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雨音のトーク
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  • 雨音
    YumikoYumiko
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    『SELDOM-ILLEGAL 時には、違法』 坂本龍一 著(角川書店)

    『月刊カドカワ』の1988年10月号〜1989年9月号に連載された、坂本龍一さんの一年間のモノローグ。取材・構成は、見城さん。

    『ラストエンペラー』でアカデミー賞受賞後間もなく始まった連載で、ロスやNYの活動を中心に、世界を駆け巡るエピソードの一つ一つが粋でカッコいい。語りのリズムも心地いい。

    バブル期の良き時代の余裕も随所に感じて、こういうスケールで本を書ける人はもういないだろうな。
    すぐには読み終えたくなくて、毎回少しずつ読んでいる一冊。

  • 雨音
    見城徹見城徹

    最近は編集者志望が少ないようだけど、編集者は一度やったらやめられないよ。生き方を仕事に反映出来るんだから。

  • 雨音
    見城徹見城徹

    静岡新聞の僕の連載コラム[窓辺]の第6回目です。
    『エド』(2019.2.11掲載)

    20年程前、熱海に温泉付きリゾートマンションの1室を持っていた。
    最上階の角部屋で地中海と見紛うような景色が見渡せて、一目で気に入った。
    森村誠一さんが「人間の証明」で人気絶頂の頃から各社の担当編集者が集合する会が年に2回盛大に熱海で催され、毎回出席していたので土地勘もあった。週末は熱海で過ごすことが多くなった。中華の「壹番」、フレンチの「カフェ・ド・シュマン」、洋食の「スコット」、しゃぶしゃぶの「はまだ」等によく通った。
    丁度、エドと名付けたシェットランドシープドッグを飼い始めたところだったのでエドとよく街を散歩した。フランス・ニースの海浜公園を彷彿とさせる海岸沿いをトレーニングも兼ねてエドと走った。子供の頃、飼い主夫婦の夫だけに喋る馬が主人公の「アイ・アム・ミスター・エド」というアメリカの連続ドラマがあって、大好きだった。だから馬に似た犬種で、いつか喋ってくれるという期待を込めて名前もそこから頂いた。走り終わった後、海を見ながら海浜公園のベンチに座って、傍らのエドに仕事の愚痴や人生の感傷を話しかけたものだ。エドはついに喋ることもなく15歳でこの世を去った。
    マンションは6年程で売り払ったが、何人かの作家が熱海に住んでいることもあって時々、熱海を訪れる。
    海岸に足を伸ばす。ベンチに腰をかける。あの頃、エドは僕を励ましてくれる一番の親友だった。目を閉じると熱海の海にエドの姿が浮かんで来る。

  • 雨音
    見城徹見城徹

    エドのことを想うと今でも涙が出る。亡骸が焼かれる時、胸を掻き毟って大声で泣いた。あんなに辛いことはなかった。もうこんな別れはしたくない。命あるものを飼うと必ず別れが来る。僕は生きものを二度と飼わないと決めた。

  • 雨音
    見城徹見城徹

    深夜の2時過ぎに目覚めて、やらなければならない仕事をした。ほぼ目論見通り仕事は進んだが、途中で涙が溢れ出し止まらなくなってしまった。
    理由はある。石原慎太郎、坂本龍一に続いて、
    僕はかけがえない人を失った。利害損得など全く関係なく人生の相棒としてお互いに生きて来た。
    相棒。棚網基己。お前がいなければ僕の人生はどれほどつまらないものだったか?朝までに涙が涸れた。

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  • 雨音
    見城徹見城徹

    写真の自分は軽やかだけど、気持ちは重い。実は僕は毎日気が重いのだ。それを忘れるために何かに熱狂する。気に入った服をコーディネートする。美味しいご飯を食べる。本を読む。映画や芝居を観る。コンサートに行く。ギャラリーを巡る。恋をする。

    憂鬱でなければ、仕事じゃない。
    苦しくなければ、努力じゃない。
    淋しくなければ、恋愛じゃない。

    そう言い聞かせて生きて来た。しかし、死ぬまで続くのか、この[重さ]が?生まれて69年が経ってしまった。これからも[重さ]に耐えて生きて行く。やがて来る[死]だけが僕を解放する。

  • 雨音
    見城徹見城徹

    こうやって日々は流れ、いつの間にか[死]へと到達する。切ないが仕方がない。
    [燃えよ剣]の土方歳三のことを想う。漢で生きたい。漢で死にたい。