたが、アメリカ施政化の太平洋諸島信託統治領だけは戦略的信託統治領とされることになったのです
他の信託統治領との違いは、国連の任務に関する点ですね
戦略的信託統治領については安全保障理事会がその任務を行うことになっていますが(国連憲章83条)、他の信託統治領については総会が行うことと規定されています(85条)
つまり、戦略的信託統治領に関する重要決定には安全保障理事会常任理事国の拒否権が認められるわけで、施政国であるアメリカの意向に反するような決定は出来ない仕組みになっていることを意味します
ミクロネシアは、アメリカが第二次大戦で多数の犠牲を払って確保した地域であり、安全保障上の理由からも自国の勢力圏内にとどめておきたいという考えがあったのではないでしょうか
日本も戦時中約30年にわたりミクロネシアを統治していたので、その後のアメリカ施政下の歴史を軽視できる理由はないでしょう
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